絵本の紹介「キャベツくん」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回紹介するのは、個人的にも好きな作家さん・長新太さんの「キャベツくん」(文・絵:長新太、文研出版)です。

ナンセンスの神様と称される長新太さん。

そのオンリーワンな作風と絵柄は一度見たら忘れられません。

 

いい加減と言えばいい加減。

意味不明と言えば意味不明。

だけど妙に印象的で、不思議と居心地が良かったりする。

そんな長新太さんの脳内世界に一歩足を踏み入れたが最後、予測不可能な謎展開に否応なしに巻き込まれて、「???」の嵐。

 

だいたい、キャベツが主役というだけで、もう普通じゃないです。

キャベツくんが あるいてくると ブタヤマさんに あいました

なにそれ、悪口? なネーミング。

おなかをすかせたブタヤマさんは、いきなり「キャベツ、おまえをたべる!」と、キャベツくんをつかまえます。

キャベツくんが「ぼくをたべると、キャベツになるよ!」と言うと、広い空に鼻がキャベツになったブタヤマさんが、立体映像のように浮かび上がります。

ブキャ!」とびっくりするブタヤマさん。

 

以後、ブタヤマさんが、

じゃあ、ヘビが きみをたべたら、どうなるんだ?

じゃあ、タヌキが……

ゴリラが……

と、質問し、キャベツくんが

こうなる!

と衝撃映像を見せる、の繰り返し。

 

その間にも、二人は道を歩き続けています。

ゾウのシーンでは、絵本の繰り返しにおいてタブーの、

だいたい わかっていたけれど

を口にしてしまうブタヤマさん。

でも、

こうしてみると、びっくりします

と、なぜか敬語のブタヤマさん。

なんか、かわいそうになってきます。

最後にはキャベツくんもブタヤマさんがかわいそうになって、レストランでなにかご馳走してあげることにします。

 

話はわけわからないけれど、地平線と空の見える構図には開放感があります。

ただ、自由に空想をふくらませ、それをそのまんま描いたような絵本です(というか、長さんの作品は全部そんな感じ)。

この「キャベツくん」はシリーズで、ほかに「キャベツくんのにちようび」など、全五冊あります。

これでもまだ、長さんの絵本の中ではまとまっている方だと思います。

 

またそのうち、もっとシュールな長さん絵本を紹介したいと思います。

 

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

絵本の買取依頼もお待ちしております。

 

絵本専門の古本屋 えほにずむ

〒578-0981

大阪府東大阪市島之内2-12-43

URL:http://ehonizm.com

E-Mail:book@ehonizm.com

絵本の紹介「みんなうんち」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

我が家の息子は、3歳を過ぎてもまだおむつが取れません。

「おまるでうんちしてみようか?」

と持ち掛けても、

「しないの!」

と一蹴。

焦る必要はない……とはわかっているつもりでも、何か特別な原因でもあるのかと、つい悩んでしまいます。

 

トイレ関係の絵本は山ほど読んできたのですが、絵本は気に入っても、自分自身の排泄は別物として考えているようです。

 

そう、今では山ほど出版されているトイレの絵本。

しかし、かつては「うんち」を絵本に登場させることはハードルが高かったようです。

こぐまちゃんおはよう」の中に排泄シーンを入れることについても、当時はやはり冒険だったそうです。

 

≫絵本の紹介「こぐまちゃんおはよう」

 

そうしたハードルを取り払い、「うんち絵本」に市民権を与えたのが(少々大げさかな)、今回紹介する「みんなうんち」です。

出るわ出るわ、色んなうんちのオンパレード。

「ひとこぶらくだは ひとこぶ うんち

ふたこぶらくだは ふたこぶ うんち

これは うそ!」

などの、五味太郎さんのユーモアも交えていますが、これはれっきとした科学絵本です。

登場する動物のうんちの形、うんちの仕方、それぞれの習性などがちゃんと描かれているのです。

 

動物も小さな子どもも、何一つ悪びれずに、堂々と「うんち」をします。

大人だけが、「うんち」に対して照れたり、隠したり、難しい言葉で距離を取ろうとしたりします。

子どもはそんな大人の狼狽をちゃんと見抜いているから、ことさらに大声で「うんち!」と叫ぶのです。

真面目くさった顔をしてても、みーんな「うんち」をするんだ、という事実が、なんだかおかしかったり、親しみを持てたりするから笑うのです。

 

「うんち」の話をするときは、笑ってもいいんです。

笑いながら、正しい科学知識を教えてあげればいいんです。

この絵本から、そんなメッセージが聞こえてきそうです。

 

 

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絵本の紹介「14ひきのひっこし」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回紹介する絵本は、「14ひきのひっこし」です。

おとうさん おかあさん おじいさん おばあさん そして きょうだい 10ぴき。ぼくらは みんなで 14ひき かぞく

の決まり文句で始まる、ねずみの大家族の日常を描いた人気シリーズ。

これはその最初の作品です。

実際には第二作「14ひきのあさごはん」と同時発売ですが、物語の時系列としてはこちらが先になります。

世界各国で翻訳出版されており、特にフランスで人気だそうです。

 

14ひきが、新しい住処を探して旅を続け、大きな木の根元に素敵な家を作るお話。

このシリーズの(というか、いわむらさんの絵本の)魅力は、何といっても繊細に描き込まれた美しい自然の描写でしょう。

小さなねずみの視点で描くことによって、日本の里山風景がいっそう雄大に感じられます。

 

家族で力を合わせて住居を作り、食べ物を集め、冬に備えます。

ただ生活するということが、尊く、美しい命の営みであることを教えられる気になりますね。

14ひきにはそれぞれ性格付けがされていて、いろんな場面で誰がどんな行動しているかに注意してみるのも、この絵本の楽しみのひとつです(にっくんは力持ちで、ごうくんは高いところが好き、など)。

 

日本にはこんなに美しい自然があるということも、家族で食卓を囲む歓びも、慌ただしい都会に暮らしていると忘れそうになります。

最近では、都会から田舎へ生活圏を移すUターンやIターンと呼ばれる現象が、若い世代にも見られるようです。

誰もが、心のどこかでは、こうした生活に憧れを抱いているのかもしれません。

 

作者のいわむらさんは、栃木にある「えほんの丘」(いわむらさんの美術館や農場がある里山。いつか行ってみたい!)で農業をしながら創作活動をされています。

あの美しい自然や、ぬくもりの感じられる生活の描写も、いわむらさんご自身の体験によるものなのでしょう。

 

■えほにずむでは、いわむらさんの他の作品も多数取り扱っております。

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