絵本の紹介「パオちゃんのクリスマス」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

クリスマス絵本特集第10回は、「パオちゃんのクリスマス」(作・絵:なかがわみちこ、PHP出版)です。

1982年に第一作「パオちゃんのぼうし」で始まった、ぞうの「パオちゃん」シリーズは、1〜2年に一冊くらいのペースで刊行を続ける人気作品です(最近は少しペースが落ちているようですが)。

 

パオちゃんとおなじみの友達五人組の、平和な日常を描いた絵本です。

ぐりとぐら」や「こぐまちゃん」のようなシリーズとの違いは、友達が一人ではなく、「五人組」である点でしょう。

 

つまり、「自分自身のコピー」としての友達から、さらに進んで、ひとりひとりの違いを受け入れた上での「仲良しグループ」を形成できるようになる年齢の子どもを描いているわけです。

 

≫絵本の紹介「ぐりとぐら」

≫絵本の紹介「こぐまちゃんおはよう」

 

幼い子どもはエゴの塊で、そしてそれでいいと思います。

幼稚園での交友や、絵本を通して、自然な形で、大勢でいることの楽しさ、ひとりひとり違うことの面白さなどを、少しづつ知っていければ良いですね。

 

今日はパオちゃんの家でクリスマスパーティー。

友達と飾りつけ、お母さんはケーキの用意。

それから外で雪だるま作り。

それぞれが個性を発揮しての作品を作ります。

いい匂いにつられて家に戻ると、ケーキが完成。

さらに、お父さんサンタも登場して、みんなにプレゼントを配ります。

にぎやかで楽しくて幸せなクリスマスパーティー。

子どもたちも感情移入しやすい内容です。

 

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

絵本の買取依頼もお待ちしております。

 

絵本専門の古本屋 えほにずむ

〒578-0981

大阪府東大阪市島之内2-12-43

URL:http://ehonizm.com

E-Mail:book@ehonizm.com

絵本の紹介「サンタおじさんのいねむり」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

クリスマス絵本特集第7回は、「サンタおじさんのいねむり」(原作:ルイーズ・ファチオ、文:まえだ みえこ、絵:かきもと こうぞう、偕成社)を紹介します。

この絵本、もともとは1950年にルイーズ・ファチオさんが「クリスマスの森」という原題で発表した作品です。

挿絵は夫のロジャー・デュボアザンさんが担当しました(この二人の作品としては、「ごきげんならいおん」が有名ですね)。

 

その原作に、新たに柿本幸造さんが挿絵を描き、「サンタおじさんのいねむり」として1969年に初めて日本で出版されたのです。

最近になって、福音館書店がデュボアザンさんのオリジナル絵で「クリスマスの森」を出版していますが、それだけ長い時を超えて支持されている名作ともいえるでしょう。

 

クリスマスイブに、子どもたちへプレゼントを届けに出発しようとするサンタさんに、奥さんがサンドイッチと温かなコーヒーを手渡します。

しかし、

まちに つくまで たべては だめですよ。あなたは おなかが いっぱいに なると、ねむくなって しまうんですからね

と、奥さんは釘を刺します。

子ども扱いされるサンタさん。

でも、

ああ わかったよ

と、素直に頷くサンタさん。

 

サンタさんの奥さんが登場するのも珍しいですが、このあたりのやり取りは普通にそこらへんの夫婦っぽくて、実に庶民的です。

 

しかし、結局サンタさんは町に着く前にコーヒーを飲み、サンドイッチを平らげてしまいます。

そしてやっぱり、居眠り。

そこへ通りかかったきつねが状況を見抜きますが、

こんなに きもちよさそうに ねているのに、おこしてしまうのは かわいそうだな

と、優しい気遣いを見せ、一計を案じます。

 

森の仲間たちを集めて、サンタさんの代わりにプレゼントを配ろうというのです。

というわけで、動物たちの活躍によって、無事にプレゼントは子どもたちへ届けられます。

 

朝になって目を覚まし、慌てるサンタさんですが、雪の上を見ると、動物たちのメッセージが……。

 

わかりやすく、心温まる、善意に満ちたお話です。

「どうぞのいす」で知られる柿本さんの、あたたかみの滲む絵も、物語にぴったりと合っています。

 

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絵本の紹介「しんかんくんのクリスマス」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

クリスマス絵本特集第4回目は、「しんかんくんのクリスマス」(作・絵:のぶみ、あかね書房)を紹介します。

気鋭の絵本作家・のぶみさんの「しんかんくんシリーズ」第6作にあたります。

 

男の子は鉄道が大好き。

よって、電車や新幹線の登場する絵本は数多くありますが、この「しんかんくん」のシリーズは、いわゆる「乗り物絵本」ではありません(個人の見解)。

 

子どもが新幹線に魅かれる要素の中には、複雑なメカや、パワーやスピード、見た目のかっこよさへの憧憬が多分に含まれると思います(そのあたりは大人の男性もあんまり変わりませんけど)。

けれど、このしんかんくんは、ちっともかっこよくないんですね。

 

むしろ、かんたろう少年のほうがしっかり者で、しんかんくんは子どもっぽく、感情的で、利己的で、あまり考えずに行動し、失敗ばかりします。

そんな人間味あふれるしんかんくんが、かんたろうとの交流の中で成長するという、ある種の逆転発想の絵本なのです。

もうすぐクリスマス。

しんかんくんはサンタさんからのプレゼントを楽しみにしています。

かんたろうは なに たのむの?

と尋ねると、かんたろうは自分の欲しいものではなく、誰かの欲しがっているものをプレゼントに頼むといいます。

 

びっくりするしんかんくんに、

だって、だれかが よろこぶと、ぼくが いっちばん うれしいんだもん

と、かんたろう。

なんなんでしょう、この完成された人格の幼児は。

でも、しんかんくんは「自分もそうする」とはどうしても言えません。

だって、子どもですから。

自分が欲しいものが欲しいに決まってます。

 

しかし、かんたろうの言葉の意味を知りたくて、しんかんくんはまず、誰かを喜ばせることをやってみようと思います。

そして徹夜で作業して……

自らが巨大なクリスマスツリーになります。

 

町のみんなが大喜びする姿を見て、

うわあ、ほんとだ、うれしい。すっごい うれしいな。おいら しらなかった

と、しんかんくんは、他者の喜びを自分の喜びとする気持ちに気づきます。

 

そして、クリスマス当日には……という、ぬくもりと幸せな気持ちの溢れるラスト。

 

 

子どもは利己的なものです。

そして、それでいいと思います。

他者への愛は、自己愛から出発します。

まずは、自分を100%愛することから始まるのです。

 

子どもが自己愛を他者への愛へと成長させるには時間がかかります。

それは、大人が外部から強制するものではありません。

しんかんくんのように、自分で自分の心に気づくことが大切です。

 

大人の役目は、子どもの心の土地にいい芽が育つよう、じっくりと手間ひまをかけて、耕し、種をまき、水をやることだと思います。

子どもに絵本を読んであげることも、そうした行為のひとつでしょう。

 

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絵本の紹介「ノンタン!サンタクロースだよ」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

早いもので、気づけば今年も12月。

え、2016年終わるの?

ついこの間年賀状書いたような気がするんですけど。

 

月並みですが、年々時の流れは速くなっていくみたいです。

しかしその一方で、子どもが生まれた時のことは、わずか3年前のことなのに、遥か遠い過去のように感じます。

あの子がいない生活って、どんな感じだっけ。

 

さて、というわけで、もう今年のクリスマスも目前に迫っています。

我々にとって、年中行事は次々と過ぎ去っていく慌ただしいものに過ぎませんが、子どもにとってはひとつひとつが新鮮で、歓びと楽しみに満ちたイベントでしょう。

えほにずむでは、この時期に人気のクリスマス絵本をUPしました。

このブログでも、クリスマス特集ということで、クリスマス絵本を紹介していこうと思います。

 

第一回は「ノンタンあそぼうよ」シリーズより、「ノンタン!サンタクロースだよ」(作・絵:キヨノサチコ、偕成社)を紹介します。

最近はハロウィンの方が盛り上がりが凄いみたいですが、やっぱりサンタさんの存在力は子どもにとっては大きいでしょう。

親の立場になれば、また違うクリスマスの楽しみ方というものが見えてきます。

 

私は子どものころ、「ノンタン」シリーズの中でもこの絵本が一番好きでした。

赤と白のクリスマスカラーの表紙は今でも、特別な一日を連想させます。

クリスマスに赤い自動車が欲しくて、直接サンタさんにお願いしにいくノンタン。

意外に簡単に会えてしまいますが、このサンタさんはうさぎサンタ。

ねこのプレゼントは持っていないそうです。

 

知りませんでした、そんなルール。

 

その後も色んなサンタが登場し、空を見上げるとサンタのパレード状態。

金魚鉢で移動するさかなサンタや、アザラシの引く流氷に乗ったペンギンサンタ、小さなクモサンタなど、それぞれに個性があり、このシーンは本当に何度見ても楽しいです。

 

でも、ねこのサンタは見つかりません。

とうとうノンタンは疲れて木の根元で眠ってしまいます。

 

すると……。

やっぱり、目を覚ましたこの瞬間こそが、クリスマスの一番の楽しみですよね。

 

〽ねたら、サンタは やってくる

〽ねんね ねん ねん、また らいねん!

 

過去記事≫絵本の紹介「ノンタンぶらんこのせて」

 

■えほにずむでは、その他の「ノンタンあそぼうよ」シリーズ作品も多数取り扱っております。

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絵本の紹介「くれよんのくろくん」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

過去記事を見返してみると、古典名作ばかり紹介しているような気がしました。

まあ、古本屋で絵本専門となると、どうしてもそうなるんですが……。

 

そこで今回は比較的新しい人気シリーズの第一作を紹介します。

くれよんのくろくん」(作・絵:なかやみわ、童心社)です。

新しいといっても初版は2001年。

しかし、ロングセラーの多い絵本界においては、2000年以降の作品はまだまだフレッシュなルーキーと言えます。

 

作者のなかやさんは、当シリーズ以外にも「どんぐりむら」シリーズや「そらまめくん」シリーズなどのヒット作品を生み出し、海外からも注目されている売れっ子絵本作家です。

新品の十色クレヨンセットから、退屈したクレヨンたちが飛び出して、大きな画用紙を見つけます。

みんな喜んで真っ白な紙に思う存分絵を描きますが、くろくんだけは仲間に入れてもらえません。

 

けれど、クレヨンたちは自己主張が強すぎて、全体としての絵はめちゃくちゃになってしまいます。

そこで、シャープペンのお兄さんに促されて、くろくんが全部を真っ黒に塗りつぶしてしまいます。

なんてことを してくれるんだ

と、くろくんに詰め寄るクレヨンたち。

 

でも、シャープペンのお兄さんが絵の上を削っていくと……。

みんなの絵が、きれいな花火になります。

 

これは読んでいる大人も「へえー。こうなるんだ」と感心させられるし、やってみたくなりますね。

 

クレヨンたちはくろくんを見直し、謝ります。

 

しかし、個人的にですが、一番扱いにくいのは「しろくん」なのではないかと思うのですが……(このクレヨンセットの中に白はありませんが)。

 

大人になると、むしろ黒は線描においてメインの色となりますが、子どもは「線を黒く描く」という固定概念に囚われませんから、みんなの色を消してしまう最強色であるくろくんは疎んじられるのかもしれません。

 

くろくんが仲間はずれにされるのは、能力が高すぎるがゆえの悲劇とも考えられます。

本人は自分の能力についてまだ正確な評価を持てていないあたり、現実にもこんな子どもがいそうです。

 

読んだ後は、子どもも大人も「お絵かき」がしたくなる絵本です。

 

我が家の息子も、お絵かき大好きです。

1歳のころ、思い切り描かせてあげようと、「消せる」クレヨンを買ってやったところ、家じゅうをキャンパスにして殴り書き。

床、壁、ふすま、布団まで、落書きだらけにして満足げ。

うんうん、よく描いたね

と笑って、掃除しようとしたところ……。

 

「フローリング以外は消えない」という衝撃の事実に気が付いたのでした。

 

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