絵本の紹介「まどから おくりもの」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

クリスマス絵本特集第6回は、「まどから おくりもの」(作・絵:五味太郎、偕成社)を紹介します。

きんぎょがにげた」のような探し絵本、「みんなうんち」のような科学絵本、五味太郎さんの手掛ける作品はどれも創造性に富んだユニークなものばかりです。

 

≫絵本の紹介「きんぎょがにげた」

≫絵本の紹介「みんなうんち」

 

今回は穴あき絵本。

各画面にある窓に穴が開いていて、次の画面の一部を見ることができます。

あれは たぶん サンタクロースさん

きょうは どうやら クリスマス

あれは きっと おくりもの

という、なんだかあやふやなオープニングが、さっそく笑いを誘います。

 

ヘリコプターで登場するスタイリッシュなサンタさんですが、その仕事っぷりはかなりおっちょこちょいです。

というより、雑。

 

窓から部屋をのぞいて、

「ここは○○さんのおうち」

と即断し、おくりものをチョイスして、窓から投げ入れます。

けれども、窓から見えるのはあくまで部屋の一部。

ここが巧妙なトリックでして、ページをめくってみると予想に反した画面が広がります。

 

ねこさんだと思ったらぶたさんのパジャマの柄だったり、しまうまさんの模様だと思ったら白鳥さん兄弟の首だったり、きつねさんの耳だと思ったらわにさんの背中のとげだったり……。

とにかく次のページをめくったり、また戻ったり、楽しさいっぱいの傑作です。

 

これだけ間違いだらけでも、なんだかんだでみんな満足。

そんなあったかなラストも幸せな一冊です。

 

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

絵本の買取依頼もお待ちしております。

 

絵本専門の古本屋 えほにずむ

〒578-0981

大阪府東大阪市島之内2-12-43

URL:http://ehonizm.com

E-Mail:book@ehonizm.com

絵本の紹介「ぐりとぐらのおきゃくさま」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

クリスマス絵本特集第5回は、おなじみ超ロングセラーシリーズより、「ぐりとぐらのおきゃくさま」(文:中川李枝子、絵:山脇百合子、福音館書店)を紹介します。

マント姿がかわいいぐり&ぐら。

ぐりとぐら」シリーズについての考察は過去記事をお読みください。

 

≫絵本の紹介「ぐりとぐら」

 

シリーズ屈指の人気を誇るこの作品ですが、ミステリー絵本仕立てになっているのが特徴です。

そう、子どもにとって、これは初めての「推理探偵」物語になるかもしれません。

事件は謎の足跡から。

これは おとしあなじゃない。 あしあとだぞ

うん、たしかに ながぐつの あとだ

きつねかな

きつねより おおきいよ

と、ちゃんと論理的推理を進めるぐりとぐら。

足跡を追跡していくと、なぜか自分たちの家にたどり着きます。

謎が謎を呼ぶ展開。

 

玄関には巨大な長靴が、そして部屋に入ると、真っ赤なオーバー、真っ白な襟巻、真っ赤な帽子が次々に見つかります。

ヒントが小出しされるところも、ミステリーの王道です。

 

お客様は寝室にもいない、お風呂にもいない。

その時、カステラを焼くいい匂いがしてきて、2ひきが台所へ飛んでいくと、真っ赤なズボンのおじいさんが、でっかいクリスマスケーキを焼いていたのでした。

もちろん、お客様の正体はあのお方なわけですが、このおじいさん、妙に顔が若々しく、最後に衣装をフル装備するまで、一目で「サンタさん」と判別するのは難しくなっています。

そして結局最後まで「サンタクロース」という単語は出てきません。

 

もちろん、これらはすべて作者の二人による計算です。

状況証拠を積み重ねて真実に近づいていく「謎解き」の楽しみを、丁寧に構築しているのです。

 

もう一度表紙に戻ってください。

タイトルは「ぐりとぐらのおきゃくさま」。

モミの木の絵はあるけれども、飾りつけがあるわけでもなく、これが「クリスマスの絵本」であることは、初見ではわかりません。

ちゃんとネタバレにも気を使っているんですね。

 

そして、最後まで文中で明らかにされないおじいさんの正体は、子どもに「自分だけが解き明かした真実」という歓びを与えます(単なる不法侵入者のおじいさんかもしれないじゃないか、という大人の突っ込みは無視)。

 

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「読解力低下」は子どもの問題なのか

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

先日、OECDの国際的な学力到達度調査において、日本の子どもの読解力が、前回の4位から8位に下がったという結果報告がありました(高校一年生が対象)。

原因としては、SNSなどの普及で、長文に接する機会が減ったこと、つまりは読書量の不足が指摘されています。

 

だからといって、子どもに「本を読みなさい」と言ったって、たぶん効果はないでしょう。

現代の子どもは忙しいのです。

宿題、塾、習い事。

ラインやらなにやら(良く知りません)で、ひっきりなしにスマホを確認したり。

とてもゆっくり読書にふける時間なんてありません。

 

それでも、もし本当に本が好きな子どもなら、自分から読書時間を作り出すこともするでしょう。

けど、好きでもない本を、忙しいスケジュールを縫ってまで読む子どもはいません。

 

ニュージーランドの図書館員で、絵本研究家のドロシー・ホワイトさんが、こんな言葉を残しています。

 

絵本は子どもが最初に出会う本です。長い読書生活を通して読む本の中で、いちばん大切な本です。その子どもが絵本の中で見つけ出す楽しみの量によって、生涯その子どもが本好きになるかどうかが決まるでしょう

 

幸せな絵本体験をした子どもは、自然と本好きになります。

もっと、子どもに絵本を読んであげましょう。

 

そしてもうひとつ。

もっと、子どもの話を聞いてあげましょう。

 

なぜなら、読解力の根っこは、「相手の話を聴く」力だからです。

 

色んな場所で子どもを連れたお母さんやお父さんを見る機会がありますが、ちゃんと子どもの方を向いて相手をしている人は、残念ながらとても少ないと感じます。

子どもの方は休む間もなくしゃべり続けているのに、親は適当にあしらったり、雑誌やスマホを見ながら返事をしたり、ひどい時は無視していたり。

 

確かに、子どもの話にいちいち返事をすることを面倒に感じる気持ちはわかります。

脈絡がなかったり、何度も同じ話をしたり。

 

でも、子どもにとってそれはキャッチボールのようなものです。

ちゃんと相手に届くボールを投げ、相手のボールを受ける練習をしているのです。

それを、「さっきと同じボールだから」という理由で、親が相手になるのを止めてしまえばどうなるでしょう。

 

また、まだ言葉が話せない赤ちゃんを相手にしていても同じことです。

話せなくても、伝えたいことがないわけではありません。

メッセージを聴き取ろうとする相手がいなくては、やがて赤ちゃんも、メッセージを発することを諦めてしまいます。

泣いている赤ちゃんを放って、スマホを見ているような親のもとで、どうやってその子がコミュニケーション能力を育てればよいのでしょう。

 

われわれは自分がうぬぼれているほどには「読解力」に優れているわけではありません。

子どもはそれを痛切なほど教えてくれます。

 

結局のところ、今回のOECDの調査結果は、われわれ大人自身の読解力(=相手の話を聴く力)不足が、子どもの問題のように映っているだけです。

読解力だけの話ではありません。

子どもの学力低下も、いじめ問題も、無気力も、自殺も、考えてみれば全部「大人の問題」のように思えるのですが、どうでしょうか。

 

関連記事≫「絵本でつながるコミュニケーション」

 

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