【絵本の紹介】「ロージーのおさんぽ」【141冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

絵本界の大御所・瀬田貞二さんが、「絵本の絵とは、物語る絵でなくてはならない」とおっしゃっていました。

 

広義に解釈すれば、あらゆる絵は「物語っている」と言えますが、絵本の絵は特にその性質が顕著です。

それは究極すれば、テキストが読めない幼児でも、絵を見るだけでじゅうぶんにストーリーを追っていけるような絵、と言うことができます。

 

その見本とも言える作品が、今回紹介する「ロージーのおさんぽ」でしょう。

作・絵:パット・ハッチンス

訳:渡辺茂男

出版社:偕成社

発行日:1975年8月

 

まず、表紙絵から続いて、鶏小屋から出かけるロージーと、その背後から彼女を狙うきつねが描かれた最初のページを見てみましょう。

テキストは「めんどりの ロージーが おさんぽに おでかけ」というもので、多くを語りません。

しかし、イラストはなんと雄弁なことでしょう。

 

きつねは明らかにロージーに対してよからぬ企みを抱いていることがわかるよう、鶏小屋の下に身を隠し、舌を出し、ロージーへ粘っこい視線を向けています。

ロージーがきつねの存在にまるで気づいていないことは、大きく上げた前足、眠たげな半目、どこか上の空で考え事でもしているかのようにやや上を向いたクチバシなどから伝わります。

 

すでにこの一枚から、サスペンスが始まっているのです。

 

そして予想に違わず、次のページできつねはロージーに飛びかかります。

ここでも、次の展開の伏線が、文中ではなく絵の中に示されています。

つまり、地面に落ちている熊手がそうです。

 

よく見たら、きつねは飛びかかるタイミングを少々逸しており、着地地点にはすでにロージーはいません。

子どもはそういう細部までよく見ています。

 

そして案の定、きつねの襲撃は失敗し、熊手の上に乗ってしまうばかりか、反動で持ち上がった熊手の柄に顔を打たれてしまいます。

ロージーは相変わらず、何にも気づかず、振り返りもせずにずんずん進んでいきます。

ここからの繰り返しパターンと、テキストの軽妙さが見事です。

きつねは毎回ロージーを狙ってアタックを繰り返すのですが、池に落ちたり、干し草に埋まったり、粉ひき小屋で粉まみれになったり。

 

特に、粉ひき小屋の伏線は秀逸で、小麦粉袋を吊り下げている紐が、すでにロージーの足にかかっています。

読者はこの時点できつねの運命を予想でき、ページをめくらずにはいられなくなります。

ページを追うごとに、この「仕掛け」が複雑さを増しているところも見逃せません。

最後は、きつねは手押し車に飛び乗ってしまい、走り出した手押し車が蜂の巣箱を次々に倒していき、哀れ、きつねは蜂の大群に追われて遥か遠くへ遁走。

 

ロージーは絶妙の位置取りで危機をすり抜け、「やれやれ ばんごはんに まにあった」と、無事に鶏小屋へ帰り着きます。

 

★      ★      ★

 

最初から最後まで、ロージーが一切、自分の身に迫る危機に気づかないコント的ユーモア。

そして、改めて文を読んでみると、ロージーのお散歩の様子を短く簡潔に語っているだけで、もし絵が無ければ、本当に何でもない文章になってしまいます。

 

少なくともこの絵本において、絵は、テキストを補うためのものではなく、むしろテキストより上位の存在であることがわかります。

 

それでは、この作品にテキストは不要でしょうか。

もちろん、絵のみでもストーリーは伝わります。

しかし、それだけではこの作品が持つユーモアは大きく削がれてしまうでしょう。

 

この短いテキストが、「あえて、きつねの存在を語らないこと」によって、可笑しさを一層引き出していることが重要です。

ここに、一見素っ気ない文と絵の見事な相互効果が完成します。

 

そして、多くの大人が見逃しがちな、扉絵に戻ってください。

ここでは、ロージーの散歩コースが一望できるようになっています。

すぐれた絵本作家は、扉絵カットにも無駄なものは描かないのです。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆

ロージーの護身完成度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「ロージーのおさんぽ

■ハッチンスさんの他作品→「ティッチ

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「100冊分の絵本の紹介記事一覧

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

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【絵本の紹介】「おじさんのかさ」【136冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今年も梅雨の季節がやってきましたね。

今回は雨の日にぴったりの絵本を紹介します。

おじさんのかさ」。

作・絵:佐野洋子

出版社:講談社

発行日:1992年5月28日

 

佐野洋子さんと言えばとにかく「100万回生きたねこ」が超がつくほど有名ですが(このブログでまだ取り上げてないのがびっくり。いずれ……)、もちろん他の作品も面白いです。

 

ヒゲにハットにコートという、正しい英国紳士風の「おじさん」。

これでステッキでも持ってれば完璧ですが、その代わりにおじさんが持っているのは傘。

くろくて ほそくて、ぴかぴかひかった つえのようでした

ところが、このおじさん、なかなかお茶目。

この立派な傘が好き過ぎて、雨の日でも絶対に差さないのです。

 

雨の中を、傘を抱いて走るおじさん。

知らない人の傘に、傘を持って入るおじさん。

 

ある日、公園のベンチで休んでいる時、雨が降ってきます。

もちろんおじさんは傘を差しません。

小さな男の子が「いっしょに いれてってよ」と頼んでも、聞こえないふり。

 

でも、そこへ傘を差した女の子が来て、男の子を入れてやります。

あめが ふったら ポンポロロン

あめが ふったら ピッチャンチャン

楽しそうに歌いながら歩いていく二人を見て、思わずおじさんは、傘を開いてしまいます。

すると、本当に雨の音がポンポロロン、と聞こえて、おじさんは嬉しくなって歩き出します。

楽しい気持ちで家に帰ったおじさんは、傘をつぼめて言います。

ぐっしょり ぬれたかさも いいもんだなあ。だいいち かさらしいじゃないか

 

★      ★      ★

 

雨って鬱陶しい。

濡れるし、ジメジメするし、予定は立てにくいし……。

 

でも、子どもにとっては、雨の日はひとつのイベントです

雨が降っている、ただそれだけでもう、非日常の世界なんですね。

傘を差したり、長靴を履いたりできるのも嬉しいみたいです。

 

そんな子どもを見ていると、ふと自分の価値観が固まってしまっていることに気づかされます。

 

このおじさんは傘マニアとでも言うのでしょうか。

いますよね、こういう人。

本来実用的であるはずの物を、大切にするあまり、使わないで飾っておいたり。

 

もちろんそれは本人の勝手ですが、やっぱりそれではその物の本当の良さは見えてこないのかもしれません。

 

物ならまだいいですが、自分の子どもに置き換えてみるとどうでしょう。

大切に、ケガさせないように、大事に育てているつもりで、その子の本来の輝きをしまい込んではいないでしょうか。

 

佐野さんの絵本には、いつも様々に読み取れるメッセージが込められています。

 

推奨年齢:5歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

おじさんのチャーミング度:☆☆☆☆☆

 

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【絵本の紹介】「おしゃべりなたまごやき」【125冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

明後日5月21日は児童文学者・寺村輝夫さんの命日。

今回は氏の代表作「おしゃべりなたまごやき」を紹介しましょう。

作:寺村輝夫

絵:長新太

出版社:福音館書店

発行日:1972年12月10日

 

「王さま」シリーズ誕生となった「ぞうのたまごのたまごやき」と双璧を成す、姉妹作。

挿し絵は同じく長新太さんによるもの。

 

≫絵本の紹介「ぞうのたまごのたまごやき

 

「ぞうのたまごのたまごやき」では青を基調にした配色でしたが、今作は赤をベースに描かれています。

また、「ぞうのたまごのたまごやき」では冒頭に登場するのみだった王さまですが、今作では主役の面目躍如といった活躍を見せます。

王さまのデザインも、そのキャラクターに合わせて、よりとぼけたタッチになっています。

個人的には、内容・絵柄とも王さま「らしさ」がより鮮明なこちらのほうが好みですね。

 

毎朝のようにお城の人々の挨拶を粛々と受ける王さま。

でも返事は「あ、うん」ばかりで、退屈そう。

けれども、「ばんのおかずは、なににしましょうね」というコックさんの質問にだけは「たまごやきがいいな。めだまやきにしてくれ」とはっきり答える王さま。

 

やっと職務(?)から解放された王さまは、ひとりでお城の中を散歩。

ブロイラー飼育場のようなにわとり小屋の前に来て、ぎゅうぎゅう詰めのにわとりを哀れに思った王さまは、小屋のカギが差しっぱなしなのを見て、深い考えもなしに戸を開けてやります。

たちまちにわとりが大挙して飛び出し、大騒ぎになります。

兵隊たちが出動し、ピストルを撃ってにわとりたちを大人しくさせ、犯人捜しを開始。

 

王さまは自分に疑いが向かないよう、持っていたカギを窓から捨ててしまいます。

しかし、その様子を部屋に隠れていたにわとりに見られてしまいます。

それに気づいた王さまは、にわとりに、

だまっていろっ

 

その後、そのにわとりが産んだらしいたまごを拾った王さまは、後で食べるつもりで隠しておきます。

 

さて、兵隊たちの捜査は一向に進捗しません。

おまけに、にわとりたちがピストル音のショックでたまごを産まなくなってしまいます。

晩御飯に目玉焼き、という王さまのリクエストに応えられないことに責任を感じたコックさんは、自ら牢屋に入ってしまいます。

 

驚いた王さまは、隠しておいたたまごを取り出し、コックさんを牢屋から出してやるよう、大臣に言いつけます。

 

そして晩御飯。

王さまが目玉焼きにナイフを入れると……。

黄身の中から、王さまの声が流れ出します。

ぼくが、とりごやを、あけたのを

だれにも、いうなよ

だまっていろっ

 

にわとりは、王さまの秘密をたまごに閉じ込めておいたのです。

王さまは慌てて目玉焼きを吞み込みますが、そばにいたコックさんには全部聞かれてしまいます。

 

そこで、ふたりは顔を見合わせて……。

 

★      ★      ★

 

この作品で、「王さま」シリーズの設定はほぼ固まったと言えるでしょう。

大臣、隊長、コックさんといったおなじみの面々も登場。

王さまのキャラクターも確立されています。

 

浅慮、自分勝手、欲張り、その場しのぎの嘘、責任逃れ……。

大人から見れば性悪とも思えるこれら王さまの特徴は、しかしどこか憎めません。

 

それは王さまが子どもそのものであるからです。

寺村さんは、大人目線の都合のいい「天使のような子ども像」を排し、もっとリアルな、「ありのままの子ども」を書きます。

 

普段は「いい子」を演じている子どもでも、「王さま」を読めば、自分の心の底にある本性に気づきます。

だからこそ子どもは王さまを「自分自身だ」と感じ、深い共感を寄せるのです。

 

子どもが「自分を客観視すること」ができれば、物語が果たすべき役割の9割方は完了したと言えます。

だから、王さまは大したペナルティを受けないのです。

 

私はそこに、寺村さんの限りない子どもへの理解と優しさを見ます。

 

ちなみに、王さまの一人称はかつて「わし」でしたが(私の子どものころはそうでした)、現在刊行されているものはシリーズ通して「ぼく」に統一されています。

子どもへの共感に対する配慮からの変更でしょうけど、「わし」王さまに親しんできた身としては、むしろ王さまが少し遠くなってしまったようで寂しくもあります。

 

推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆

ラッパ音の唯一無二度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「おしゃべりなたまごやき

■姉妹作→「ぞうのたまごのたまごやき

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【絵本の紹介】「ふたりはともだち」【119冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回紹介するのは「ふたりはともだち」です。

作・絵:アーノルド・ローベル

訳:三木卓

出版社:文化出版局

発行日:1972年11月10日

 

がまくん」と「かえるくん」の友情をユーモラスに描いた名作。

5つのエピソードから成る短編集です。

最後の<おてがみ>が、長年に亘って教科書に採用されていることから、この作品を知る人はとても多いでしょう。

 

私自身は絵本を教材的に用いることは好きではありませんが、全編通しての格調高い文章や会話の妙は、子どもに読ませたい名文だと思います。

しかしやはり、<おてがみ>だけを読んでも、がまくんとかえるくんの関係性は掴み切れないと思います。

エピソードを最初から追っていくことで、ふたりの気質・お互いに対する想いなどがより繊細に浮かび上がってきます。

<はるがきた>では、かえるくんががまくんの家を訪ね、遊びに誘います。

でも、まだまだ眠っていたいがまくんは、「5月の なかばごろに なったら、もう 一かい きて おこして くれたまえよ」と、布団をかぶってしまいます。

それでかえるくんは、がまくんのカレンダーを破いて5月にしてしまいます(ちなみにうちの息子はこのシーンが大好きです)。

 

<おはなし>では、体の具合がよくないかえるくんが、がまくんに「ひとつ おはなしして くれないかい」と頼みます。

がまくんは家の前をうろうろしたり、逆立ちしたり、水をかぶったり、果ては壁に頭を叩きつけたりしておはなしを考えますが、思いつけません。

 

<なくしたボタン>は、森の中でなくしてしまったがまくんのボタンを、かえるくんが一生懸命探すおはなし。

自分のではないボタンばかりが見つかり、癇癪を起したがまくんは家に帰ります。

しかし、実はボタンは家にあり、申し訳なく思ったがまくんは、かえるくんにボタンをたくさん縫い付けた上着をプレゼントします。

 

<すいえい>では、川へ泳ぎに行ったものの、自分の水着姿を見られたくないがまくん。

しかし、そう言えば言うほど、動物たちが集まって……。

 

そして最も有名な<おてがみ>。

一度も手紙が来ないことを悲しむがまくんに、かえるくんは手紙を書きます。

それをかたつむりに託して、自分はがまくんの家で一緒に手紙を待ちます。

 

★      ★      ★

 

さて、最後の<おてがみ>ですが、この話を教科書で知った方、子ども心にも「なんか変」と思いませんでしたか?

どこか白々しいんですよね。

 

手紙を欲しがるがまくんに、手紙を書いてやるかえるくん。

けど、手紙はかたつむりが届けるので、当然遅い。

で、結局かえるくんはがまくんにネタバレしてしまうのです。

しかも、手紙の内容まで。

それでも、ふたりは「とても しあわせな きもちで」一緒に手紙が来るのを待ち続けるのです。

 

これを模範とすべき「美しい友情」として教科書掲載しているのだとしたら、少々安直だと思います。

 

全編通して読むとわかりますが、がまくんは相当に出不精で、殻に閉じこもりがちで、わがままです。

かえるくんはおおらかで、前向きで、社交的で、がまくんの甘えを全面的に受け止めます。

 

この「甘え、甘えられる」関係性を、ふたりはお互いに楽しんでいるようにも見えます。

 

カレンダーのトリックを、がまくんは気づいてたんじゃないかな、おはなしを考えるあまり壁に頭をぶつけるがまくんは、かえるくんの視線を意識してるんじゃないかな……と思いつつ読み進めていくと、ラストに最も白々しい<おてがみ>が来て、「やっぱり」となるわけです。

 

ローベルさんの巧みなところは、この「白々しさ」を、「偽りの友情」とは思わせないところです。

 

「ありのままの自分」で「何でも包み隠さずに言い合える」相手だけが「本物の友達」というわけではないのです。

ふたりは、明らかにある種の演技をしています。

でも、それは互いを思いやり、この関係性を大切に、壊さないようにしようとする気遣いから生まれる演技です。

友情と言うより、愛情に近いかもしれません。

 

手紙が来ないことを嘆くがまくんは、「君が書いてよ」というメッセージをかえるくんに送り、それを過たず受け取ったかえるくんは、大急ぎで家に戻って手紙をしたためます。

かえるくんはわざとかたつむりくんに手紙を託し、がまくんと「待つ時間」を楽しむのです。

 

これはそういう「二重層」仕掛けの作品なのです。

 

小学校の先生方、授業で読む際には、心して取り扱ってください。

絶妙なバランスで成り立っているふたりの関係が、壊れないように。

 

推奨年齢:7歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆☆

微笑ましいバカップル度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「ふたりはともだち

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【絵本の紹介】「たいへんなひるね」【107冊目】

 

こんにちは、 絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

だんだん暖かくなってきて、桜も満開を迎えました。

天気のいい日に、外で昼寝をしたら、さぞ気持ちいいでしょう。

 

と思いつつ、なかなか実行には移せない私にカツを入れてくれるのが、今回紹介する「たいへんなひるね」です。

作・絵:さとうわきこ

出版社:福音館書店

発行日:1990年5月10日

 

「こどものとも」や「かがくのとも」に登場する人気者、「ばばばあちゃん」のおはなし。

豪快かつ強引なキャラクターのばばばあちゃんが、様々な活躍を見せるシリーズです。

 

今回は、カレンダーをめくって、4月になったことに気づいたばばばあちゃんが、

いつも 4がつになったら、そとで ひるねするんだっけ

と、ハンモックを持ち出すところから始まります。

 

ところが、外は雪。

 

しかし、これで諦めるようなばあさんではありません。

 

いつまでも うろうろしてる ふゆなんか、おっぱらってやるよ

どうするつもりかというと、まずは森や地面を揺るがすほどの大音量でラッパを吹き、動物たちを冬眠から叩き起こします。

 

それからいっぱいの袋の中に、みんなで大声を詰め込みます。

はるだよう

もう はるだよう

さらに、空の上のかみなりさんをラッパで呼びつけ、「はなびだま」の中に先ほどの袋を詰め込み、空に向かって打ち上げます。

 

爆発した花火から、みんなの大声が広がって、雪雲はびっくりして退散してしまいます。

暖かくなって、桜も咲き、ばばばあちゃんはやっとゆっくり昼寝。

 

みんながワアワア騒ぎながら遊んでも、全然起きないで寝続けます。

 

★      ★      ★

 

ばばばあちゃんは一人暮らしで、訪ねてくる家族もなく、近所づきあいもなく、仲間は森の動物だけ。

本当は寂しいんじゃないか、孤独なんじゃないか、と心配になる環境です。

 

しかし、そんなこっちの心配など吹き飛ばし、むしろ逆に元気を分けてくれるほどエネルギッシュなばばばあちゃん。

 

昼寝ひとつにここまでやるか、という痛快さ。

周囲を強引に巻き込んで、お尻を叩いて、やるだけやったら、さっさと一人で寝てしまうマイペースさ。

 

高齢化社会の星のようなおばあちゃんです。

 

どうかこれからも、このパワーを維持したまま、大暴れして欲しいものだと願います。

 

実際に近くにいたら、迷惑かもしれないけど。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

老人のバイタリティ度:☆☆☆☆☆

 

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