【絵本の紹介】「コケッコーさんはこだくさん」【241冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回はちょっと変わった絵本として、「立体制作物による写真絵本」というものを紹介します。

アニメ化もされた「コケッコーさん」シリーズの第一作「コケッコーさんはこだくさん」。

作:かろくこうぼう

出版社:フレーベル館

発行日:2007年1月

 

作者のかろくこうぼうさんは、にしやまかずひろさんとうらのかろくさんのユニットです。

一見するとCGのように見えますが、これらは木や粘土を使って制作した人形や小物を、写真撮影したものです。

 

そのせいか、どことなしにCGとは違うレトロな味が漂っています。

そして、内容も昭和テイスト。

コケッコーさんは10匹のひよこたちのお母さん。

家事に育児に振り回されて、超多忙な毎日。

 

じっとしないひよこたちを連れて、買い物に行くのも一苦労。

なんとかうまい方法はないかと知恵を絞って、ひよこを収納するエプロンを自作しますが、色々と不具合が生じます。

失敗と試行錯誤の末、辿り着いたのは浮き輪型エプロン。

家の仕事も食事も買い物も、このエプロンにひよこを乗せたまま楽々と片付けます。

ただし、お風呂の時間だけはやっぱりてんてこまいなのでした。

 

★      ★      ★

 

作り込まれた小物類が楽しいです。

手触りや温もりが伝わってきて、子どもにも受けます。

 

内容の方は正直なところ、コケッコーさんが気の毒過ぎて辛くなりますが。

 

こういう家事育児をバンバンこなすタフなお母さんがいて、騒がしいけど温もりのある大家族を「いいもの」とする風潮も、最近では遠のいたように思います。

だって、どう考えても母親の負担が大きすぎますものね。

 

我が家でも二人目を考えなくはないのですが、息子一人でも限界近くしんどいので、今のところは予定なしです。

子どもを育てるにあたって現実的に必要なものは畢竟「金と体力」だと思います。

 

若い時は金がないし、年を取ると体力がない。

いや、今では「金も体力もない」夫婦がどんどん増えてるのかもしれません。

 

国が掲げる少子化対策も期待できるものは全然ないですし。

「金と体力」の不足を何で埋めるのかというと、結局コケッコーさんのように個人の工夫と「根性」みたいな精神論に頼ることになります。

それはやっぱりおかしいと思うのですね。

 

あれ、なんか作品とあんまり関係のない話になってしまった……。

いや、この絵本自体は面白いし、前述したように懐かしい温もりがあって、息子にも好評なんですが。

ただ、コケッコーさんが可哀そうな気がして。

 

子育てに絡む話はどうしても冷静でいられませんね。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

父親は何やってんだ度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「コケッコーさんはこだくさん

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【絵本の紹介】「となりのせきのますだくん」【238冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

GWも終わり、平常通りの仕事や授業が始まりますね。

今後7月の海の日まで祝日がないことを思うとちょっとブルーな気持ちになってしまったり。

 

入学当初は元気いっぱいだった小学校一年生の子どもたちでも、学校が楽しいばかりのところではなくなってくることもあるでしょう。

この連休明けは特に、「学校行きたくない」と言い出す子も出てくるのではないでしょうか。

 

子ども・大人問わず、憂鬱な五月病の気分は同じ。

今回はそんな誰しもが共感でき、そしてあたたかく、懐かしく、そしてどこか切ないユーモアが感じられる絵本を紹介します。

となりのせきのますだくん」です。

作・絵:武田美穂

出版社:ポプラ社

発行日:1991年11月

 

この強烈なインパクトの表紙くらいは見たことのある人が多いのではないでしょうか。

題字も絵柄もとてもポップで可愛らしいですが、女の子と机を並べて座っているのは緑色の大きな怪獣。

 

この怪獣がフキダシで「こっからでたらぶつからな」と言いながら、女の子との間に鉛筆で境界線を引いています。

その境界線が明らかに女の子の領域を侵犯している理不尽。

女の子は不満そうに口を曲げながらも、怪獣が恐ろしくて言い返せない様子。

 

表現方法やキャラクター造形はかなり漫画的、というか、漫画そのもの。

でも、子どもの普遍的な心を繊細に捉えている点で、これは非常に優れた絵本作品に違いありません。

 

子どもの心を捉えた、と書きましたが、作者の武田さんはこの「ますだくん」を頭で考えてひねり出したわけではなく、作者自らの子ども時代をそのまま描き出したのだと思います(女の子の名前は作者と同じですし)。

瞠目に値するのは、作者の瑞々しい記憶力です。

単に事物を覚えているのではなくて、子どもの目線・感性・心情をそのままの形で保持し、なおかつそれを描き出していることです。

これは、絵本作家にとって最も重要な才能と言ってもいいと思います。

 

主人公のみほちゃんは、今日学校に行きたくありません。

あたまがいたくなればいいのに

おなかがいたくなればいいのに

ねつがでればいいのに

そんなことを考えながら、憂鬱な気持ちで登校します。

みほちゃんが学校に行きたくない理由は、「となりのせきのますだくん」(表紙の怪獣です)。

何かと意地悪してくるますだくんを、みほちゃんは怖がっているのです。

ますだくんは見た目は怪獣ですが、勉強も体育も得意な活発な生徒。

対してみほちゃんは、算数、縄跳び、かけっこ、給食のにんじん……苦手なものがたくさんある、引っ込み思案な女の子。

 

ますだくんはそんなみほちゃんに、いちいちからんできては、「いけないんだー」と先生に言いつけます。

でも、こんな男の子、いましたよね。

好きな女の子に意地悪するという。

 

でも、当の女の子にしてみれば、本気で嫌なのは当たり前。

そして事件は昨日の帰りの時間。

ますだくんの悪ふざけがエスカレートしたのか、みほちゃんが誕生日にもらった「いいにおいのするピンクのえんぴつ」を折ってしまいます。

 

いつもはやり返せないみほちゃんも、この時ばかりは怒りが爆発、ますだくんに消しゴムをぶつけます。

初めての反撃に、ますだくんはびっくり。

みほちゃんは自分のやったことに慌てて逃げ帰りますが、今日学校へ行ったらきっとますだくんにぶたれると思い、それで休みたがっていたのです。

 

ここからナレーションは中断され、コマ割りによる演出で、みほちゃんが学校の正門をくぐるシーン。

正門のところにはますだくんが待ち構えています。

 

みほちゃんはどきどきしながら、そっとその横をすり抜けて教室へ行こうとするのですが、ますだくんの手が伸びてきて……。

 

★      ★      ★

 

ラストのカットには「やられた」と思いました。

二人で並んで歩く後ろ姿、なんとますだくんは怪獣ではなく、人間の男の子として描かれています。

 

これはもちろん、ますだくんが変身したというわけではなく、みほちゃんの彼を見る目が変化したことを表しています。

ますだくんが怪獣として描かれていたのはオーバーな表現に思えるかもしれませんが、実際にみほちゃんのような大人しい子の目には、大きくて乱暴な同級生は恐ろしい怪獣そのものに映るのでしょう。

 

ますだくんが乱暴なところは変わっていないし、彼が自分の気持ちを素直に表現できるようになるには、まだまだ成長が必要でしょう。

でも、彼にも、そしてみほちゃんにも、ほんの少しの変化が訪れた。

それは子ども時代の眩い煌めきです。

 

ほとんどの大人が体験しつつも忘れてしまっているそんな煌めきを思い出させてくれる絵本というのは、実は意外と数少ないものです。

 

推奨年齢:7歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆

ますだくんの愛おしさ度:☆☆☆☆☆

 

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【絵本の紹介】「ぼくにげちゃうよ」【232冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回紹介するのは1942年に出版された古典名作「ぼくにげちゃうよ」です。

作:マーガレット・ワイズ・ブラウン

絵:クレメント・ハード

訳:いわたみみ

出版社:ほるぷ出版

発行日:1976年9月20日

 

伝説的絵本原作者マーガレット・ワイズ・ブラウンさんとクレメント・ハードさんの共作。

以前このブログで取り上げた「おやすみなさいおつきさま」を生み出した名コンビです。

 

≫絵本の紹介「おやすみなさいおつきさま」

 

「おやすみなさいおつきさま」「ぼくのせかいをひとまわり」、そしてこの「ぼくにげちゃうよ」は、同じうさぎの男の子を主人公とした3部作です。

物語的に続いているわけではありませんが、よく見ると色んな所に各作品とリンクするような描写がちらほらとあり、それらを見つけるのも楽しみのひとつになっています。

発表された順としては、「ぼくにげちゃうよ」が最初の作品となります。

 

ブラウンさんはわずか42歳で早逝されましたが、それまでに100冊以上もの絵本を作っていました。

ちなみに、とても綺麗な女性です(若い頃の写真を見た時、女優かと思いました)。

 

ある日、急に「いえをでて、どこかへ いってみたく」なったうさぎくん。

ぼく にげちゃうよ」と、お母さんに宣言します。

「お出かけ」ではなく、一人で家を出て、どこかへ逃げてしまいたいのです。

するとお母さんは落ち着いたもので、

おまえが にげたら、かあさんは おいかけますよ

だって、おまえは とってもかわいい わたしのぼうやだもの

と(うさぎくんが内心望んでいるであろう)返事をします。

 

ここから、母と息子のユーモラスな、一種の言葉遊びのようなやり取りが繰り返されます。

 

ぼくは、おがわの さかなになって、およいでいっちゃうよ

かあさんは りょうしになって、おまえを つりあげますよ

 

うさぎくんは「やまのうえの いわ」や「にわの クロッカス」や「ことり」「ヨット」などになって逃げちゃうよ、と言い、お母さんはその度に「とざんか」「うえきや」「」「かぜ」になって追いかけます。

実際にはただ親子が会話をするだけなのですが、これらの空想は楽しい絵として表現されます。

最後にはうさぎくんは「だったら、うちにいて、かあさんのこどもで いるのと おんなじだね」と、逃げ出すのをやめます。

お母さんは一言、「さあ、ぼうや にんじんを おあがり

 

★      ★      ★

 

絶対的な親の愛情を求める気持ちと、その庇護のもとから逃げ出して自立したい気持ち。

目まぐるしい速度で成長変化する子どもという生き物は、日常的にそうした葛藤に晒されています。

 

我が家の息子も、普段散々母親に逆らって怒らせておいて、次の瞬間にはケロッとして「ねえ、お母さん」などと甘えています。

で、気がすんだら一人で遊びだしたり。

 

親の気持ちなんて関係ありません。

妻は気分の切り替えが遅い方なので、なかなか息子に合わせるのが難しい様子です。

 

この絵本に登場する母さんうさぎを、「自立したがる子どもに干渉しまくる親」のように見て、その「愛情の押しつけ」を不快に思う方もいるかもしれません。

でも、このお母さんは別に過干渉なわけでも、子離れできないわけでもなく、愛情を試すうさぎくんに適切に対応しているだけです。

 

だから、最後のうさぎくんの「だったら、うちにいて、かあさんのこどもで いるのと おんなじだね」は、「諦め」ではなく、「満足」なのです。

子どもはこの手の「愛情の確認作業」をしばしば行います。

「自分が愛されているかどうか」は、子どもにとって最重要事項なのです。

 

それはいずれ自分が世界へ跳躍するための「土台」です。

土台がしっかりしていなければ、思い切って跳べません。

 

そして、この親子のやり取りは、子どもにとっては純粋に面白い遊びです。

うさぎくんが次々と繰り出す変身に、間髪入れず対応するお母さんの見事さ。

いわば「空想上の鬼ごっこ」です。

 

息子もこの遊びが気に入っており、時々母親に「ぼくが〇〇になっちゃったら、お母さんはどうする?」と持ち掛けています。

傍で聞いてて、「何をイチャイチャしてんだか」という気にもなりますが。

 

推奨年齢:2歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

イチャイチャ度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「ぼくにげちゃうよ

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【絵本の紹介】「ゆきのひのうさこちゃん」【216冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

大阪も寒いですが、首都圏の方は雪で交通規制やら何やら、大変そうですね。

しかし、雪を見て喜ぶ子どもたちの姿はいつの時代も変わりません。

 

まあ、SNSなどで競い合うように雪の写真を投稿しているのを見ていると、今は大人の方がはしゃいでいるような気もしますが。

 

今回は名作シリーズより冬の絵本を選びました。

ゆきのひのうさこちゃん」を紹介します。

作・絵:ディック・ブルーナ

訳:石井桃子

出版社:福音館書店

発行日:1964年6月1日

 

前回紹介した「うさこちゃんとうみ」では衝撃のトップレス水着姿を披露したうさこちゃんですが、今回はコートに帽子にマフラー、長靴、手袋としっかり寒さ対策をしています。

 

≫絵本の紹介「うさこちゃんとうみ」

 

長い耳がすっぽり入る帽子がとってもキュートです。

マフラーや長靴、手袋の色と合わせて、二色のみでコーディネートしたセンスが素晴らしい。

うさこちゃんの年齢は、描かれる作品ごとに微妙に違っているようです。

この作品では、6歳くらいかな。

 

一人でそり遊びやスケートもこなしています。

そして、寒さに震える小鳥のために、涙を流すことも。

自分以外の誰かを想って泣けるほどに情緒が成長している証です。

 

さらには、かなづちや木切れで小鳥のために立派な家を作ってあげることまで出来るのです。

最初と最後のページは、共にうさこちゃんが家の窓から外を見るカットですが、うさこちゃんの位置が左右違っていたり、服が寝巻に変わっていたり。

 

衣装替えを楽しむこともできる一冊です。

 

★      ★      ★

 

おしゃまなうさこちゃんの語り口調の数々。

倒置法を用いた詩的表現。

ほら ごらんなさい まどから そとを

ゆきが ふったわ あんなに たくさん

 

今回も石井桃子さんの訳文が冴えわたっています。

他の訳者さんだと、うさこちゃんのキャラクターはまた全然違った印象になっているのではないでしょうか。

 

いってまいります」とか、どこの令嬢ですか。

うさこちゃんが、両親のふわふわさんたちに大事に大事に育てられていることが伝わってきます。

……さすがにもう、例の水着は着てないでしょうね。

 

推奨年齢:1歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

うさこちゃんのDIY能力度:☆☆☆☆☆

 

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【絵本の紹介】「マドレーヌといぬ」【213冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

まだやりますよ、戌年「犬の絵本」紹介。

今回は私も大好きな一冊「マドレーヌといぬ」です。

作・絵:ルドウィッヒ・ベーメルマンス

訳:瀬田貞二

出版社:福音館書店

発行日:1973年5月10日

 

パリの古い寄宿舎で過ごす元気な12人の女の子たち。

いちばんおちびさんだけど活発なマドレーヌを主人公とした人気のシリーズ。

第一作「げんきなマドレーヌ」は以前に紹介しました。

作者ベーメルマンスさんの生い立ちやエピソードなどにも触れていますので、ぜひ併せてお読みください。

 

≫絵本の紹介「げんきなマドレーヌ」

 

この「マドレーヌといぬ」はシリーズ2作目にしてベーメルマンスさんにとっては3作目の子ども向け絵本です。

この作品で見事にコールデコット賞(アメリカ絵本界最高の賞)に輝いています。

 

修道院とか寄宿舎とか言っても、今ではあまり想像できなくなりました。

そう言う私も、子どもの頃に読んだ児童文学でしか知りませんが。

 

小さな女の子たちとシスターの清らかな生活。

何となく、身寄りのない子どもを集めた孤児院をイメージしてしまうのですが、ここで登場するのは「よい むすめたち」だそうで、わりと「いいとこの子」っぽいです。

 

ベーメルマンスさんの奥さんは元修道女で、「マドレーヌ」の名も、彼女の名前に由来しています。

 

さて、今作の導入部は1作目「げんきなマドレーヌ」の冒頭のダイジェスト版のような構成になっています。

せんせいの ミス・クラベルは、なにごとにも おどろかない ひとでした

の、マドレーヌが橋の欄干に上って歩くカットも、ほぼそのまま。

 

ところが、ここで事件が。

マドレーヌが足を踏み外し、川に落っこちます。

たちまち大騒ぎ。

かわいそうに マドレーヌが、すんでに おぼれるというところ

に、一匹の勇敢な犬(♀)が、川に飛び込み、救助してくれます。

 

みんなはその犬を屋敷に連れ帰り、「ジュヌビエーブ」という名を付けて可愛がります。

 

半年がたち、5月1日が近づくと(ってことは、マドレーヌが川に落ちたのは真冬の季節ですね。さぞ冷たかったでしょう)、みんなはソワソワしだします。

その日は学校検査の日で、評議員たちがぞろぞろ寄宿舎にやってきて細かくチェックを入れるのです。

 

そこで隠れていたジュヌビエーブが見つかってしまい、委員長曰く、

こんな ざっしゅけんを かわいがるなんて、よい むすめたちの おひんが さがります

ということで、追い出されてしまいます。

命の恩人(犬)を追い出されて、怒ったマドレーヌは椅子に飛び乗り、

いいんちょうどの! おぼえていなさい!

ジュヌビエーブほど、えらい いぬは ないわ。あなたには、てんばつが くだりますから!

と叫びます。

 

このシーン、ほんとにカッコイイ。

そしてなんとこれが1作目から通しての、主人公マドレーヌの初セリフなのです。

 

しかし、いくらマドレーヌが怒っても、大人の力には逆らえません。

評議員たちが帰ってから、ミス・クラベルと12人はジュヌビエーブを捜しに出ます。

この捜索シーンで、例によってパリの名所が素敵な絵で描かれます。

 

けれども、肝心のジュヌビエーブは見つからずじまい。

がっかりしてみんなは屋敷に戻ります。

 

しかしその夜、ミス・クラベルが外を見ると、街灯の灯りの下で吠えているジュヌビエーブの姿が。

もちろんマドレーヌたちは大喜び&誰がジュヌビエーブと寝るかで大喧嘩。

 

ここでも1作目のラストをなぞったカットと文。

そして最後に、ミス・クラベルもびっくりの出来事が。

 

★      ★      ★

 

カトリックや修道女の価値観に対する賛否は様々でしょうが、幼い子どもたちにとって「寮生活」というのは、どこか憧れを覚える響きには違いありません。

 

そして、ホテル勤務で磨かれた作者一流の風刺の目は、ここでも鋭く光っています。

お高く止まった評議委員長の「おひんが さがります」からの「さっさと うせろ! ごろつきめ!」とか。

 

でも、これはひとつには訳者・瀬田貞二さんの言葉選びの妙でもあります。

今時の絵本ではお目にかかれないような日本語表現の数々も素敵です。

 

ちなみに、瀬田さん自身もこの作品がお気に入りのようでして、自身が文を手掛けた絵本「きょうはなんのひ?」(林明子:絵)では、まみこの一番好きな絵本として「マドレーヌといぬ」が登場しています。

 

≫絵本の紹介「きょうはなんのひ?」

 

推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆

マドレーヌの決め台詞のかっこよさ度:☆☆☆☆☆

 

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