ブリューゲル「バベルの塔」展へ行ってきました。【国立国際美術館】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

大阪は国立国際美術館で開催中のブリューゲル「バベルの塔」展を観てきました。

7月から開催されてますけど、相変わらず全然急がない系の行ってきました記事。

公式HP≫【公式】ブリューゲル「バベルの塔」展

 

国立国際美術館は中之島の、大阪市立科学館のすぐ隣にあります。

科学館のほうは息子のお気に入りスポットで、10回くらいは遊びに行ってますが、美術館に入るのは初めて。

 

相当宣伝されているのでご存知の方も多いでしょうけど、一応簡単に説明しますと、今回の展覧会はピーテル・ブリューゲルという16世紀ネーデルラント絵画を代表する画家の、「バベルの塔」という作品が最大の目玉となっています。

またブリューゲル以前にネーデルラントで有名だったヒエロニムス・ボスという画家の作品と、ボスを模倣した作者不詳の作品が展示されています。

 

ボスの絵はやたら怪物がいっぱいでてきて、緻密だけどちょっと気持ち悪い。

ブリューゲルはそんなボスの影響を大きく受けつつ、農民など大衆の生活を描いた作品が多いです。

 

さて、絵本屋を構えている身ではありますが、正直言って私は美術的審美眼というものをほとんど持ち合わせておりません。

絵本が本当に好きになったのも息子が生まれてからですし。

このブログで「絵本とは」などと大きな顔をして記事を書いたりしてますけど、「絵」そのものについての知識は素人に等しく、専門的なことはあんまりわかってません。すいません。

 

ですから、絵本を語る時に「物語」や「構成」に比重が大きくなりがちで、肝心の「絵」については、実は自信がない。

 

でもやっぱり「絵本」なんだから、「絵」が大事なんです。

そういうわけで、勉強のつもりも兼ねて行ってきたわけです。

ブリューゲルが好きだったわけではありません。

 

ですので、ここで美術史や技術的な話を知ったかぶりで書くのはやめて、「絵本屋」目線で感想を記したいと思います。

 

「バベルの塔」に限らず、ブリューゲルの作品はそのどれもが、「これは絵本の絵になるなあ」と思えました。

 

絵本の絵とは「物語る絵」です。

すべての絵画は何かしら「物語っている」と言えるかもしれませんが、ブリューゲル作品には特にその傾向を強く感じます。

 

とにかく人物が多い。

そして、非常に暗喩的です。

ことわざを視覚化した絵をシリーズ的に描いていますが、一枚の作品の中に蠢くイメージの膨大さは、ひとつひとつ追っていくだけで物凄い時間がかかります。

 

さらに、現実的観察眼の上に構築された想像力の豊かさに圧倒されます。

「七つの大罪」シリーズでは、ボスゆずりのユニークな怪物が大勢登場し、人間の犯しやすい罪について強烈なイメージを投げかけています。

 

それらはテキストなしでも十分に、そして雄弁に、「物語って」います。

目玉作品の「バベルの塔」に関しても、そこには無数の人々が緻密に描かれ、それぞれの動きや意思が存在しています。

 

そこに描かれた絵は静止していますが、その「過去」や「未来」を見るものに想像させる力に満ちています。

そうした意味で、ブリューゲルの絵は非常に「絵本的」だと感じました。

 

的確な言い方ではないかもしれませんが、ブリューゲルのような絵は、私のような素人にとってはある意味で「やさしい」のです。

手法や技術や歴史的背景について無知な者でも、彼の絵に描かれた「物語」は容易に感じることができます。

 

芸術的な「眼」というものは、浴びるほどの芸術鑑賞の蓄積によって涵養されるのだと思います。

そういう豊かな「眼」を持つ人なら、何気ない風景画からでも、そこに深い物語を読むことができるのでしょう。

 

けれど、それは鈍った感性にとってはただの景色と変わりないかもしれません。

「絵本的な絵」は、そういう未熟な感性に対しても、能動的に語り掛け、想像力を喚起してくれます。

その積み重ねが、「肥えた」眼を育てるのではないでしょうか。

 

やっぱり絵本は芸術作品なのです。

子どもが幼い頃から芸術に触れさせようと思っても、美術館に何度も足を運ぶのはなかなか大変ですが、絵本をたくさん読み聞かせることは、やろうと思えば誰でもやれることです。

どうぞ、子どもには読み聞かせを。

 

結局絵本の話になってしまいました。

 

最後に、国立国際美術館さんに一言いいたいのですが。

「バベルの塔」実物の前はすごい行列で、それは仕方ないとしても、係員さんたちがひっきりなしに「歩いてください」と急かすのはあんまり気分のいいものじゃないです。

 

だって、それを観るためにチケット買って入館してるんだから、じっくり見せて欲しい。

それができないなら、いっそ入場規制してほしい。

 

チラ見するだけなら、結局ミーハー的な意味で「本物見た」という満足感以外に得るものはないと思います。

 

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「100冊分の絵本の紹介記事一覧

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〒578−0981

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京都水族館に行ってきました。

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

昨日は息子を連れて京都水族館に行ってきました。

とんでもない暑さ&人混み。

まだまだ夏休みは終わってませんからね。

この水族館は京都梅小路公園内にあり、すぐ近くには鉄道博物館もあります。

そっちは春に行きました。

 

≫京都鉄道博物館に行ってきました

 

実は、昨日の朝の時点では、もう一度鉄道博物館へ遊びに行く予定だったのですが、いざ出発の段になってから息子が「行かない!」とゴネだしまして。

 

反抗期息子の「行かない!」は毎度のことなんですが、理由を聞いてみると「SLスチーム号」に乗りたくない、というもの(前回、これにビビって泣いた経緯があります)。

別に乗らなくていい、と言っても聞かないので、「じゃあ水族館のほうにするか」と何気なく言うと、「まあ、水族館なら、行ってもいいけど〜」と、人をイラッとさせる口調で返事。

 

まあ、京都水族館は以前から一度は行ってみたかったので、いい機会かと思って出発。

 

息子を連れての水族館は「海遊館」に続いて二度目。

その時はまだ早すぎたのか、全然興味を示さなかった息子ですが、今回はなかなか積極的に楽しんで見て回りました。

人は多いのですが、中が広くて、見やすい印象。

水槽の高さが子ども目線なものが多いところも良い。

……と思ったけど、もしかして息子がデカくなっただけか。

ここでの人気者はオオサンショウウオ、オットセイ、アザラシ、ペンギン、イルカあたりのようです。

ケープペンギンは暖かいところで暮らす種類。

 

オットセイやアザラシは円柱状の水槽もあり、とても間近で見ることができます。

 

クラゲや熱帯魚などは、息子も図鑑で色々見ているので、実物を目の当たりにできて良かったです。

しかし、実際に動いているのを見ると、少々気味悪そうにしてましたが。

 

夏休みということで様々なイベントスペースも設置され、非常に活気がありました。

水鉄砲シューテイングゲームみたいなこともやってて、時折びしょ濡れになった哀れなお父さん方も見かけました。

 

最後にイルカショーを見ましたが、このあたりで息子の集中力も切れた模様。

メインイベントのつもりだったのに、あんまり喜ばない様子でした。

疲れたんでしょうな。

 

ショーが終わるとすぐに帰路につきました。

 

滞在時間は3時間半くらい。

チケットの待ちが約30分、イルカショーが待ち含めて1時間くらい。

 

チケット大人2050円、幼児600円ははっきり言って高いです。

近くに住んでるなら、年間パスポート買うんですがね。

 

ま、息子が自分から行きたがらない限り、当分は来ないでしょう。

全部しっかり見て回れたし。

 

……と思ってたら、帰りにふと気づきました。

 

オオサンショウウオ見てねえ。

 

 

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お盆の育児記録

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

お盆休みをいただき、一週間ぶりの更新になります。

昨日よりショップは通常営業しております。

 

息子も来月で4歳になるし、連休に家族で旅行することもできるかな……と思っていたんですが、やっぱりまだ時期尚早だと判断しました。

まずおむつが取れてないし、ちゃんと夜に寝ないし(ずっとおんなじこと言ってる気がする)。

 

息子は私がずっと家にいるだけでご機嫌なんですが、せっかくの休みにどこにも行かないのは私自身がしんどい。

そこで、日帰りできる範囲で色々お出かけしてきました。

 

まず、梅田の阪急百貨店9Fで開催していた鉄道模型フェスティバル。

この催事場は先日まで「えほんパーク」をやってて、「100かいだてのいえ」シリーズの最新作発売記念イベントも行われていました。

 

≫絵本の紹介「100かいだてのいえ」

 

それにしてもすごい人の数でした(鉄道模型フェスティバルの話)。

運転シミュレーターとか、整理券もらうのに20分並んで、さらに待ち。

やめとこうかと思ったんですが、この時だけは妙に粘り強く待つ息子。

 

何よりも、会場に展示されているトーマスの模型や新幹線型ロボアニメの玩具などを食い入るように見る息子に恐怖。

 

それから、以前から考えていた息子のプールデビューですが、鶴見緑地のプールへ行きました。

10年ぶりくらいに水着買いました。

 

ここは結構広くて、ウォータースライダーとか流れるプールとかもあって、夜遅くまで開いてるのがいいところ。

怖がりの息子ですが、意外にも水に対する警戒心は薄かったようで、何の迷いもなく入って行ったので一安心。

「帰る!」とか言われたら、家族全員の水着代及びプール入場代がパアですからね。

 

テンションMAXで遊んでいた息子ですが、滑り台で飛び込んだ時に水の中でゴボゴボしたことがトラウマになってしまったようで、帰ってから急に思い出し泣きしてました。

二回目はあるんでしょうか……。

 

もう一つ息子にとって小さなデビューは、近所のカラオケ。

休みの最終日に、1時間だけ行ってみました。

こちらも大いに楽しんだようですが、1時間の間、歌うのはひたすら「大きな栗の木の下で」だけ。

だんだん小さくなってしまう拍手。

 

そんな感じで、取り立てて書くほどのこともないのですが、それなりに充実した連休でした。

家にいる間は、案の定、鉄道模型フェスティバルで見たトーマスと新幹線ロボを、紙工作で作らされました。

何だか小学校の夏休みの工作を思い出しました……。

 

 

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「情操教育」と簡単に言うけれど

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

もうひと月もすれば、我が家の息子も4歳になります(そして、当店も一周年を迎えます!)。

相変わらず生活リズムは不規則で(多少はましになってきましたが)、おむつも外れないし、食わず嫌いは多いし、悪戦苦闘しております。

 

しかし、読書量だけは同年齢の子どもよりも突出していると思います。

最近は宇宙や星に関する本がお気に入り。

写真は、グランドキャニオンが地球儀上に表記されていないことを訝しむ息子。

 

また、キノコの生態とか、世界各国の国旗とか、下水の処理法とか、息子の知識欲は多岐に渡っています。

おかげで私自身、ずいぶん色んなことを知りました。

たぶん、SLが何の略とか、息子が生まれなければ一生知ろうともしなかったと思います(Steam Locomotiveの略だそうです。息子に教えてもらいました)。

 

生後半年から絵本の読み聞かせを始め、1000冊でも2000冊でも、何十回でも何百回でも……という我が家の読み聞かせ育児法は、仕方のないこととはいえ、あまり理解されません。

夫婦お互いの両親にさえ、反対こそされなくとも、奇異な目で見られています。

 

≫3歳までに絵本を1000冊読み聞かせたら

 

私たちのやっていることを「早教育」と呼ばれることに異論はありませんが、「主知的」だと思われるのは困ります。

私は今までただの一度も、息子に絵本を強制したり、知識を教え込もうとしたりしたことはありません。

 

知識面の発達はただの「おまけ」です。

結果としてそうなっただけです。

 

何度も書いてきたことですが、私は息子に「内的に自由な人間」に成長して欲しいと願っています。

そのために、知識よりも感情の発達を重視しています。

 

≫「自由な子ども」を育てるということ

 

「情操教育」こそが育児にとって重要である、という声は年々大きくなっているように感じます。

しかし、本当に人間にとっての「感情」の重要性を理解している人はどのくらいいるのでしょう。

 

「知識」や「技能」は数値化しやすく、目に見えやすく、「他の家の子ども」と比較しやすいものです。

英語が話せるとか、計算ができるとか、ボールを遠くまで投げられるとか、水泳が得意だとか、我が子にそういう抜きん出た能力があると、親はもちろん嬉しいし、誇らしいものです。

 

一方、「優しさ」とか「思いやり」とか「正義感」とか「勇気」とかの人格的長所が子どもに備わっていたとしても、そんなものは親以外には全然興味を示されないことがほとんどです。

大体、「うちの子はすごく優しいの!」とか人に言ったら、良くて「一刻も早くこの場を立ち去りたい」くらいにしか思われないでしょう。

 

結局、親自身も無意識化では、「感情の発達」なんていうはっきり序列化できないものよりも、社会において「武器」となり得る個人的能力の発達に重きを置いているのが今の時代の現実ではないかと思います。

自慢できますしね。

 

そしてもう一つ、「感情」という人間器官について、親もいまいち理解していない状態で「情操教育」という言葉だけを先行させている空疎さを感じます。

 

勘違いされてる方が多いですけど、「感情豊か」とは、「喜怒哀楽を前面に押し出す」ことではありません。

それはただのオーバーリアクションです。

 

その人の内面において、感情がどれくらい細分化されているか。

たとえば「楽しい」のか「愉しい」のか、「喜び」なのか「歓び」なのか「悦び」なのか。

そしてその感情を、どれくらい正確に本人が把握しているか。

自分を客観視し、コントロールできているか。

 

それが共感する力、想像する力、理解する力へと繋がっていきます。

そしてこれは非常に重要なことですが、子どもが健全に感情を発達させていけば、必ず「真・善・美」を自らの内に見出します。

押し付けられた道徳観などではなく、内面から輝く力です。

 

ここでは長くなり過ぎるので端的な表現になりますが、子どもは教えられずとも美しい法則性を好みます。

幼い子どもは悲しい話を嫌い、ハッピーエンドを望みます。

「この世は美しくあるべきであり、人間は幸せに生きるべきである」と、無意識の奥で感じているからです。

これは国籍人種関係ありません。

 

「感情の発達」なんて誰でも同じようなもの、と思ったら大間違いです。

目には見えにくいけれども、発達レベルの差は確実に存在します。

そしてその差は、年齢を重ねるごとに、いかんともしがたいほどの開きとなってしまいます。

 

世の中の大人を見渡せばわかるでしょう。

いくら知識を詰め込んでいようが、心が未熟なままでは、それは死んだ知識です。

そういう大人はもう、自己を成長させることを止めてしまっています。

 

短気であったり、頑固であったり、極端に悲観的であったり、嫉妬深かったり……。

そういうのは「個性」とは違います。

ただ、感情が健全でないだけです。

 

真の個性とは、正しく感情を発達させた先に生まれるものです。

 

ことほどさように大切な「情操教育」ですが、そもそも育児というものは一面的ではなく、本来はすべてが繋がっているものです。

正しい方法で臨めば、「知識だけ」「体力だけ」「心だけ」を伸ばすような結果にはなりません。

 

だから、感情を大切にしてやれば、自然と知識欲は溢れ、それを満たしてやれば心も満たされ、身体も健康になり、思考も聡明になり……と、全部は関連して循環します(逆も然り)。

 

しかしそれを実践しようと思えば、どうしても障害として立ち塞がるものがあります。

 

それは他ならぬ、親自身の「感情の未発達」です。

 

何と言っても、子どもに最も影響を与えるのは育ての親の性格であり性質です。

聖人でもない限り、完璧な方法で子どもに接することは到底できません(それでも、少しずつでも良くなっていくことが大事なんですがね)。

 

もちろん私とて凡庸な人間であり、聖人には程遠い愚人です。

だから私は育児において、絵本に頼るのです。

 

何度でも言いますけど、絵本の読み聞かせの効用とはすばらしいものです。

ほとんど無敵です。

 

上で述べたように「自分の感情を細分化する」ことは、まず感情を表す「言葉」を持たなければできません。

語彙が貧弱だと、感情も貧弱になります。

絵本は豊富な「言葉」を与えてくれます。

 

「共感する力」や「想像力」や「理解力」は、「物語」を通すことで飛躍します。

絵本には様々な物語が溢れています。

 

芸術は「真・善・美」に近づくためのものです。

絵本は美術作品でもあります。

 

そして何よりも、読み聞かせは最高のスキンシップとなります。

 

こんなメリットしかない情操教育を、たまにしかやらない(もしくは全然やらない)なんて、もったいなさすぎると思いませんか?

 

というわけで、私は「いつでも、何度でも」の読み聞かせをしているのです。

みなさんにもぜひ、この幸せな(大変ですけど)経験をしてもらいたいと思います。

その際には、当店で絵本を購入していただければ幸いです(宣伝)。

 

ところで、散々偉そうなことを書いてきて、お前の息子はどう育ってるんだと聞かれると、なんというか、その。

しかし、情操教育には時間も必要だと思うのです。

目には見えない子どもの深い部分で、じっくりと芽を出すのを待つことができなければなりません。

開き直りじゃありません。

けっして。

……。

 

さて、長々とした記事になってしまいましたが、最後にお知らせ。

明日8/11から8/16まで、当店は出荷作業をお休みさせていただきます。

注文メールや問い合わせメールに関しましては常時受け付けております。

 

お盆休みは息子をプールデビューさせようと思っていますが、果たして楽しく遊べることやら。

 

 

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少子化対策が本質からずれていることについて

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

我が家は現状息子の一人っ子。

女の子も欲しい気持ちはあるけれど、色々な事情(お金と体力)によって、たぶんこれ以上は家族を増やさないと思います。

一方、世間では少子高齢化について議論されています。

この前、少子化対策として「3人目を産んだら1000万給付」てな話を耳にしまして、何というか、ゲンナリしたんですね。

 

いや、実現したら、3人まで頑張るかもしれませんよ。

貰えるものは喜んで貰います。

でも、現金支給よりも、とりあえず今すぐ大学まで無償化して欲しいですが。

 

しかし、この場でそういう政策の良否について語りたいわけではありません。

私が不快感を覚えたのは、また違う次元の話です。

 

つまり、「子どもを産み、育てる」という極めて人間的な行為を、利益によって誘導しようとすることに対する反射的な嫌悪です。

 

結婚しない、子どもを産まないという選択の背景には、経済的な理由が最も大きい壁として存在していることは確かでしょう。

けど、「お金あげるから産みなさい」と言われると、「は?」と思う。

誰だってそうじゃないでしょうか。

 

子育て家庭に対する環境支援は重要だし、もっともっと改善していかなければならないと思います。

しかし、育児しやすい環境を整えることと、「にんじん」で釣ろうとすることとの間には大きな開きがあります。

どこかの国みたいに「一人しか産んではいけない」と法で規制するとか、逆に「産めよ増やせよ」と号令をかけるとか、いずれにせよ「ほっとけ」と思うのが自然な人情ではないでしょうか。

 

子どもを取り巻く社会問題が解決しないのは、政治を担う人々が、結局のところ人間を理解していないからです。

子どもの可能性や、彼らが作る未来社会に何の興味も示さず、単に労働力としてしか見ていないからです。

 

真に必要なのは制度の改革よりも(それはそれで進めなければなりませんが)人間の(親の)意識の改革です。

利己主義や我執、惰性や自己否定などから解き放たれた精神が必要なのです。

 

社会のあらゆる悲惨の源泉を辿っていくと、そこには「不幸な子ども」がいます。

「幸福な子ども」を一人でも多く育てれば、社会は良い方向に向かいます。

言ってみれば当たり前のことです。

 

これはひとりひとりの意識次第で実現可能なことです。

それでもなお、子育てに大きな障害があるならば、そこにこそ行政の力が働くべきです。

 

世の中には、率直に申して「親になるべきではない」人たちが多く存在しています。

日々起こる子どもに対する耳をふさぎたくなるようなニュースが、それを示唆しています。

 

しかし、それでも、「親になること」「子を育てること」は個人の自由に基づくべきだと思います。

決して誰かが「お前は産め」「お前は産むな」などと指図してはならない領域の問題なのです。

たとえその判断が妥当であったとしても、個人の自由が尊重されないのであれば、それは本当の意味で「自由な子ども」を育てることにはつながらない。

 

ですから、子どもに関わる全ての大人が、自分の内面から目覚めなければならないのです。

空虚な理想論のように聞こえるかもしれませんが、本当に空虚なのは、損得勘定で子どもを産ませて人口増加を図ろうという貧しい発想ではないでしょうか。

 

 

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