サンタさんは信じてるけど、「いい子」にはならない息子

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

クリスマスも終わり、いよいよ2018年もあとわずか。

28日〜新年7日までの間、当店は出荷作業をお休みさせていただきます。

ご注文は常時受け付けておりますが、休み期間中の受注分の発送は8日からになりますので、ご了承ください。

 

さて、我が家の息子も5歳になり、クリスマスプレゼントに期待するようになりました。

去年までは受動的だったんですが、今年はかなり前から「クリスマスにほしいもの」リストを作成しておりました。

ラジコン飛行機、デジカメ、携帯、スマホ……やっぱり普段触れない電子機器がメインに。

絵本や児童書は頼まずとも勝手にこっちがどんどん入荷してくるので、特別なプレゼント感はないんでしょうね。

 

しかし、そもそもこの子、サンタさんを信じてるんだろうか? という疑惑が私の中にありました。

普段から図鑑ばっかり読んでて、「サンタさんがそりに乗ってプレゼントを持ってくる」というファンタジーを果たして受け入れるのかな、と思ったんです。

大好きな漫画の「ドラえもん」には、わりとはっきりとサンタがいないことを前提にしたエピソードもありますし。

 

でも、どうやらそれはそれ、ということらしいです。

今年はサンタさんへの贈り物(折り紙)や手紙を用意するなど、待ち遠しさを見せていました。

 

私としては別に息子がサンタを信じようが信じまいがどっちでもいいんですけど、決まり文句的に使われる「いい子のところにはサンタがくる」という言い回しはなるべくなら使いたくありません。

それは裏を返せば「いい子にしてないとサンタさんが来ないよ!」という大人の脅迫でもあるように思うからです。

 

しかしまあ、サンタさんのパワーを借りたくなる親の気持ちはよくわかります。

これまで度々書いてきましたが、息子は寝るのが大嫌いです。

多少はましになりましたが、いまだに就寝時間は安定しませんし、自分から寝ようともしません。

ちょっと油断するとすぐに夜型生活になってしまいます。

 

で、この前、「クリスマスにほしいもの」リストを嬉々として綴っている息子に対し、妻が「夜に寝ないとサンタさんは来ないよ!」と脅しちゃったんですね。

これは息子にとっても重大問題だったらしく、かなり考え込んでいた様子でした。

 

そして次の日、息子は自分なりに結論を出しました。

じゃあ、もうプレゼントは諦めるしかないね

 

えええ。

 

そこまで寝たくないの?

もうそれ以上何も言えない妻でしたが、実は内心で私は「こいつ、カッコイイな」と拍手を送っていました。

 

内容は褒められたものではないにしろ、息子は大人の利益誘導に乗せられなかったわけです。

バカバカしい話に思われるかもしれませんけど、これはある意味で私が目指してきた育児の正しい成果とも言えます。

ま、かと言って本当にあげないわけにもいかないので、クリスマス当日にはちゃんと枕元にプレゼントを置いておきました。

ちなみに息子が寝たのは深夜2時。

 

サンタクロースからの手紙も添えたんですが、そこで私もささやかな誘導を試みて、内容に「来年も来るから、ちゃんと夜に寝るようにしようね」という一文を添えてみました。

 

朝起きた息子はプレゼントと手紙を発見して大いに感動。

でも、例の手紙を読むと、黙ってペンを持ってきて、「ちゃんと夜に寝るようにしようね」の部分に線を引いて消してしまいました。

 

腹立つくらいカッコイイな、もう。

メリークリスマス。

 

 

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「00冊分の絵本の紹介記事一覧

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【絵本の紹介】「サンタクロースのくるひ」【294冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回はクリスマス絵本を紹介します。

サンタクロースのくるひ」です。

作・絵:西巻茅子

出版社:福音館書店

発行日:1990年10月30日

 

わたしのワンピース」のロングセラーで知られる西巻茅子さんが描く、心温まるクリスマスの物語。

心温まる……のは確かなんですが、なんとも不思議な読後感のお話でして、私のように絵本の深読みばっかりしている大人にとっては、あらぬ空想をさせられてしまう作品なんです。

 

≫絵本の紹介「わたしのワンピース」

 

え、これって何を意味してるの?」とか、「作者は意図的にこういう描き方してるの?」とか考え出すときりが無くなる絵本なのですね。

ま、それは後にするとして、内容を見てみましょう。

 

主人公のマリちゃんのもとに、両親からクリスマスカードが届きます。

マリちゃんの両親はそろって海外赴任で、マリちゃんはおばあちゃんと暮らしている、という珍しい設定。

 

カードの中身は手紙と「ペロペロキャンディー」が3本。

マリちゃんはキャンディーを持って歌いながら外へ行きます。

 

町はクリスマスムード一色。

広場に飾られている巨大ツリーを見て感心していると、ツリーに飾られた天使の人形と目が合います。

キャンディーを「ほしい?」と訊くと天使は「うん!

エンジェルちゃん」というその人形は、マリちゃんの手を取って空を飛びます。

喜ぶマリちゃん。

 

町はずれのモミの木林まで飛んでくると、そこで一休みしているおじいさんに出会います。

マリちゃんはクリスマスのプレゼント、と、最後のペロペロキャンディーをおじいさんにあげます。

おじいちゃん、わたしのところに、サンタクロースは くるかしら?

ああ、よいこのところには みんな、サンタクロースは くるんだよ

 

ペロペロキャンディーが無くなると、エンジェルちゃんはマリちゃんとまた飛び上がります。

残ったおじいさんが赤い上着と帽子をつけると、その正体はサンタクロース。

 

広場のクリスマスツリーでエンジェルちゃんと別れたマリちゃんは、走って家に帰ります。

その晩、サンタクロースはちゃんとマリちゃんのところにも来て、プレゼントを置いて行きます。

 

朝になって、マリちゃんがプレゼントを開けると、中から飛び出してきたのはなんとエンジェルちゃん。

二人は抱き合って踊って跳ねて、「メリークリスマス」。

 

★      ★      ★

 

お絵かき大好きな子どもが描いたようなクレヨン画。

わたしのワンピース」とはまた違った西巻さんの魅力が見えます。

 

とってもほのぼのとしたいいお話なんですが、なんとなく釈然としない大人は私だけではないはず。

というのも、私は読みながら、クリスマスにマリちゃんの両親が帰ってくるというベタなラストシーンを予想していたからです。

 

マリちゃんは最初から最後まで明るくて、両親と離れ離れの淋しさを欠片も感じさせませんが、それがかえって健気で切なくなってしまいます。

両親とのやり取りは結局手紙のみ。

マリちゃんが最後に書いた「おとうさん おかあさん マリはげんきです」の手紙も、つくづく見ていると何故か涙が出てきます。

 

で、例によって私の深読みが止まらなくなってしまうわけです。

もしかして、マリちゃんの両親って……。

すでに天国?

 

そう考えると色々と辻褄が合ってしまうんですよね。

冒頭の手紙は本当に空を飛んでくるし。

エンジェルは娘のことを思う両親からの使いかもしれないし。

だとすると、あのおばあちゃんもなかなか深みのあるキャラクターに思えてきます。

 

クリスマスに浮かれるキラキラした町の中で、ひとりぼっりのマリちゃんの姿は、「マッチ売りの少女」を思わせます。

ここでは「ペロペロキャンディー」がマッチの代わりであり、マリちゃんはキャンディーを舐めている間だけ、束の間の幸せな夢を見ていたのかもしれません。

 

……と考えると、これは思った以上に哀しい物語です。

しかしながら「マッチ売りの少女」と違うのはラストシーンにおいて、マリちゃんは天国に連れて行かれるのではなく、逆に天国から天使が現実に降りてきてくれる点です。

してみると、これは「マッチ売りの少女」のハッピーエンド版とも言えます。

 

……まあ、全部私の個人的な読みですけど。

そんなわけで、これは私の中では見た目と違って「取扱注意」な異色のクリスマス絵本という位置づけになってる作品なのでした。

 

推奨年齢:4歳〜

読読み聞かせ難易度:☆☆☆

変なこと考えずに素直に読め度:☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「サンタクロースのくるひ

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【絵本の紹介】「14ひきのさむいふゆ」【293冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

早いもので、今年も終わりが近づいてきました(ついこの前このセリフを言ったような気がするのに、もう1年たったんですね)。

今年の冬は息子に雪遊びを体験させようと考えているんですが、大阪では全然と言っていいくらい雪が降らないので、ちょっと近所で……という訳にはいきません。

今年はもう無理なので、来年の1月か2月にと思っています。

 

雪遊びに限らず、自然の中での遊びを子どもに体験させたいと考えている親は多いはず。

けれども、都会に暮らしているとそういう機会を作ること自体が難しくなります。

 

今回は読むたびに自然に近い暮らしへの慕情をかき立てられる「14ひき」シリーズより、「14ひきのさむいふゆ」を紹介します。

作・絵:いわむらかずお

出版社:童心社

発行日:1985年11月1日

 

わりと久々の登場ですかね。

このシリーズは四季に応じた生活の中の楽しみや幸せを感じさせてくれます。

 

≫絵本の紹介「14ひきのひっこし」

≫絵本の紹介「14ひきのぴくにっく」

≫絵本の紹介「14ひきのかぼちゃ」

 

自然と一口に言っても様々なイメージが湧きますが、いわむらさんの描く自然は日本の里山風景で、それだけになおさら懐かしさや温かさがページから伝わるのでしょう。

 

でも、今回は冬のお話ということで、家の中での14ひきの暮らしが中心になっています。

雪に降り込められて、外に出れない14ひき。

暖かい色の部屋で、お父さん、おじいさんを中心にした男の子グループが何やら作っています。

薪ストーブがいい感じ。

 

一方お母さんたちは台所でふかしまんじゅうを作っています。

みんなでおやつを食べ、自作のボードゲームに興じます。

これだけ人数がいたら楽しいでしょうね。

大家族の醍醐味。

雪が止んでお日さまが顔を出すと、みんなは外でそり滑り。

これもDIY。

 

冷たい雪の上でも、身体はぽかぽか。

 

★      ★      ★

 

14ひきの暮らしの精神的豊かさは、何かひとつの遊びに対しても、手間暇をかけている点にあります。

現代の都会では何でも商品として手に入るので、もちろん便利ではあるんですが、どこか味気なさも残ります。

 

この絵本には自然の厳しさという側面はあえて描かれていないのですが、当然のことながら自然の中で過ごす冬は楽なものではないでしょう。

ああ、14ひきみたいな暮らしっていいなあ」と思っても、現実的には都会に慣れた現代人には無理なことでしょう。

 

しかし、だからと言って「どうせ無理」と諦めてしまうのではなく、少しでも「いいな」と感じたのなら、できる範囲でやれることを試してみる姿勢は必要だと思います。

この絵本の中で作られているそり、ゲーム、饅頭、どれもやろうと思えば自宅でも作れるものばかりです。

 

面倒くさがらずにやってみるうちに、追い立てられるような都会暮らしの中で忘れていた心の余裕や、知らなかった喜びに出会えるかもしれません。

 

ちなみに、今作でもっとも気になるところの「とんがりぼうしゲーム」は童心社からグッズとして販売されています。

でも、やっぱり自分で作りたいですよね。

 

私も、もちろん作りましたよ。

でも、息子と二人でやってても面白くない……。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆

やってみたくなる度:☆☆☆☆☆

 

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