絵本の紹介「はらぺこあおむし」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

あまりにも有名かつ人気で、今更目新しい紹介文も書けないのですが、エリック・カールさんの「はらぺこあおむし」を紹介します。

世界一人気のある青虫。

ページに食べ物の絵と丸い穴。

そしてそのページをめくると裏側にあおむしがトンネルを抜けるように現れ、次々と食べ物の数が増えていきます。

 

エリックさんはアイディアの塊のような人で、この一冊にあおむしの成長過程、数や曜日の概念なども盛り込んでおり、カラフルな色彩効果も相まって、表紙から見返しに至るまで、すべてのページが子どもの気を引かずにはおかない構成になっているのが凄い。

ピクルスとかサラミとか、あまり日本の幼児には馴染みが薄いであろう食べ物も出てきます。

 

食べても食べてもまだ食べる。

ユーモラスながらも凄まじい成長への渇望は、まさに子どもそのものです。

0歳からでも読み聞かせることのできる絵本ですが、少し大きくなってからだと、自分でページをめくる楽しみを覚えるでしょう。

 

この絵本の大ヒット後、次々としかけ絵本は出版されていますが、まだこれを超える作品は生まれていないでしょう。

この手の作品は、ともすれば斬新なアイディアや奇抜さばかりを追いかけて、一番たいせつな子どもの存在を忘れてしまいがちです。

エリックさんは前衛的な作家ですが、常に読み手としての子どもを念頭に置いています。

アイディアに引きずられすぎない、やりすぎない、誠実さと抑制のある作品作りが、超ロングセラーの実態ではないでしょうか。

 

ところで、この「はらぺこあおむし」は、ネット古本屋としては扱いが難しい本でして、やはり他の絵本に比べて傷みが激しいものが多いのです……。

これだけ人気本だから仕方ありませんが、きれいな状態の一冊に巡り合えた時などは本当に「やった!」と思います。

状態のよい「はらぺこあおむし」、高値で買い取らせて頂きます。

ぜひ、当店の買い取りサービスをご利用ください。

 

もちろん、他の絵本も買い取りしておりますよ。

 

 

絵本専門の古本屋 えほにずむ

〒578-0981

大阪府東大阪市島之内2-12-43

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絵本の紹介「ちいさいじどうしゃ」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

なぜに子どもは、特に男の子は乗り物が大好きなのでしょう。

女との脳の構造の違いで、男は狩りをしていた頃の名残りで、動く物に強い関心を持つとか。

 

学説の正否は知りませんが、我が家の息子(3歳)は、至って順調に男の子として成長している模様で、最初は「丸くて回っているもの」に興味を示し(タイヤとか独楽ですね)、続いて自動車に興奮し、現在は電車に傾倒し、毎日飽かずに図鑑を眺めております。

 

こういう子どもの好みは昔から変わりませんから、のりもの絵本というジャンルが出来上がったわけですね。

 

今回はそんなのりもの絵本の代表的ロングセラー、「ちいさいじどうしゃ」を紹介します。

作者のロイス・レンスキーさんは女性です。

実に1934年に刊行された絵本です。

日本語版は福音館書店から、当時は製作費などの都合からか、二色刷で出版されていました。

現在はカラー版となっています。

話の筋というほどのものはなく、ただ主人公のスモールさんが自動車で町までドライブして帰ってくる様子を、淡々とした文章で説明し続けます。

ちいさい じどうしゃには タイヤが ついています。 スモールさんは、タイヤに くうきを いれています

ちいさい じどうしゃには ラジエーターが ついています。 スモールさんは、ラジエーターに みずを いれています

 

この徹底的ともいえる素っ気なさ。

読み聞かせる側としては少々退屈かもしれません。

まして、これを10回もアンコールされると、もはや苦痛です。

 

しかし、まさにこの語り口こそが、この絵本が80年以上もの長きに渡って子どもに支持され続けてきた最大の理由なのです。

 

子どもは世界を知りたがっています。

大人がそれをどういう形で教えればよいのかについて、単一の正解は存在しません。

論理的に説明するのか、ファンタジーの形式で伝えるのか、細部まで解説するのか、輪郭だけを与えるのか。

 

それはケースバイケースですが、少なくとも現実的生活というものを教えるときには、この絵本のように、余計な言葉を省き、事実だけを分かりやすく語ってあげることが必要なのでしょう。

 

子どもはそこに、作者の子どもへの敬意と真摯さを感じ取ります。

この絵本は絵と文に何の乖離もありません。

文は完璧に絵を語っていますし、絵は完璧に文を語っています。

そこに、子どもへのごまかしは、一切入り込む余地はないのです。

80年前の外国の絵本ですから、時代を感じさせる描写はあちこちにあります。

それでもそれを問題にしないのは、この絵本がきちんと子どもに向けて作られていることを、子どもたち自身が見抜くからでしょう。

 

■「スモールさん」シリーズの、スモールさん一家の日常を描いた「スモールさんはおとうさん」も人気です。

 

 

 

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絵本の紹介「じごくのそうべえ」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回はたじまゆきひこさんの大人気絵本、「じごくのそうべえ」を紹介します。

ご存知の方も多いでしょうが、これは上方落語の「地獄八景亡者の戯」(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)を題材にした絵本です。

型絵染という技法で描かれた絵は迫力があり、タイトルとも相まって、おどろおどろしい印象も受けますが、中身は抱腹絶倒のユーモアがたっぷりです。

地獄といっても、教訓的な話やグロテスクな表現は一切なく(下ネタは出てきますが……)、最後はちゃんとハッピーエンドが用意されています。

 

主人公のそうべえは軽業師。

集まった人々の前で綱渡りを披露しますが、誤って転落、死んでしまいます。

気が付けばそこはあの世。

歯医者のしかい、医者のちくあん、山伏のふっかいらを道連れに、三途の川を渡って閻魔大王の裁きを受けることに。

閻魔大王のかなりいい加減な裁きによって、そうべえたち四人は地獄行きにされてしまいます。

 

しかし、四人はそれぞれの特技を活かし、次々と地獄の責め苦を切り抜けてしまいます。

最後には閻魔大王も呆れ返って、「このものたちは もう、じごくから ほうりだしてしまえ」と匙を投げる始末。

 

この、地獄という「お仕置き」から仲間と協力して逃れるという展開は、いたずら盛りの子どもには特に痛快に感じることでしょう。

いたずらっ子は、大人に「参った」を言わせたいのです。

 

ちなみに、元ネタの「地獄八景亡者の戯」は、一時間を超す大ネタで、故・桂米朝師匠が得意としていた噺です。

元ネタでは登場人物が次々に入れ替わるため、はっきりした主役が存在しません。

 

また、最後に生き返るのも、絵本のオリジナルです。

 

さて、「読み聞かせにもぴったり」というこの「じごくのそうべえ」ですが、上方落語を元にしているだけあって、全編キレのある関西弁によるセリフだけでストーリーが進行します。

 

よって、関西弁に馴染みがない方には、難易度は高めと思われます。

 

セリフだけで話を進める以上、声色の使い分けは必須ですが、地の文がないために、どのセリフが誰のものか、すぐにはわかりにくい箇所もあります。

冒頭の「とざい とうざい。かるわざしの そうべえ。いっせいちだいの かるわざでござあい」の口上も、あれはそうべえ本人が言っているわけではなく、下で三味線を弾いている奥さんのセリフですので。

 

この絵本に限ったことではありませんが、読み聞かせの前にはどうぞ下読みを。

 

とはいえ、子どもにとっても、テンポの良い関西弁のリズムは、少々意味が分からなくとも心地よいものです。

我が家では息子が2歳のころに読み聞かせました。

どういうわけか、「いうてまっせ」が気に入った様子で、色んな場所で「いうてまっせ」を連発。

意外と使い方は正しかったりするので、子どもは侮れません。

 

 

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