【絵本の紹介】「あんぱんまんとばいきんまん」【258冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回はお久しぶりに国民的アイドルに登場してもらいましょう。

あんぱんまんとばいきんまん」です。

作・絵:やなせたかし

出版社:フレーベル館

発行日:1979年7月

 

例によってまだ平仮名表記の、初期「あんぱんまん」です。

そしてついに今回、あの名悪役「ばいきんまん」が初登場します。

 

初期あんぱんまんの特徴やアニメとの差異、作者のやなせさんの想いなどをつづった過去記事も読んでみてくださいね。

≫絵本の紹介「あんぱんまん」

≫絵本の紹介「アンパンマンのサンタクロース」

 

さて、「ひもじい人に食べ物を(文字通り)身を削って分け与える」という、やなせさんの考える「正義」の具現として生み出されたヒーローあんぱんまん。

(ちなみにデザインは「月おとこ」にインスピレーションを受けたそうです)。

 

≫絵本の紹介「月おとこ」

 

第一作「あんぱんまん」では、砂漠や森で彷徨う人々に顔を食べさせるだけの(連れ帰ってはくれないんですね)お話でした。

私は大好きですが、少々シュールが過ぎて、ホラーテイストすら漂わせるデビューでした。

 

やなせさん自身、「何かが足りない」と試行錯誤を重ねた末、悪役ライバルとして「ばいきんまん」を登場させ、なおかつなんと「あんぱんまん」を巨大化させて戦わせるという王道ヒーローものに作品を転向させます。

 

あまつさえ、「顔を食べさせる」というあんぱんまん最大のコンセプトさえカット。

大丈夫なのかやなせさん。

 

しかしこれが結果的には大当たり。

以後、「ばいきんまん」は主役を凌ぐほどの人気者に成長してゆくことになります。

 

ついに名前が判明した「ジャムおじさん」(まだバタコさんも未登場)が、なんだか具合悪そうに座り込んでいます。

おじさん あんこが くさりますよ

とあんぱんまん。

こういうセリフ回しに、まだまだ飄逸なあんぱんまんのキャラクターが見えます。

 

あんぱんまんは工場の上空を覆う黒い雲を調べるため、飛び出します。

ここでばいきんまん登場。

触覚とか、微妙に現在とデザインが違います。

 

テレビであんぱんまんを見つけると、

なんだ、こいつは あんパンの おばけか?

と、紫色の光を放って、あんぱんまんを墜落させます。

 

あんぱんまんは地上に叩きつけられ、中身が出るなど、人間だったらかなりグロいことになります。

大泣きしながら工場に帰るあんぱんまん(この辺りの性格もアニメ版とは結構違います)。

 

さあ、ジャムおじさんは怒り心頭、具合が悪いのも忘れて「ジャイアントあんぱんまん」を作り始めます。

おおきくて かたくて ぜったいに つぶれない」という、とても食べることのできない「ジャイアントあんぱんまん」。

ボディはどうなってるの?

ボディもチェンジしてたら、あんぱんまんのアイデンティティってどうなるの?

そんな疑問は無視して、ジャイアントあんぱんまんはばいきんまんにリベンジ完了。

黒い雲を吹き飛ばし、青空を取り戻します。

 

戦いの終わったジャイアントあんぱんまんは元のサイズの食べられるあんぱんまんに戻り(ボディは?)、「せかいじゅうの おなかの すいた こどもたちを たすける ため」飛んでいくのでした。

 

★      ★      ★

 

やなせさん、悩んだんでしょうねえ……。

こうして改めて読み返してみると、第一作「あんぱんまん」とは結構違った方向へテコ入れしてるのがわかります。

 

何気に助ける相手が「こどもたち」に限定されちゃってるし。

しかしまあ、あんぱんまんのキャラクターや、せっかくできたジャイアントあんぱんまんが工場から出られずに屋根をふっ飛ばして外に出るところなど、シュールな味はそのままです。

 

私も子どもの頃はこの絵本の展開に興奮した記憶がありますし、やっぱり子どもが喜ぶものを追及した結果の作品転向であり、そしてそれは大成功と言うべきでしょう。

 

でも、初期の八頭身あんぱんまんのことも忘れないでやってくださいね。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

色々と衝撃的度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「あんぱんまんとばいきんまん

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「00冊分の絵本の紹介記事一覧

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【絵本の紹介】「よるのびょういん」【257冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回は写真絵本を持ってきました。

よるのびょういん」です。

作:谷川俊太郎

写真:長野重一

出版社:福音館書店

発行日:1985年2月15日(こどものとも傑作集)

 

タイトルで誤解しないよう言っておきますけど、ホラー要素はありませんよ。

上質なドキュメンタリー形式のフィクション絵本です。

 

文は詩人・谷川俊太郎さん。

写真を撮影しているのは記録映画「1964年東京オリンピック」に参加した長野重一さん。

同映画には谷川さんも脚本家として参加されています。

 

病院の仕事を紹介する絵本は色々とありますが、これは少年の緊急手術というストーリーを付け、俳優たちによる演技をモノクロフィルムに映すという手法を取ることで、いわゆる科学絵本や知識絵本とは一線を画す、緊迫感と絶妙なユーモアの感じられる特異な作品に仕上がっています。

 

朝からお腹が痛いと言っていた少年「ゆたか」が、夜中に高熱を出します。

父親は新聞社の夜勤という設定で、母親が救急車を呼ぶことになります。

熱でぼうっとなりながらも、初めての救急車に興奮するゆたか。

病院に着くと当直の先生が颯爽と白衣に腕を通しながら階段を駆け下りてきます。

すぐに しゅじゅつだ!

ドキドキする展開。

要所要所に病院の仕事や機械などが登場し、子どもの「知りたい欲」をくすぐります。

 

一方、ゆたかの父親は母親から連絡を受けますが、ここでも夜の新聞社での仕事を垣間見ることができ、「輪転機」などのワードもさりげなく差し込まれます。

谷川さん、わかってらっしゃる。

手術が続く中、夜の病院で働く人々が写されます。

看護婦さんやボイラーマン、集中治療室の様子など。

病院とは、お医者さんと看護婦さんだけの職場ではないのです。

 

ゆたかの手術は無事に終わり、ほっとした空気が流れます。

 

★      ★      ★

 

ゆたかの病気は要するに盲腸で、深刻なものではないのですが、お腹を切るのですから、子どもたちにとってはドキドキするような本物の手術であることには変わりありません。

恐怖を感じさせることなく、この非日常のハラハラ感を演出できるのは、モノクロ写真の力と、谷川さんの文の力にあります。

 

ずいぶん おんぼろもうちょうだけど、きねんに うちへ もってかえるかい

と冗談を飛ばす先生や、

まえから おれが いってたろう、ぶどうの たねは はきださないと もうちょうになるって

と、真剣な様子で言う父親。

 

緊張感漂う全編において、ふっと肩の力を抜けるような、絶妙なユーモアが秀逸です。

 

ちなみに谷川さんによる写真絵本では他に「なおみ」という作品がありますが、これもホラーではないのですが、こちらは人形の写真のインパクトが強烈過ぎて「怖すぎる」絵本として一部で有名です。

谷川さんとしては不本意でしょうけど。

 

推奨年齢:5歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆

ブドウの種で盲腸になるのは迷信ですよ度:☆☆☆☆☆

 

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【絵本の紹介】「おはなしおはなし」【255冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

子どもの頃、アフリカの昔話を集めたような絵本が家にあって、その情緒たっぷりな挿し絵に惹きつけられた記憶があります。

テキストは英語だったので、内容は絵から想像する他なかったのですが、それが逆に楽しかったんですね。

 

今回はアフリカの生活感や匂いが伝わってくる素敵な木版絵本「おはなしおはなし」を紹介します。

作・絵:ゲイル・E・ヘイリー

訳:芦野あき

出版社:ほるぷ出版

発行日:1976年9月20日

 

冒頭の文で、アフリカの民話には必ずと言っていいほど「クワク・アナンセ」という「クモ男」が登場することが紹介されています。

そしてこの絵本はその「クモの話」の由来を語ったものである、と。

 

実はこれは完全に作者のヘイリーさんの創作のようです。

そして、ヘイリーさんはアフリカの人ではありません。

 

カリブ海に住んでいた彼女は、そこに伝わる猛獣の出てくる話の起源をたどってアフリカに行き着いたそうです。

この絵本を作るにあたって、アフリカの民話と文化を学んだそうですが、本当にこんな民話がアフリカにあると思わせるのに十分な力を持った作品に仕上がっています。

アフリカでは、老人が子どもたちを集めて「おはなし」をします。

ここでも一人のおじいさんが子どもたちを前に、

さあ、おはなし、おはなし」。

 

おじいさんの話の内容はこうです。

昔々、世界にはお話がひとつもなかった。

それは空の王者ニヤメが、お話を全部しまい込んでいたから。

 

クモ男アナンセじいさんは、ニヤメからお話を買い取ろうと、クモの糸で空の上へ向かいます。

ニヤメはお話の交換条件として「ガッブリかみま」「チックリさしま」「コッソリいたずらま」を持ってくるように要求します。

アナンセは地上に戻り、「ガッブリかみま」のヒョウや、「チックリさしま」のクマンバチ、「コッソリいたずらま」の妖精を、策略を用いてクモの糸に捉えます。

そして彼らを空の王者に差し出すと、空の王者はアナンセをほめたたえ、お話の入った箱を与えます。

アナンセが村に持ち帰った箱を開けると、中からお話が飛び出して世界の隅々に散らばりました。

 

この話も、そのうちのひとつだと いうわけさ

 

★      ★      ★

 

この絵本の仕掛けの面白さは、「物語の起源を語る物語」という多重構造にあります。

単純にひとつの民話として読んでも面白いですけど(すでにそれがアフリカ民話風の創作であることは、冒頭に明かされているにも関わらず)。

 

さらには、最後におじいさんが自分の正体を明かすことで、読者は何層にも重なった物語の「糸」に絡めとられます。

クモの話だけに。

 

人間が他の動物と決定的に違う点は、虚構=物語を養分として生きるところです。

子どもたちが目をキラキラさせ、貪欲なまでに物語を求めるのは、それが食物と同じように、自分の成長に必要であることを知っているからです。

 

昔話のいいところは著作権がないことで、おじいさんが口にしたように、

気にいったはなしがあったら、だれでも、もっていってつかう

ことが許されています。

 

それは先人たちが残してくれた贈り物であり、それに対する返礼は、「次の世代に物語を伝える」ことでなされるのだと思います。

 

推奨年齢:5歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆☆

アフリカの味わい度:☆☆☆☆☆

 

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【絵本の紹介】「こすずめのぼうけん」【247冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

人混みなどで、ほんの一瞬でも目を離すといなくなる子ども。

一体あの短時間で、どんな動きをして視界から消えてしまうのか、ほとんど手品みたいな気がします。

 

我が家の息子もしょっちゅう姿を消しますが、幸いにして全部すぐに捕獲成功し、迷子になったことはありません。

隠れて行動観察していると、最初は勝手気ままに歩いたり立ち止まったりしていますが、親の姿が見えないことに気づくと、突然あらぬ方向へ猛ダッシュしたりします。

なるほど、こうやって迷子になるのか。

 

私自身はデパートやら動物園で何度も迷子になる子どもでした。

親切な人に迷子センターに連れて行かれる時に、妙な屈辱感を覚えた記憶があります。

 

私の親はさほど心配した様子もなく「またか」という感じで迎えに来たものですが、親になった今、もし息子が本当に迷子になったらと想像すると、私なら半狂乱になる気がします。

それだけ時代が(気分的に)物騒になったのかもしれません。

 

今回紹介するのは「こすずめのぼうけん」です。

作:ルース・エインズワース

絵:堀内誠一

訳:石井桃子

出版社:福音館書店

発行日:1977年4月1日(こどものとも傑作集)

 

これは、イギリスの児童作家エインズワースさんの物語に、堀内さんが絵を付け、石井さんが翻訳して絵本にした作品です。

翼をぱたぱたさせることができるようになったこすずめに、おかあさんすずめが飛び方を教えます。

 

まずは巣から見える石垣まで飛ぶ稽古をしますが、初めての飛翔に成功したこすずめは、

ぼく、これなら、あの いしがきの てっぺんより、もっと とおくへ とんでいける

と考え、

せかいじゅうを みて こられる

とまで思い、そのまま石垣を飛び越えて行ってしまいます。

しかし調子に乗って飛んでいたのは初めだけで、羽が痛くなってきてしまうこすずめ。

どこかで休ませてもらおうと、色んな鳥の巣に入れてもらおうとしますが、からすやふくろうたちは「ちゅん、ちゅん、ちゅんってきり いえない」こすずめを、「なかまじゃない」と、拒みます。

 

くたびれ果てたこすずめが地面の上を歩いていると、おかあさんすずめが迎えに来てくれます。

暗がりでお母さんだとは気づかないこすずめは、

ぼく、あなたの なかまでしょうか?

と切ない問いを発します。

おかあさんすずめはこすずめを背中に乗せて巣に戻ります。

ラストの安心感と美しい情景が心に響きます。

★      ★      ★

 

主人公が一人で外の世界を冒険し、様々な経験をし、最後は母親のもとへ帰って安心して眠る。

子どものための物語の、一つの型とも呼ぶべき構成の作品です。

 

奇をてらうような展開や表現はありませんが、自立心や冒険心の芽生え始めた子どもたちは、このこすずめに共感し、同化して物語に入って行けるでしょう。

何気なく、色々な鳥たちの巣作りの習性などを知ることもできます。

 

堀内さんはこの作品を絵本化するにあたり、イギリスの農村風景の地形の断面図まで事前に制作したそうです。

横長のページを効果的に使い、広々とした風土や情景、鳥たちの生活感までがリアルに伝わってきます。

夕暮れ時の色使いは特に美しいですね。

 

推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

おかあさんすずめが割と冷静度:☆☆☆☆☆

 

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【絵本の紹介】「くものすおやぶんとりものちょう」【229冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

とんとん拍子で暖かくなってきましたね。

もうそろそろ桜が咲きそうな季節です。

そして同時に、毛虫が湧く季節でもあります。

 

みなさんは虫は好きですか?

私は正直言って苦手な方です。

 

子どもの頃は割と平気でミミズとかクモとか触ってたんですけどねえ。

あんなちっちゃな生き物が、どうして大人になると怖くなってしまうんでしょう。

 

しかし、子どもには元気で外遊びをしてほしいし、虫を怖がったりしないでほしい……という、自分勝手極まりない親心。

が、そのためにはまず親が気持ち悪がったりせずに虫と触れ合うべきでしょう。

今のところ、その機会はまだ訪れていませんが(無意識に避けているのかな)。

 

しかしその一方で、世の中には虫が好きで好きで愛おしくてたまらないといった大人たちもいらっしゃるのです。

今回はそんな虫好き絵本作家・秋山あゆ子さんの「くものすおやぶんとりものちょう」を紹介しましょう。

作・絵:秋山あゆ子

出版社:福音館書店

発行日:2005年10月15日(こどものとも傑作集)

 

秋山さんは1992年に月刊「ガロ」に漫画家としてデビューし、やがて絵本も手掛けるようになります。

これはあの佐々木マキさんと同じコースですね。

 

漫画も絵本も、題材はとにかく全部虫。

この作品も、昆虫×時代劇という独特の舞台設定ながら、絵本としての完成度は高く、虫が苦手な私もお気に入りの一冊です。

 

十手をあずかる「くものすおやぶん こと おにぐもの あみぞう」と「はえとりの ぴょんきち」の捕り物劇。

事件は菓子屋「ありがたや」(従業員はアリ)に届いた犯行予告文から始まります。

蔵の中のお菓子を頂戴する、と書かれた手紙。

差出人の名は「かくればね」。

春祭りを明日に控えたありがたやの主人たちは涙ながらにおやぶんに訴えます。

 

おやぶんは自慢の糸で蔵をぐるぐる巻きにし、夜通しの見張りに付きます。

夜も更けた頃、大きな繭が蔵の戸を叩き壊して侵入します。

その名の通り「かくればね」は姿を見せないまま、次々とお菓子を奪って逃走しようとします。

その正体は三びきの蛾。

羽の模様を変えて、背景に同化していたのです。

追いかけっこのシーンでは、探し絵遊びも楽しめます。

 

ついにおやぶんは「かくればね さんきょうだい」を追い詰め、蜘蛛の糸で召し捕えます。

かくればねたちは改心し、春祭りではお菓子を詰めた繭を運んで奉公します。

そして後には盗人の足を洗って運送屋となり、一件落着。

 

★      ★      ★

 

絶妙なバランスで擬人化された虫たちも見事ですが、江戸の街並み、たくさんの奉公人を抱えた大家の中などの細かい描き込みが素敵です。

前述の探し絵の要素とも相まって、隅々まで絵を楽しめる作りになっています。

 

耳馴染みのない時代がかった文も、音読すると楽しいです。

こういう本気の時代劇絵本は数が少ないので、その点でも貴重に思います。

 

我が家の息子も、もうちょっと大きくなったらセミやらクワガタやらを捕まえてきたりするのでしょうか。

街中に住んでいると、身近に虫を見かける場所も、捕まえる場所も、最近ではずいぶん減ったのかもしれません。

 

けれども、虫というものは人類より遥かに長い歴史を生き残ってきた種族です。

たとえ人類が絶滅しても、彼らのうちの多くは生き延びそうです。

 

もしかすると、虫に感じる怖さとは、そういう人間を遥かに超えた生命力に対する畏怖の念なのかもしれませんね。

 

推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆☆

虫愛度:☆☆☆☆☆

 

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