【絵本の紹介】「14ひきのさむいふゆ」【293冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

早いもので、今年も終わりが近づいてきました(ついこの前このセリフを言ったような気がするのに、もう1年たったんですね)。

今年の冬は息子に雪遊びを体験させようと考えているんですが、大阪では全然と言っていいくらい雪が降らないので、ちょっと近所で……という訳にはいきません。

今年はもう無理なので、来年の1月か2月にと思っています。

 

雪遊びに限らず、自然の中での遊びを子どもに体験させたいと考えている親は多いはず。

けれども、都会に暮らしているとそういう機会を作ること自体が難しくなります。

 

今回は読むたびに自然に近い暮らしへの慕情をかき立てられる「14ひき」シリーズより、「14ひきのさむいふゆ」を紹介します。

作・絵:いわむらかずお

出版社:童心社

発行日:1985年11月1日

 

わりと久々の登場ですかね。

このシリーズは四季に応じた生活の中の楽しみや幸せを感じさせてくれます。

 

≫絵本の紹介「14ひきのひっこし」

≫絵本の紹介「14ひきのぴくにっく」

≫絵本の紹介「14ひきのかぼちゃ」

 

自然と一口に言っても様々なイメージが湧きますが、いわむらさんの描く自然は日本の里山風景で、それだけになおさら懐かしさや温かさがページから伝わるのでしょう。

 

でも、今回は冬のお話ということで、家の中での14ひきの暮らしが中心になっています。

雪に降り込められて、外に出れない14ひき。

暖かい色の部屋で、お父さん、おじいさんを中心にした男の子グループが何やら作っています。

薪ストーブがいい感じ。

 

一方お母さんたちは台所でふかしまんじゅうを作っています。

みんなでおやつを食べ、自作のボードゲームに興じます。

これだけ人数がいたら楽しいでしょうね。

大家族の醍醐味。

雪が止んでお日さまが顔を出すと、みんなは外でそり滑り。

これもDIY。

 

冷たい雪の上でも、身体はぽかぽか。

 

★      ★      ★

 

14ひきの暮らしの精神的豊かさは、何かひとつの遊びに対しても、手間暇をかけている点にあります。

現代の都会では何でも商品として手に入るので、もちろん便利ではあるんですが、どこか味気なさも残ります。

 

この絵本には自然の厳しさという側面はあえて描かれていないのですが、当然のことながら自然の中で過ごす冬は楽なものではないでしょう。

ああ、14ひきみたいな暮らしっていいなあ」と思っても、現実的には都会に慣れた現代人には無理なことでしょう。

 

しかし、だからと言って「どうせ無理」と諦めてしまうのではなく、少しでも「いいな」と感じたのなら、できる範囲でやれることを試してみる姿勢は必要だと思います。

この絵本の中で作られているそり、ゲーム、饅頭、どれもやろうと思えば自宅でも作れるものばかりです。

 

面倒くさがらずにやってみるうちに、追い立てられるような都会暮らしの中で忘れていた心の余裕や、知らなかった喜びに出会えるかもしれません。

 

ちなみに、今作でもっとも気になるところの「とんがりぼうしゲーム」は童心社からグッズとして販売されています。

でも、やっぱり自分で作りたいですよね。

 

私も、もちろん作りましたよ。

でも、息子と二人でやってても面白くない……。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆

やってみたくなる度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「14ひきのさむいふゆ

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「00冊分の絵本の紹介記事一覧

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

絵本の買取依頼もお待ちしております。

 

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【絵本の紹介】「くんちゃんとふゆのパーティー」【289冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

私が住んでいる大阪では、積もるほどに雪が降ることは本当に珍しく、息子はまだ積雪を見たことがありません。

けれども様々な絵本から雪遊びの知識はたくさん得ていますので、今年は色々と(勝手に)計画を立てている様子。

 

12月のカレンダーを見たら、いつの間にか息子が「そり」の予定を書き込んでました。

どうやら12月には必ず雪が積もるものと思っているらしい。

 

他にも巨大な雪だるまを作るとか、かまくら(2階建て・滑り台付き)を作るとか、期待は膨らむ一方。

これはもう、スキー場にでも連れて行くしかないかもしれません。

 

さて、今回は優しい冬の絵本「くんちゃんとふゆのパーティー」を紹介します。

作・絵:ドロシー・マリノ

訳:新井有子

出版社:ペンギン社

発行日:1981年11月

 

天真爛漫な「くまのくんちゃん」シリーズ。

以前に「くんちゃんのはじめてのがっこう」を取り上げました。

 

≫絵本の紹介「くんちゃんのはじめてのがっこう」

 

豊かな自然に囲まれた一軒家で、優しく理解のある両親から愛情を受けて健やかに育つくんちゃんの物語。

本当にこのシリーズは「健やか」という言葉がぴったりきます。

 

寒い季節がやってきて、冬ごもりの支度を始めるくんちゃん一家。

でも、くんちゃんは冬ごもりなんかしたくありません。

何故なら、まだ雪を見たことがないから。

 

それを聞いてお父さんは、くんちゃんが雪を見られるように、冬ごもりは少し先延ばしにすることにします。

子どもに理解のあるお父さん。

 

そのお父さんはよその家の屋根直しを手伝いに出かけます。

その後、ついに雪が降ってきます。

 

大喜びで雪と触れ合うくんちゃん。

雪を掴まえようとしたり、足跡を付けたり、雪だるまを作ったり。

雪が積もると食べるものがなくなるという小鳥たちのために、木の枝に食べ物を結び付けたり、しまりすやうさぎたちを呼んでパーティーを開いたりする、優しいくんちゃん。

 

そして、自分の家でも冬のパーティーをして、お父さんをびっくりさせようと考えます。

斧でもみの木を切り倒すくんちゃん。

小さくてもさすがはくま。

力持ちです。

飾りつけをし、クッキーを焼いて待っていると、真っ白な雪ぐまのようになったお父さんが帰ってきます。

 

お父さんは袋からくんちゃんとお母さんへのお土産を出し、家族は楽しい夕飯。

くんちゃんは幸せな夢を見ながら眠りにつくのでした。

 

★      ★      ★

 

黒ペンのタッチに赤が映えます。

「クリスマス」という言葉は出てきませんけど、くんちゃんが作るのは明らかにクリスマスツリーだし、大きな袋をかついで帰ってくるお父さんはサンタさんのようです。

 

マリノさんの描くイラストは、ラフなようでいて本当に繊細です。

くんちゃんの仕草や立ち方など、くまの特徴を維持しつつ人間の男の子そのものに見えます。

 

両親のくんちゃんを見つめる表情からは深い愛情が伝わってきて、思わず我が身を振り返ってしまいます。

寒いけど、面倒だけど、出費がかさむけど、やっぱりこの冬は雪遊びを経験させてやらないとなあ。

しかしいざとなったら、うちの息子は雪の冷たさと寒さにくじけて、早々に逃げ帰るんじゃなかろうか……。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆

お母さん美人度:☆☆☆☆

 

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【絵本の紹介】「ねずみのいもほり」【275冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

天気が悪い日が多かったり、なんか暑かったり、あんまり秋を感じられない気がしますが、それでも昨日息子と公園で見た夕焼け空は秋らしい美しさでした。

今回は山下明生さん・いわむらかずおさんによる「7つごねずみ」シリーズより「ねずみのいもほり」を紹介します。

作:山下明生

絵:いわむらかずお

出版社:ひさかたチャイルド

発行日:1984年8月

 

かなり久しぶりの登場ですが、以前に冬のお話「ねずみのさかなつり」を取り上げたことがあります。

≫絵本の紹介「ねずみのさかなつり」

 

ねずみの大家族を描くいわむらさんの代表作「14ひきのシリーズ」と設定・絵ともに酷似しています。

上の記事でも触れていますが、違いは「7つご」の方は自然に近い田舎暮らしで、他の動物たちとも交流があり、学校にも通っている点です。

 

山下さんがいわむらさんの絵の良さを最大限に発揮できる設定で物語を作っているとも言えます。

素朴な田舎暮らし、自然との共生、懐かしい温かさなどが伝わってきます。

 

ねずみのさかなつり」ではお母さんが活躍しますが、今回はお父さんの出番。

いもほりたいかい」に7つごたちを連れて参加します。

いもほり用のスコップはお父さんの手製です。

7人分作るのは大変だったでしょうな。

道中、このスコップが色々な使い方で役立ちます。

ホッピングにして「ぴょんぴょんとび」、持ち手をロープに通して「ケーブルカー」。

 

この辺りも、今のモノがあふれた時代では思いつかない遊びの数々です。

本来、子どもは棒一本あればいくらでも遊べると言いますが、今はどうでしょうね。

さて、いもほり大会は見事に7つごチームの優勝。

お父さんもびっくりの大きなおいもを掘り出します。

 

お母さんにもこのおいもを見せてあげたいけど、どうやって持ち帰るかが問題。

そこでまたまたお父さんがDIY力を発揮して……。

おいものカヌーで川を下って帰ります。

スコップはオールになります。

 

★      ★      ★

 

うちの息子もいつの間にか5歳。

こういう絵本を読むと、「そうだ、そろそろ芋掘りも経験させてやらないと」と気づきます。

 

土に触れるというのは大人が考える以上に、人間にとって重要な行為だと思います。

大げさな言い方に聞こえるかもしれませんけど、地中に手を入れることは地球の内部に触れるということです。

自分が踏みしめて立っている大地の下には、生命を成り立たせている力が潜んでいるのだと感じる行為です。

 

土を掘ればそこには植物の根が張っており、驚くほどの強靭さで地上部分を支えています。

植物は太陽と、そして地球の両方から生命力を得ており、そしてその力は巡り巡って人間に辿り着きます。

 

芋掘りはそういうことを直観として理解するのに良い機会です。

これは教科書で得る知識とは全く別物ですから。

 

うちの息子も、土に触れるのは大好きです。

公園に連れて行くと、地面にべったり顔までつけて、ひたすらに砂を触り続けます。

体中に砂をこすりつけて、地面に潜る気なんじゃないかと思ってしまいます。

そういう姿を見ていると、やっぱり人間は無意識に地球の力に引き寄せられているのだという気がします。

 

でも、夢中になって砂をまき散らすので、周囲の子どもたちや親御さんたちに嫌な顔をされることもしばしばです。

この場を借りてお詫び申し上げます。

 

推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

スコップ万能度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「ねずみのいもほり

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【絵本の紹介】「どうぞのいす」【271冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回紹介するのは「どうぞのいす」です。

作:香山美子

絵:柿本幸造

出版社:ひさかたチャイルド

発行日:1981年11月

 

香山さんと柿本さんのタッグ作品では、以前に「ヒッコリーのきのみ」を取り上げたことがあります。

 

≫絵本の紹介「ヒッコリーのきのみ」

 

この「どうぞのいす」は、「交換と贈与」をテーマにした人気絵本。

テンポのいい繰り返し展開が読者を飽きさせず、柿本さんのふんわりとしたタッチと温かい色使いの力もあって、優しい思いやりの気持ちが自然と心に染み入るような素敵な物語になっています。

 

うさぎさんがDIYで椅子を作ります。

この椅子をどこに置こうかと考えたうさぎさんは、大きな木の近くに、「どうぞのいす」と書いた立札と一緒に置きます。

つまり、誰でも座って休める公共物として社会に寄付したのです。

はじめにやってきたろばさんは、どんぐりでいっぱいのかごを椅子に置いて、自分は木陰で昼寝。

 

するとそこにくまさんが来て、どんぐりの乗った「どうぞのいす」を見ます。

これは ごちそうさま。どうぞならば えんりょなく いただきましょう

勘違いしたくまさんはろばさんのどんぐりを全部食べてしまいます。

しかしここでくまさんは、

からっぽに してしまっては あとの ひとに おきのどく

と、代わりにハチミツの瓶をかごにいれて行きます。

 

後にはきつねさんがやってきて、ハチミツをなめて、代わりに持っていたパンを。

その次にやってきた十匹のりすさんたちは、パンを食べ、代わりに栗を置いて行きます。

こんな風に次々と物々交換が繰り返され、ろばさんが目を覚ました時には、どんぐりの代わりにたくさんの栗が、椅子の上のかごに置かれていたのでした。

 

★      ★      ★

 

我が家の5歳の息子は一人っ子。

幼稚園にも行かず、社会経験は皆無に等しいです。

 

家の中では好きなようにやらせてますので、「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの」なジャイアニズム。

でも、本来子どもとはそんなもの。

 

私は倫理や道徳を、外的に押し付けないように子どもと接しています。

しかしそれでは、人間を人間たらしめている「どうぞ」の精神を学ぶ機会などないかのように思われるかもしれません。

 

子ども(あとのひと)に対し、大人が「どうぞ」と言い続けると、子どもの人格が曲がってしまうと信じる人たちが大勢います。

しかし、私は見てみたいのです。

本当に心からの「どうぞ」を与えられ続けた子どもが、どう成長するのかを。

 

本心から「どうぞ」と言うためには、「私は十分に満たされている」と思えなければなりません。

だから、「あとのひと」に対し、「私はもういいから、どうぞ」という言葉が出てくるのです。

 

世の中を見ていると、十分に満たされていない子どもたちが、大人からの押しつけによって「どうぞ」と言わされているような光景を度々目にします。

 

子どもたちに「どうぞ」と言わせたければ、まずは子どもたちを完全に満たしてやらなければならないはずです。

それは物やお金ではなく、健全な愛情によってという意味です。

 

そうすることで初めて人間は、「自分には与えられたものを『あとのひと』に贈る義務がある」と感じるのです。

 

そして、この絵本のように楽しく美しい(教訓臭くない)物語を与えてやることも、子どもたちの自然な倫理観を育成する重要な手段だと思います。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

つぶらな瞳度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「どうぞのいす

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【絵本の紹介】「ピーターのいす」【268冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

9月に入りました。

もうすぐこの店は2周年を迎え、そして同時に私の息子は5歳になります。

どちらも、少しずつ成長していることを感じます。

 

それについてはまた改めて記事を書くとして、今回は小さな子どもの成長に心を打たれる名作絵本を紹介しましょう。

ピーターのいす」です。

作・絵:エズラ・ジャック・キーツ

訳:木島始

出版社:偕成社

発行日:1969年10月

 

圧倒的に可愛い黒人少年を主人公にした人気シリーズ「ピーターの絵本」。

色鮮やかで楽しくなってくるコラージュイラストもさることながら、子どもの世界の見過ごしてしまいそうな繊細なドラマを的確に描き出している点が、世界的に長く支持されている要因でしょう。

 

作者のキーツさんの目線は「鋭さ」よりも「あたたかさ」そして「自然体」を感じさせます。

 

≫絵本の紹介「ゆきのひ」

≫絵本の紹介「ピーターのくちぶえ」

 

さて、絵本というものは超時間的な作品が多いものですが、実はこのシリーズでは、ゆるやかに時間が流れています。

ゆきのひ」で、夢中で雪遊びをしていたあのあどけないピーターにも、ついに妹が産まれます。

よく見ると、少し背も伸びたようです。

けれど、ピーターの心中は複雑です。

お母さんは生まれたばかりの赤ちゃんにつきっきりだし、自分のものだったベッドや食堂いすはピンク色に塗り替えられていくし……。

 

ピーターはまだ塗り替えられていないままの、小さな頃に使っていた青いいすを見つけると、「おもちゃの ワニと、あかちゃんのときの しゃしん」を持って、犬のウィリーと一緒に家出します。

もっとも、家出と言っても本当に家を出ただけで、家のすぐ前に持ち物を並べただけ。

それでも、ピーターは侵されつつあるような気のする「自分の領域」を確保した気分になって、懐かしいいすに腰かけてみようとします。

 

ところが、お尻がいすに入りません。

ピーターは、おおきく なりすぎていたんだ!

お母さんが窓からピーターに呼びかけます。

ピーターはいいことを思いつき、こっそり家に帰って隠れます。

 

カーテンの下にピーターの靴を見つけたお母さんは、ピーターの「変わり身」作戦にまんまと引っかかります。

 

大人のいすに座ったピーターは、自分からお父さんに、妹のためにあの小さないすをピンクに塗り替えることを提案するのでした。

 

★      ★      ★

 

キーツさんは相変わらずドラマ作りが上手いです。

そしてテーマの選び方も的確です。

 

「下の子」が生まれ、「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」になる誰しもが経験する、切ないような面白くないような、微妙な気持ち。

特に異性の姉弟が生まれた時は、戸惑いも大きいでしょう。

 

そういう普遍的でデリケートな感情を、キーツさんはことさらに騒ぎ立てず、絶妙なさりげなさで物語として仕上げます。

作者のこうした手腕は、ちょっと他の作家の及ぶところではないと思います。

 

小さな頃のいすにお尻が入らないピーター。

ピーターが「自分自身の成長」に気づくという、作品の核部分を、たったこれだけのカットで終わらせています。

それ以上、なんの補足も入れず、心情も語りません。

 

必要なものはすべて語られたのです。

まさに「詩」です。

 

そしてその後のお母さんとピーターのやり取りも素敵です。

知的な「かくれんぼ」を披露することで、ピーターは自分の成長をはっきりと示すのです。

 

両親の愛情が自分ひとりのものではなくなると感じるときの不安と不満。

けれども、それ以上に自分が大人へ近づいたことの喜びは大きい。

必ずピーターは妹を可愛がるお兄ちゃんになるでしょう。

彼がいかに愛されて育ったかは、彼の素敵な両親を見ればわかるからです。

 

ちなみに、キーツさんのコラージュには、和紙も使われているようです。

ピーターのあの柔らかそうなくせ毛のところでしょうね。

 

推奨年齢:5歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆

家族愛度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「ピーターのいす

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