小学校デビュー

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

一斉休校+様子見の自主休校で一回も小学校に行ってなかった我が家の息子ですが、今週から登校開始してます。

報告がてら、色々思うところを綴ります。

レゴブロックに結束バンドを組み合わせてロボットを作る息子。

回転して進む足っぽくなるそうです。

 

息子が学校に行かない間、週一回は私が学校に行ってプリントや課題を受け取ったりしてました。

学校再開から20日ほど様子を見てましたが、現時点で息子の小学校に欠席者はひとりもいないということで、最大限の注意をしながら登校させてみることにしました。

 

もちろん不安です。

実際、北九州や関東地方などで学校感染がちょくちょく出ています。

こういうことを書くと「脅かし屋」みたいに思われるかもしれないのですが、どうしてそれほど世間が騒いでないんだろうという気もします。

感染経路も追い切れないだろうし、どこでどう無症状感染が拡がっているかもわからないです。

しかし、かと言って3〜4月ごろに私が恐れていたほどに悲惨な状況にもなってなさそうです(私が知らないだけかもしれませんが)。

正直な感想を言えば「よくわからない」なのです。

 

完全に収束したわけでもなく、今後の不安に十分な対策がされているわけでもなく、かと言って爆発的に感染が拡がって周囲でひとがばたばた倒れていくわけでもなく、しかし感染者はじわじわと増えている。

不安から自主休校させてる親御さんたちも多いでしょうが、これでは一体いつまで休校させていればいいのか判断が難しすぎると思います。

 

一応政府・教育委員会・学校側の判断としては学校再開ということになっているわけですが、少なくとも十分な説得力はありません。

その中で休校を続けるのは保護者の責任だけに委ねられており、悩んだり負担を感じている親御さんは大勢います。

私も引き続き経過を見ながら、何かあればまた休校させるつもりでいます。

しんどいですね。

 

さて、本当に初めて学校へ行くことになった息子ですが、思ったよりは問題ないみたいです。

何しろ集団生活経験ゼロ、きょうだいゼロ、協調性なんかあるのかないのか不明な息子。

授業中に立ち上がってどっか行っちゃうようなことはないかと心配だったのですけど、そういうことはしてないようです。

ただ、先生の話もあまり聞いてはなさそうです。

 

母親が送っていくと、別に寂しがりもせずに教室に入り、物珍しそうに色々見たり触ったり。

先生の机も平気で漁って止められたり。

 

授業そのものは「ひらがなの書き方」「数字の数え方」レベルなので難しくはないものの、「同じ字を何回も練習する」こと自体が嫌な息子は真面目にやろうとしません。

勝手にレタリング文字とかにしてしまいます。

ノートは「書き直し」の赤ペンだらけです。

そんなことは私も気にしませんが。

 

心配だったのは給食ですが(偏食なので)、今どきは無理に子どもに食べさせたりしないようなので、息子は食べたいものだけ食べてるようです。

私が子どものころは全部食べないとダメ、というわけのわからないルールがまかり通ってました。

大人だって嫌いなものは食べないでしょ……。

量は足りてないと思うのですが、今のところは学校でお腹がすいて困るという話はしてません。

珍しい体験ばかりなので空腹を感じてないのでしょう。

 

何よりも嬉しいことに、すぐに友だちはできたようです。

向こうから積極的に話しかけてくれて、帰り道も一緒。

一人は道順が違うのに、うちの息子が「心配だから」と途中までついてきてくれます。

同い年に心配されている息子。

 

幼稚園などの経験の差なのか、成長速度の差なのか、周りはみんなしっかりして見えますね。

息子は赤ちゃんみたいです。

図体だけは大きいけど。

他の子より後から通学しだしたので、友だちから見れば後輩感があるのかもしれません。

 

息子にとっては初めてできた友だちですから、叶うならばもっともっと一緒に遊んでほしいし、家も行き来してほしい。

それができない時代であることが本当にもったいないし残念です。

こういう状況が続くことが子どもたちの成長にどう影響するのか、それが懸念されます。

願わくは、しなやかに順応して、感染症など問題にせず健全に育ってほしいものです。

 

 

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【絵本の紹介】「どんどんどんどん」【381冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回は1984年に発表された片山健さんの「どんどんどんどん」を紹介しましょう。

作・絵:片山健

出版社:文研出版

発行日:1984年10月20日

 

ギリシャ彫刻のトーガのようなオムツ(パンツ?)一丁の「こども」が無限の荒野を「どんどんどんどん」突き進んでいく、というだけの絵本。

扉絵では地平線に太陽(あるいは満月)と三日月が同時に浮かび、主人公の男の子が後ろ向きに歩いていく姿が描かれています。

 

とにかく子どもの持つ根源的な生命力やパワーを具象化したいという作者の情念が筆を走らせたような作品ですが、ドタバタナンセンスのようでいてどこかに神々しさが漂っています。

それは上記した主人公の造形・立ち姿・自然の描写などから伝わります。

 

作者は神を畏れるように「こども」を畏怖しています。

作者の経歴や作風の変遷なども見ながらそのあたりを読んでいくと興味深いのですが、まずは本を開いてみましょう。

あるひ あるひ ひとりのこどもが

どんどん どんどん ゆきました

 

というナレーションが入り、主人公の男の子はただひたすら「どんどん どんどん」突き進みます。

直線的で狂暴で、純粋。

男の子の行く手には恐竜や蛇、蛙などの爬虫類、昆虫、動物、微生物などの生き物がうじゃうじゃ出現しては、男の子に蹴散らされていきます。

 

やがて男の子は町に出ますが、お構いなしに「どんどん どんどん」。

まるで怪獣です。

地面には亀裂が入り、町は破壊され、洪水に呑み込まれ、ついには本物の怪獣が火を吐き……。

黒煙が立ち昇り、画面の迫力と熱量は留まるところを知らず、うねりくねり、収拾がつかなくなったところで、

どーん

と、男の子は前のめりに倒れます。

 

そこで「ちょっと つかれた ひとやすみ」。

となりますが、男の子は泥で山を作っています。

一休みとはいっても、何かをしているわけで決して止まってはいないのです。

 

山ができると再び男の子は立ち上がり、「そりゃあ ただもう」「どんどん どんどん」歩いていきます。

 

★      ★      ★

 

これまで何度か片山さんの絵本を紹介してきた中でも触れましたが、彼は若いころは幻想的でエロチックな色鉛筆画家として知られていました。

この前片山さん絵の「赤ずきん」を取り上げましたが、実はそれよりずっと以前に片山さんはシャルル・ペロー版の「長靴をはいた猫」(澁澤達彦訳)の中の「赤ずきん」の挿絵を描いています。

狼に食われるシーンでの赤ずきんはヌードで蠱惑的で、子ども向けとは言えませんが非常に完成度の高い絵になっています。

 

≫絵本の紹介「赤ずきん」

 

そういうちょっと妖しいタッチの絵を描いていた作者が初めて絵本に携わったのが「ゆうちゃんのみきさーしゃ」です。

 

≫絵本の紹介「ゆうちゃんのみきさーしゃ」

 

ここでは作者一流の病的なタッチは鳴りを潜めていますが、まだどこかにその作風は残っており、子どもたちは現実世界から乖離した影のように描かれています。

それから長い間絵本の仕事から離れていた片山さんは、娘を授かったことを契機に再び絵本に向かいます。

娘をモデルとした「コッコさん」シリーズでは子どもの描き方が一変し、生々しい生命力を感じさせる顔や四肢が特徴的な造形となっています。

 

≫絵本の紹介「コッコさんのともだち」

≫絵本の紹介「おやすみなさいコッコさん」

 

「コッコさん」に繋がるのがこの「どんどんどんどん」に登場する「こども」だと考えられます。

おそらく片山さんは実際に子どもを育てる経験を持ったことで、それまでの「幻想的で儚い子ども」(いいとか悪いとかいう問題ではなく)という表現からもっと「体温や匂いや息遣い」が間近に感じられるような子どもを描きたいという衝動を持ったのではないでしょうか。

 

ここには「目的に対して猪突猛進する野生の子ども」に対する畏怖、畏敬、憧憬の念が感じられます。

作者はそのあまりの純粋なパワーに圧倒されています。

それがこの「どんどんどんどん」に凝縮されています。

 

土臭い絵の具の色遣いは田島征三さんを思わせ、開放的でありながら緊密な画面構成は長新太さんを彷彿させます。

後年、片山さんはかつての色鉛筆画で絵本「おなかのすくさんぽ」を描きましたが、そこでもやはり動物そのもののような神聖さを持った凄まじい目力の少年を主人公としています。

 

≫絵本の紹介「おなかのすくさんぽ」

 

子どもを描く・子どもの本を作るという衝動の核となる部分に何を持つかは表現者それぞれだと思いますが、片山さんの場合それは「畏敬の念」のように感じます。

「どんどんどんどん」に描かれた子どもは、制作衝動の「出発点」だということです。

 

絵本作家や子どもの本に関わる表現者にとってその「核」が何であるかは重要です。

片山さんのように「子どもに対する畏敬」から出発した表現者の作品は、読者となる子どもに素直に受け入れられるものです。

 

何故なら子どもは感受性の塊であり、たとえ言葉がわからなかったとしても「自分に向けられた感情」は感情のレベルで極めて敏感かつ正確にキャッチする生き物だからです。

例えば親が何かの原因で子どもを叱った場合、「なぜ叱られたか」はまったく理解せずに「怒っている親の感情」だけを記憶する子どもは多くいます。

 

ですから、もし子どもの本を作る人間が読者である子どもを理解しようとするのでなく、買い手である大人に対する「市場戦略」や「宣伝効果」や「流行の傾向」に照準を合わせていたとすれば、そうした本は例え売れたとしても長い時間を生き残ることはないでしょう。

子どもの本を見る目はけっして過たず、作り手の心根までも見通すからです。

 

推奨年齢:2歳〜

読み聞かせ難易度:☆

直線的度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「どんどんどんどん

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【絵本の紹介】「ワニくんのレインコート」【380冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

大阪では梅雨らしい天気が続いています。

昨日も雨だったんですが、夕方になって息子が突然公園へ行きたいと言い出しました。

しかも自転車に乗ると言うので、傘も差せないし、ずぶ濡れになるからやめとけと説得しても聞きません。

 

渋々雨の中を出て行きました。

当然息子はぐしょ濡れになり、水たまりの泥を跳ね散らかしながら、しばらく走り回ってから帰ってきました。

 

こんな時にレインコートがあればいいのかもしれませんが、持ってないんですね。

よく考えたら私も長いことレインコートを着てません。

大人になるとそもそも雨の日は出かけたくなくなります。

でも、子どものころはレインコートで雨の中を歩くというのは独特の楽しさがあったように思います。

雨を待ち望むという気持ちも、新鮮な気持ちで空を見上げるということも、ずっと忘れていました。

 

今回は人気シリーズから「ワニくんのレインコート」を紹介しましょう。

作・絵:みやざきひろかず

出版社:BL出版

発行日:1989年6月1日

 

みやざきひろかずさんを取り上げるのは初めてですね。

第一回ニッサン童話と絵本のグランプリに応募した「ワニくんのおおきなあし」で絵本大賞を受賞したのを契機に絵本作家生活に入り、その後「ワニくん」は人気シリーズ化されます。

 

独特の淡い水彩画と、輪郭線のはっきりしないゆるいタッチにぬくもりを感じます。

内容も絵柄同様ほんわかしたもので、今作ではレインコートを買ってもらったものの雨が降らなくて着る機会がないワニくんが、雨を求めて東奔西走するというお話。

確かに着たくなる気持ちもわかる、とっても可愛いレインコートです。

だけど天気予報はずっと晴れ。

 

ワニくんはレインコートでシャワーを浴びたり、公園の噴水に入ったりしますが、当然感じは出ません。

しまいには雨を求めて遠くの町や山にまで出かけますが、そこでも雨は降らずにがっかり。

 

でも、ある朝起きるとついに念願の雨。

ワニくんは大はしゃぎでレインコートを着て外へ飛び出します。

雨はじきに上がってしまいますが、ワニくんは「とっても しあわせな きぶんさ」。

 

最終ページでは水彩画を活かした美しい虹がかかります。

 

★      ★      ★

 

雨具を使いたくて雨を待ち望む子どもというのは絵本のひとつの王道ともいえる話型でして、古典ではこのブログでも取り上げた八島太郎さんの「あまがさ」があります。

 

≫絵本の紹介「あまがさ」

 

この王道を逆発想して「雨具を大切にするあまり雨の日でも使わないおじさん」というユニークなキャラクターを生み出したのが佐野洋子さんの「おじさんのかさ」。

 

≫絵本の紹介「おじさんのかさ」

 

いずれにしても大人が忘れかけている瑞々しい童心を呼び覚ましてくれる点は共通です。

 

絵本の場合、同じような話であっても絵が違えばまったく違う作品になることもあり、それぞれに味わい深いものがあります。

絵の力と重複するところもありますが、キャラクター造形も魅せどころです。

 

このほのぼのした「ワニくん」、どういうキャラクター設定かといいますと、身長は84兮僚釘横沖圈足のサイズ43僉◆両親のもとを離れ学園都市クロコシティの郊外で、ひとりで学生生活(小学校4年生)をおくっている」(作者HPより)そうです。

しっかりしてますね。

 

あと、個人的にこの絵本で好きなポイントは水たまりに映りこむ景色や裏表紙の傘から滴る水滴の描写です。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

足が可愛い度:☆☆☆☆☆

 

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