絵本の紹介「おさるのジョージ チョコレートこうじょうへいく」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今日はバレンタインデーということで、やっぱりチョコレートの出てくる絵本を紹介しようと思います。

アニメも大人気のロングセラー・シリーズより、「おさるのジョージ チョコレートこうじょうへいく」です。

原作:M&H.A.レイ

訳:福本友美子

出版社:岩波書店

発行日:1999年10月25日

 

好奇心いっぱいで、知りたがりやのおさるの「ジョージ」の引き起こす事件の数々を、優しさとユーモアたっぷりに描いた傑作シリーズ。

このブログで取り上げるのは初めてですね。

 

有名な作品ですが、刊行されている絵本の全体を把握しようと思うと、少々ややこしいところがあります。

本文に入る前に、せっかくなのでちょっと整理します。

 

まず、そもそもこのシリーズは新旧に分かれています。

ハンス・アウグスト・レイとマーガレット・レイ夫妻による、邦題「ひとまねこざる」シリーズと、ハンスさんの死後、ヴァイパー・インタラクティヴが制作した(挿し絵はヴァイパーやマーサ・ウェストンが担当)した「おさるのジョージ」シリーズです。

 

元祖「ひとまねこざる」シリーズは全6冊。

ところが、日本で刊行されているものは、原著の発行順と違っているんですね。

 

だから、本当に一番最初から「ジョージ」を読もうと思ったら、「ひとまねこざる」ではなく、「ひとまねこざるときいろいぼうし」から読まないと話が繋がらないんです。

 

まあ、そこまで順序にこだわる必要もありませんが……。

 

というわけで、この「おさるのジョージ チョコレートこうじょうへいく」は、後期のシリーズであり、レイ夫妻の作品ではありません。

しかし、絵柄もキャラクターも、そして「ジョージ」の芯となる部分(後述します)も、わりと忠実に再現していると思います。

仲良しの「きいろいぼうしのおじさん」に連れられてチョコレート工場へ来たおさるのジョージ。

おじさんがチョコレートの代金を払っている間に、工場の中の様子が気になり、中に入って行ってしまいます。

工場では、大きな機械からベルトコンベアに乗って大量生産されるチョコレートを、職員さんたちが流れ作業で箱詰めしています。

機械の中がどうなっているのか、ジョージは好奇心を抑えきれず、さらに近づいて覗き込みます。

 

その時、知らずに足でレバーを踏んでしまい、ベルトコンベアのスピードをMAXにしてしまいます。

作業が追い付かなくなり、慌てる職員さんたち。

そんなことはお構いなしに、大好きなバナナクリームのチョコレートを追いかけるジョージ。

そのついでに、他のチョコレートを箱詰めします。

 

その手際の良さに、工場の混乱は収まり、結局のところジョージはお咎めなしで、おまけにおみやげまで渡されます。

 

でも、ジョージはおみやげを断って、黄色い帽子のおじさんと帰ります。

実は、どさくさに紛れてチョコレートをお腹いっぱい食べてたんですね。

 

★      ★      ★

 

前述したこのシリーズの芯とは、ジョージのいたずらが咎められないことです。

ジョージは悪意はないものの、毎回好奇心から事件を起こしてしまいます。

結構な騒動になることもしばしばですが、黄色い帽子のおじさんを始め、周りの大人たちは基本的にジョージに対して寛大です。

 

「おさるのジョージ」の人気の源は、実はここにあるのかもしれません。

 

何度失敗しても、好奇心からの行動を抑えられないジョージは、まさに子どもの化身です。

子どもたちは知りたい気持ち、やってみたい気持ちを存分に発散させるジョージと自分自身を重ね合わせ、痛快さを感じます。

 

そして、どんなに騒ぎを起こしても、説教や罰を与えられることなく、最後には赦してもらえる。

子どもにとって、これは理想の世界なのです。

 

ことに、保護者である黄色い帽子のおじさんのジョージに対する理解の深さと寛容さは素晴らしいです。

『上司にしたい絵本のキャラクターランキング』(そのうちやってみようかな)でも、おそらく上位間違いなし。

責任は私が取る。好きにやってみなさい」的な。

 

エンドレスな子どものいたずらを、笑って許せる広い心が欲しい時には、黄色い帽子のおじさんを思い出しましょう。

 

推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆

おじさんのファッションが最先端すぎる度:☆☆☆☆☆

 

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

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