絵本の紹介「はけたよはけたよ」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

子どもの成長は個人差があり、ペースはひとりひとり違うもの。

それは重々承知しているつもりでも、やっぱり周りの子どもができていることが自分の子にできないのを見ると、親として焦りを感じてしまいます。

 

寝返りは何か月? おすわりは? はいはいは? つかまり立ちは?

 

ひとつできると、もう当たり前になって、次々と要求は増えるばかり。

子どもにしてみれば、ほっとけって話ですよね。

 

わかっちゃいるけど、気になる。

目下のところ、我が息子はひとりで着替えをしません。

「できる」けど「しない」(何度か自分から着替えたことがあります)。

というのは、精神的な原因があるんでしょうか。

単に反抗期のせいでしょうか。

 

今回はそんな私のような悩める親にもぴったりの一冊「はけたよはけたよ」を紹介します。

文:かんざわ としこ

絵:にしまき かやこ

出版社:偕成社

発行日:1970年12月

 

ひとりでパンツがはけない男の子・たつくん。

何度やっても、しりもちをついてしまいます。

えい、パンツなんか はかないや

と、たつくんは下半身丸出しで外へ飛び出してしまいます。

なんという男前な子。

私は内心で拍手してしまいました。

 

そこへ、動物たちがやってきて、たつくんのおしりを見て笑います。

しっぽがないことがおかしいと言うのですね。

動物たちはしっぽを自慢。

いいやい、いいやい。しっぽなんか なくても いいやい

たつくんはどんどん逃げ出し、泥だらけになって家に帰ります。

 

お母さんにお風呂でおしりを洗われ、

さあ、パンツを はくんですよ

 

でもやっぱりしりもち。

ここでたつくんは発想を転換します。

しりもち ついたまま はけないかな

すると……

あらら、はけちゃった。

これならズボンだってはけます。

 

たつくんはズボンをはいて外へ行き、動物たちはたつくんのズボンをうらやましがります。

 

★  ★  ★

 

面倒なこと、やりたくないことも、ちょっとした試みからできるようになる。

その体験は子どもにとって大きな喜びであり、新しいことにチャレンジする活力となります。

 

それにしても、このたつくんのお母さんが素晴らしい。

通報されかねない格好で外から帰ってきた息子を見て、

まあ、たつくん。パンツも はかないで、どこへ いっていたの

と余裕の笑顔。

 

優しくおしりを洗ってくれても、ミシンでズボンを縫ってくれても、パンツをはくことは決して手伝いません。

 

これこそが、子どもへの信頼と愛情でしょう。

見習わないとなあ……。

 

推奨年齢:3・4歳〜

読み聞かせ難易度:☆

お母さんの器の大きさ度:☆☆☆☆

 

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