2017.01.11 Wednesday
絵本の紹介「ひこうじょうのじどうしゃ」
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
今回は「ひこうじょうのじどうしゃ」を紹介します。
作・絵:山本忠敬
出版社:福音館書店
発行日:1994年1月25日
またまた登場、乗り物絵本界のレジェンド・山本忠敬さん。
これは月刊絵本「こどものとも年少版」の1990年3月号に発表された作品で、以前紹介した「とらっくとらっくとらっく」や「のろまなローラー」とは違い、原作者はなく、山本さん自身が文も手掛けています。
と言っても、この絵本には物語性はなく、タイトル通り飛行場で活躍する自動車を淡々と説明するだけの内容となっています。
しかし侮るなかれ。
大人が読んでも面白い。
こんなにもたくさんの種類の自動車が飛行場で働いているなど、私は考えもしていませんでした。
飛行機に乗り降りする時に使う階段のある自動車「パッセンジャー・ステップ車」
荷物を下ろす「ベルト・ローダ」「ハイリフト・ローダ」
飛行機の中の汚れものを集める「クリーニング・ローダ」
トイレ清掃用「汚水車」
点検・整備「高所作業車」「ジラフ車」
飛行機のエンジンをスタートさせる「エアー・スターター車」
飛行機を引っ張る「ペイ・トラクター」
……などなど。
いやはや、勉強になりました。
「大人が読んでも面白い」と書きましたが、こんなに緻密な絵で、ひたすら自動車の解説をする絵本など、逆に子どもが読んで面白いの? と思われるかもしれません。
しかし、問題は全くなし。
乗り物に興味のある子どもなら、間違いなく食いつきますよ(ソースはうちの息子)。
それはやっぱり、山本さんの乗り物愛のなせるわざかもしれません。
いくら写実的であっても、一度画家の目を通し、筆を通して描き出された絵は、写真とは違います。
何が違うか、うまく言えないのですが、写真だとどうしても写ってしまう「余計なもの」を削ぎ落とし、「子どもが見たいもの」だけを抽出している、とでも表現しましょうか。
もちろん、写真には写真の良さがありますけどね。
少なくとも、幼い子どもには、写真よりも絵の方が集中しやすいということは言えるかもしれません。
ちなみに、我が家ではこれを息子に読むたびに、登場するすべての自動車を「作れ」と言われるので、「恐怖の一冊」でありました。
推奨年齢:2歳〜
読み聞かせ難易度:☆
乗り物愛度:☆☆☆☆☆
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