絵本の紹介「ピヨピヨスーパーマーケット」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今年は酉年。

ということで、新年最初の絵本紹介は、「ピヨピヨスーパーマーケット」を取り上げます。

作・絵:工藤ノリコ

出版社:佼成出版社

発行日:2003年12月

 

「ノラネコぐんだん」シリーズ、「ペンギンきょうだい」シリーズなど、次々とヒット作を生み出し、今、最も人気の絵本作家の一人、工藤ノリコさん。

私も大好きです。

はまっちゃいました。

はっきり言って、この人の絵本は子どものためよりも、自分のために集めてます。

工藤さんの絵本はそのくらい、大人にも面白いのです。

 

この「ピヨピヨ」シリーズは、現在6作品出版されています。

ヒヨコ5兄弟と、にわとり両親の、あったか家族の日常を描いた内容で、これはその一作目。

 

スーパーマーケットへお買い物に来たお母さんとピヨピヨたち。

お母さんが牛乳のタイムセールに飛びついている隙に、自分たちの欲しいものを次々とカートに入れて行きます。

この陳列棚のリアリティがいい。

「これ、絶対あの商品だ!」というパッケージがずらり。

ピヨピヨたちはお菓子ばかりを選んでレジへ向かいますが、すんでのところでお母さんに阻止されます。

手元に残されたのは30円のアメ(みんな知ってるアレですよね)だけ。

不満いっぱいのピヨピヨ。

 

でも、家に帰って、お父さんとお風呂に入り、出てみると……

用意されていたのは、大好きなミートソーススパゲッティで、みんな大喜び!

 

★ ★ ★

 


まずなんと言っても、ピヨピヨたちがキュートすぎる。

初めて見た時は「なんだこのブサイク」と思ったのですが、読んでいるうちにもう、表情も行動も可愛くて可愛くて。

 

そして、画面に無駄なものがない。

陳列棚と同様、描写のひとつひとつにリアリティと必然性があります。

例えば、お母さんがスーパーで買ったものは全部確認できますが、それらはちゃんと食卓に並ぶ料理に必要なものばかりです(翌朝の朝食に至るまで)。

お父さんが持って帰ってきたお花は花瓶に生けられています。

 

また、本編と関係なくとも、スーパーの他の客たちも、それぞれ個性豊かに行動しています。

「買って買って」と駄々をこねる子どもたちとか。

うさぎのお母さんはちゃんとタイムセールの牛乳を買っていますし。

読むたびにそうした発見の楽しみがあります。

 

これらの特徴は、他の工藤さんの作品にも共通するものです。

また、シリーズを通して読むと、どこかに前回の作品からの繋がりが見えたりして、ますます面白いです。

 

さて、ちょっとファンとして好意的に語りすぎました。

もう少し冷静に見てみましょう。

 

子どもへの読み聞かせ、という視点からはどうでしょうか。

この絵本には(他の工藤さんの作品も多くはそうですが)地の文がありません。

セリフのみで、あとは絵を見て想像するしかないので、実は結構読み聞かせが難しい。

子どもが幼ければ、どうしても説明を入れてしまいます。

 

工藤さんは漫画家出身ということもあり、漫画的な表現も目立ちます。

今は親たちのハートを掴むことで人気を博していますが、果たして彼女の作品は後世に残るロングセラーとなりうるでしょうか。

 

しかし、別に絵本は地の文がなければダメ、というものでもありません。

かの有名な「じごくのそうべえ」なども、セリフのみで構成されてます。

 

≫絵本の紹介「じごくのそうべえ」

 

絵柄は漫画的でも、前述のように描写はリアリティがありますし、テーマもオーソドックスです。

そもそも、絵本の重要条件である「絵で物語る」という点に関しては、絵本は漫画とも相通じるものがあります。

もちろん、漫画と絵本は大きく違います。

しかし、日本が世界に誇る文化にまで成長した「漫画」の技法を、古典文化である「絵本」の世界に取り入れるという試みは、日本の現代絵本作家にしかできない実験とも言えます。

そして工藤さんは、絵本の基盤を破壊しないよう、細心の注意を払いながら、そうした作業を行っているように思えます。

それが成功か失敗かを判断するのは、われわれではなく、子どもたちの目に委ねられるべきですが。

 

推奨年齢:3・4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆

ピヨピヨの愛らしさ度:☆☆☆☆☆

 


■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

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