絵本の紹介「サンタおじさんのいねむり」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

クリスマス絵本特集第7回は、「サンタおじさんのいねむり」(原作:ルイーズ・ファチオ、文:まえだ みえこ、絵:かきもと こうぞう、偕成社)を紹介します。

この絵本、もともとは1950年にルイーズ・ファチオさんが「クリスマスの森」という原題で発表した作品です。

挿絵は夫のロジャー・デュボアザンさんが担当しました(この二人の作品としては、「ごきげんならいおん」が有名ですね)。

 

その原作に、新たに柿本幸造さんが挿絵を描き、「サンタおじさんのいねむり」として1969年に初めて日本で出版されたのです。

最近になって、福音館書店がデュボアザンさんのオリジナル絵で「クリスマスの森」を出版していますが、それだけ長い時を超えて支持されている名作ともいえるでしょう。

 

クリスマスイブに、子どもたちへプレゼントを届けに出発しようとするサンタさんに、奥さんがサンドイッチと温かなコーヒーを手渡します。

しかし、

まちに つくまで たべては だめですよ。あなたは おなかが いっぱいに なると、ねむくなって しまうんですからね

と、奥さんは釘を刺します。

子ども扱いされるサンタさん。

でも、

ああ わかったよ

と、素直に頷くサンタさん。

 

サンタさんの奥さんが登場するのも珍しいですが、このあたりのやり取りは普通にそこらへんの夫婦っぽくて、実に庶民的です。

 

しかし、結局サンタさんは町に着く前にコーヒーを飲み、サンドイッチを平らげてしまいます。

そしてやっぱり、居眠り。

そこへ通りかかったきつねが状況を見抜きますが、

こんなに きもちよさそうに ねているのに、おこしてしまうのは かわいそうだな

と、優しい気遣いを見せ、一計を案じます。

 

森の仲間たちを集めて、サンタさんの代わりにプレゼントを配ろうというのです。

というわけで、動物たちの活躍によって、無事にプレゼントは子どもたちへ届けられます。

 

朝になって目を覚まし、慌てるサンタさんですが、雪の上を見ると、動物たちのメッセージが……。

 

わかりやすく、心温まる、善意に満ちたお話です。

「どうぞのいす」で知られる柿本さんの、あたたかみの滲む絵も、物語にぴったりと合っています。

 

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

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