2016.12.14 Wednesday
絵本の紹介「サンタおじさんのいねむり」
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
クリスマス絵本特集第7回は、「サンタおじさんのいねむり」(原作:ルイーズ・ファチオ、文:まえだ みえこ、絵:かきもと こうぞう、偕成社)を紹介します。
この絵本、もともとは1950年にルイーズ・ファチオさんが「クリスマスの森」という原題で発表した作品です。
挿絵は夫のロジャー・デュボアザンさんが担当しました(この二人の作品としては、「ごきげんならいおん」が有名ですね)。
その原作に、新たに柿本幸造さんが挿絵を描き、「サンタおじさんのいねむり」として1969年に初めて日本で出版されたのです。
最近になって、福音館書店がデュボアザンさんのオリジナル絵で「クリスマスの森」を出版していますが、それだけ長い時を超えて支持されている名作ともいえるでしょう。
クリスマスイブに、子どもたちへプレゼントを届けに出発しようとするサンタさんに、奥さんがサンドイッチと温かなコーヒーを手渡します。
しかし、
「まちに つくまで たべては だめですよ。あなたは おなかが いっぱいに なると、ねむくなって しまうんですからね」
と、奥さんは釘を刺します。
子ども扱いされるサンタさん。
でも、
「ああ わかったよ」
と、素直に頷くサンタさん。
サンタさんの奥さんが登場するのも珍しいですが、このあたりのやり取りは普通にそこらへんの夫婦っぽくて、実に庶民的です。
しかし、結局サンタさんは町に着く前にコーヒーを飲み、サンドイッチを平らげてしまいます。
そしてやっぱり、居眠り。
そこへ通りかかったきつねが状況を見抜きますが、
「こんなに きもちよさそうに ねているのに、おこしてしまうのは かわいそうだな」
と、優しい気遣いを見せ、一計を案じます。
森の仲間たちを集めて、サンタさんの代わりにプレゼントを配ろうというのです。
というわけで、動物たちの活躍によって、無事にプレゼントは子どもたちへ届けられます。
朝になって目を覚まし、慌てるサンタさんですが、雪の上を見ると、動物たちのメッセージが……。
わかりやすく、心温まる、善意に満ちたお話です。
「どうぞのいす」で知られる柿本さんの、あたたかみの滲む絵も、物語にぴったりと合っています。
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