【絵本の紹介】「くろずみ小太郎旅日記 おろち退治の巻」【385冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回は絵本界の浪曲師・飯野和好さんによる「くろずみ小太郎旅日記 おろち退治の巻」を紹介したいと思います。

作・絵:飯野和好

出版社:クレヨンハウス

発行日:1997年3月

 

以前このブログでも取り上げた「ねぎぼうずのあさたろう」シリーズと並ぶ、同作者の人気シリーズ。

 

≫絵本の紹介「ねぎぼうずのあさたろう その1」

 

やっぱり時代劇風・浪花節風・講談風の作品で、主人公は炭。

昔はどこの家庭にもあった一般的な燃料ですが、今は焼き鳥屋にでも行かないと見ることも少ないですね。

炭を擬人化するとか、いかにも飯野さんらしい。

 

この「くろずみ小太郎」は忍術の心得がある旅の若者。

テキストは「ねぎぼうずのあさたろう」よりもさらに簡潔、というより圧倒的に絵に比重があり、オール見開きの迫力あるカットが連続します。

ことにおろちが登場するまでの展開は、他の作家なら2場面くらいにまとめてしまうところを5場面もかけて(しかも全部見開きで)描いています。

その間テキストはほんの1、2センテンス。

冗長というのではなく、あえて「間」を取ることで、講釈を聴いているような、紙芝居を観ているようなワクワク感を呼び起こされます。

 

さて、巨大なおろちにあっさりひと呑みにされてしまったくろずみ小太郎、おろちの腹の中で「たどん」(炭を練った玉)に火をつけて明かりにすると、先に呑み込まれていた旅の親子の姿が。

これははやくだっしゅつしないと とかされてしまうぞ

一計を案じた小太郎は、「特大の下しぐすり」の術で、おろちに下痢を起こさせ……

ま、ようするに下の出口から旅の親子ともども飛び出します。

 

おろちはぐったり。

脱出に成功したくろずみ小太郎は再び旅を続けるのでした。

 

★      ★      ★

 

飯野さん一流の、泥臭くも迫力いっぱいの画面、アングル。

今の日本ではなかなか見られない雄大な景色、たなびく雲。

こういう時代には本当に忍術使いやおろちが生きていたのではないかと想像させるのに十分な絵筆の力を感じます。

 

あとがきでも書かれていますが、この絵本のモチーフとなっているのは古典落語の「夏の医者」という噺です。

落語にはこの大蛇=「うわばみ」というやつがよく登場します。

人間を丸のみにしてしまうほど大きな蛇で、「夏の医者」では、古いチシャを食べて当たった病人を見舞いに行く途中で医者がこいつに呑み込まれてしまいます。

腹の中で医者はやっぱり下剤を撒き、うわばみの肛門から脱出するけれども、大事な薬篭(薬かばん)を腹の中に忘れてきてしまい、うわばみにもう一度呑んでくれと頼みます。

するとうわばみは「夏の医者(チシャ)は腹に障る」と断る……というサゲになっています。

 

毎日暑い日が続きますが、みなさまも食べ物にはご注意くださいね。

 

推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

忍術らしさ度:☆

 

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