絵本の紹介「ぐるんぱのようちえん」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回は「ぐるんぱのようちえん」(作:西内ミナミ、絵:堀内誠一、福音館書店)を紹介します。

作者の西内さんにとっては、これが最初の絵本で、いきなりのヒットでした。

絵を担当している堀内さんは、グラフィックデザイナーとしてカメラ雑誌、ファッション雑誌などの編集美術に携わり、一時代を画した人。

子どものための本も多く手掛けています。

 

ひとりぼっちの大きなぞうのぐるんぱは、およそ生きる気概というものを持っていません。

すごく きたなくて くさーい においもします」という、妙に生々しい存在感。

 

見かねたジャングルのぞうたちが、ぐるんぱをきれいに洗って、働きに出すことにします。

最初ははりきって出かけたぐるんぱでしたが、ビスケット屋さん、お皿屋さん、靴屋さん、ピアノ工場、自動車工場と、行く先々で毎回大きすぎるものばかり作ってしまい、「もう けっこう」と解雇されてしまいます。

意気消沈して、昔のように泣きそうになっているぐるんぱに、12人もの子どもの世話に大忙しのお母さんが声をかけます。

ちょっと すみませんがね、こどもと あそんでやってくださいな

そこで、ぐるんぱがピアノを弾いて歌うと、子どもたちは大喜び。

ぐるんぱはついに天職を見出し、幼稚園を開くのでした……というお話。

 

すごいと思いませんか?

この絵本ができたのって、1965年ですよ?

まさに、現在の「引きこもり」や「ニート」問題に斬り込んだ、あまりにも時代を先取りし過ぎた内容です。

 

いや、冗談抜きで、この絵本には「社会に出ること」「働くこと」について、重要な示唆が含まれてます。

天職とは、「誰かに必要とされる」ということです。

自分に何が向いてるかは、自分ではなかなかわからないものなんです。

 

だからこそ、ただ引きこもっていたのでは、いつまでたっても仕事を頼まれたりしません。

ぐるんぱは自ら懸命に動き回り、失敗を重ねたからこそ、最後に子どもたちに巡り合えたのです。

そして、その時初めて、今までやってきたことを生かすことができたのです(大きなお皿はプールに、大きな靴は遊具に、大きなビスケットは子どもたちのおやつになります)。

 

面倒でも、傷ついても、見知らぬ人々のところへ出て行って、社会とつながりなさい。

現代の子どもたちにこそ、こんな「ぐるんぱ」のメッセージを伝えてほしいと思います。

 

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

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