文化芸術の危機を「フレデリック」から考える

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

どうも、予感は悪い方向に当たるみたいです。

先月来、ちょくちょくコロナに関する心配を綴ってますが、事態は収束どころか悪化の一方を辿っています。

今日は志村けん氏の訃報が世間に衝撃を与えています。

 

うーん……本当に4月から学校再開するの?

誤解する人たちがいそうですけど、学校再開=コロナ収束ではまったくないですからね。

もちろん、いつまでも休校を続けていると様々な問題があるのはわかります。

でも、そもそもそれらのケアを含めての休校でないと意味がないんですよね。

 

私の息子はまだ就学前だし、最初からどこの幼稚園にも保育所にも行ってないので、「家で過ごす」のは常態です。

最近は百人一首を覚えて遊んでます。

でも、やっぱり何日も家から出ないで過ごすのは親子ともにストレスです。

お気に入りの科学館も博物館も軒並み休館なので、公園しか行くとこないんですけど、以前のようにのびのびと遊ばせる気持ちになれません。

なるべく人のいないところで一人遊びさせ、しょっちゅう手を洗わせ……疲れます。

 

それでも、本当は家から一歩も出ないべきなのかもしれません。

他国のコロナ対策を見ればわかる通り、本来「家にいてください」と要請する時は「生活は補償します」がセットであるのが常識です。

そうでないと、誰だって仕事を休めないでしょう。

親が仕事休めないと、小学校なんか休校できないでしょう、本来は。

 

ここで補償というのは現金支援のことですけど、その点で私が気になっているのは文化芸術に関わる人々が今、大変な状況になっていることです。

コンサートやイベント、落語などの舞台演芸、演劇などが次々と中止を余儀なくされています。

 

これについて文化庁長官が「文化芸術に関わる全ての皆様へ」というメッセージを発表しています。

読んでみると具体的な補償や支援についての内容はありません。

収入が絶たれてしまうアーティストやイベント関係者が、瀕死の危機に直面しているのに、です。

 

絵本屋のブログにしては変なことばかり書いていると思われるかもしれません(今さらかな)。

私だって、ここでこんなこと言いたくないです。

絵本と子どもの話だけしていたい。

 

でも、本当の意味で子どものことを考えれば、こうしたすべてのことに言及せざるを得ません。

 

今のところオンライン絵本屋という商売にとって、コロナは深刻な影響は及ぼしていません。

しかし、上記の文化芸術の軽視(としか思えません)は、けっして他人事だとは思えないのです。

 

この国の政治家の多くは文化芸術を「しょせんは娯楽」と見ているのです。

彼らの物差しは「金」だけです。

「金になる」文化は認めるけど、「金にならない」文化は消えても仕方がないと、本気でそういう発言をする人が何人もいます。

それを当たり前のように受け入れる人々も大勢います。

 

以前レオ・レオニさんの「フレデリック」を紹介した時にこの問題に触れました。

 

≫絵本の紹介「フレデリック」

 

皆と一緒に冬の食料を集めない詩人ねずみのフレデリックは、今の社会で言えば「生産性がない」メンバーです。

しかしコミュニティにおける「精神の荒廃」の危機は、フレデリックによって救われます。

 

「金」だけを物差しにすると、フレデリックは仲間に「食わせてもらっている」と映るかもしれません。

でも、本質はそうではない。

しかし、それに気づかないような人々が多数を占めつつあるのではないでしょうか。

 

何かしらの文化芸術が注目を浴びたとすると、たいていそこに「経済効果」という言葉が出てきて、「金の話」に切り替えられます。

あまりにそういう光景を見過ぎたせいで、私たちはそれを「変だ」とか「品がない」とか、感じなくなってきているのではないでしょうか。

 

今回、絵本というメディアは「たまたま」直接的被害が少なかったかもしれません。

でも、文化芸術を軽視する風潮がこのまま主流になれば、いつか必ずその矛先は絵本業界にも向けられます。

その時彼らが口にするセリフは想像がつきます。

しょせんは子どもの玩具である絵本に、金をかける価値があるのか」です。

その時、先人たちが懸命に残そうとした文化は破壊されるでしょう。

 

レオニさんが危惧した「フレデリックのいない社会」に、私は住みたくないし、子どもたちをそんな荒廃した世界に住ませたくありません。

 

 

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