2016.11.22 Tuesday
絵本の紹介「ねずみくんのチョッキ」
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
今回も大人気シリーズ絵本を取り上げます。
30作品以上も刊行されている「ねずみくんの絵本」シリーズより、第一作「ねずみくんのチョッキ」(作:なかえよしを、絵:上野紀子、ポプラ社)です。
背景も何もない空間に、小さなねずみくん。
注意を引き付ける、うまい構図です。
内容の方もシンプルそのもの。
ほとんどが繰り返しの文のみでストーリーが進行し、絵だけでも十分話がわかる作りになっているため、小さな子どもへの読み聞かせにもぴったりです。
「おかあさんが あんで くれた」赤いチョッキを着て、ちょっと得意げなねずみくん。
そこへあひるがやってきて、「いい チョッキだね ちょっと きせてよ」と頼みます。
あひるはチョッキを着て、「すこし きついが にあうかな?」
そこへさるくんがやってきて……。
以下、同じやり取りを繰り返します。
王道パターンですが、この絵本の面白さを際立たせているのは、なんといっても動物たちの顔芸でしょう。
不自然な作り笑顔とポージング。
前に鏡でも置いてあるんでしょうか。
だんだん動物たちは大きくなり、ぞうまでが「きせてよ」と言ってきます。
いくらなんでも入らないだろうと思うのですが、このチョッキ、えらくストレッチのきいた素材で出来ているようで、無理やり着てしまいます。
結果……
変わり果てたチョッキに仰天のねずみくん。
オチのページでは、ビロンビロンに伸びきってしまったチョッキを引きずりながら意気消沈のねずみくん。
笑えますが、可哀そうに思う子どもたちもいるかもしれません。
(内心は嫌だけど)ちょっと友達に貸したものが、いつの間にやら回覧板みたいに回って、返ってきた時には壊れてたり、一部が無くなっていたり……。
子どもの社会では、実際にこういう事件が起こったりしますよね。
でも、一番おしまいのページで、ぞうくんとねずみくんが、伸びたチョッキを意外な形で利用して遊んでいる小さなコマを見て、一安心。
切り替えの早さも子どもの特権ですね。
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