【絵本の紹介】「バラライカねずみのトラブロフ」【360冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

子年のねずみ絵本紹介シリーズ、続けます。

昨年1月に逝去されたジョン・バーニンガムさんの「バラライカねずみのトラブロフ」を紹介します。

作・絵:ジョン・バーニンガム

訳:瀬田貞二

出版社:ほるぷ出版

発行日:1976年9月20日

 

これは瀬田貞二先生による翻訳でほるぷ出版から発行されていたものですが、現在は絶版。

(例によって)童話館が復刻してくれていましたが、近年翻訳を秋野翔一郎さんに変えて「トラブロフ バラライカにみせられたねずみ」と改題されました。

 

どちらもところどころにちょっと難しい言い回しが使用されていて、読み応えがあります。

どちらがいいというのは好みの問題ですが、瀬田さんの訳文は今読んでも特に古くは感じません(冒頭のバラライカの解説に『ロシア(いまのソビエト)』とかは書いてますけど、まあ本文とは関係ないので)。

 

バラライカはロシアの楽器で、やたら耳に心地いい名称と可愛らしい三角のフォルムが印象に残っている方もいるでしょう。

けど、実際にその音色を聴く機会は少ないと思います。

 

これはジプシーの奏でるバラライカの音色に魅せられたねずみが、ミュージシャンを目指して家を飛び出し、やがてバンドを結成して売れっ子になるというサクセスストーリー絵本です。

舞台は「ヨーロッパの なかほどの いなか」で、雪深い地方という設定になってますが、バーニンガムさんの自伝「わたしの絵本、わたしの人生」(ほるぷ出版)によればどうやらユーゴスラビアのようです。

宿屋で暮らすねずみ一家の男の子「トラブロフ」は、夜ごと酒場で演奏されるジプシーの音楽に聞きほれていました。

そんなトラブロフに、大工ねずみの「ナバコフじいさん」がバラライカを作ってくれます。

 

トラブロフは大喜びしますが、独学でバラライカを弾きこなすのは大変なことでした。

ある晩、ひとりのジプシーじいさんがトラブロフの練習を聴きつけ、自分が手ほどきをしてやれたのにと残念がります。

彼らは今晩の内にここを立ち去るからです。

それを聞いたトラブロフは、両親にも黙って宿屋を抜け出し、単身ジプシーの楽団について行ってしまいます。

トラブロフはジプシーと共に旅をし、毎晩熱心にバラライカの練習をします。

 

しかし一方、トラブロフの母親は息子がいなくなった心配から病に臥せってしまいます。

トラブロフの手掛かりを得た妹は、兄を連れ戻すためにスキーで後を追います。

ついに兄を発見した妹が急を知らせ、トラブロフもスキーに乗って二人で家に帰ります。

途中、吹雪に遭ったりしつつ、どうにか無事に帰り着いたトラブロフ達を見て、両親は叱るのも忘れて喜びます。

 

ただ、心配事はもうひとつあり、宿屋の主人がねずみを追い出そうと準備しているのです。

ちょうどその時、予定の楽士たちが来ないことに困り果てていた宿屋の主人のところへ、トラブロフが姿を見せます。

そして、自分に楽士を務めさせてくれるよう交渉します。

 

主人は驚くものの、トラブロフの腕前に感心し、一家は晴れて追い出される心配もなく宿屋に住むことを許されます。

やがてトラブロフの兄弟たちも楽器を習ってバンドを結成し、ねずみの楽団として有名になるのでした。

 

★      ★      ★

 

赤黒い色使いの重たさが、寒さの厳しい雪国情緒を感じさせます。

北国の民族音楽の旋律というのは、どうしてあんなに美しく響くのでしょう。

 

私は寒さが苦手なわりには、南国より北国に惹かれる傾向があるようです。

「いいな」と思う文化は北の方が多いです。

 

バーニンガムさんは冬のユーゴスラビアでの経験をもとにこの絵本を作ったといいます。

そこでそりで4時間もかけて行った結婚式の披露宴で、三日三晩鳴り続けていたジプシーの演奏を忘れられないと語っています。

 

ちなみに、人間ぽく描かれているトラブロフ達の指ですが、ねずみの前足はもともと5本指なのでこれは正しいのですね(ミッキーマウスの指が4本だから勘違いしやすいんですが)。

だからこそバラライカを奏でることができるのだと考えれば、納得の設定です。

 

推奨年齢:5歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆

バラライカ聴いてみたい度:☆☆☆☆☆

 

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