2017.02.20 Monday
絵本の紹介「ちいさなうさこちゃん」【再UP】
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
2月16日に、世界的絵本作家のディック・ブルーナさんがオランダのユトレヒトで逝去しました。
89歳でした。
数年前に体調を理由に現役から退かれていましたが、おそらくすでにこの日のことを予感しておられたのだと思います。
彼の手掛けた数々の作品は、多くの絵本作家に影響を与え、絵本というものの可能性を広げました。
何よりも、世界中の子どもたちに笑顔と歓びをプレゼントされました。
ブルーナさんは亡くなられても、彼の残した絵本は、何世代も先の子どもたちにも、必ず読み継がれ、生き続けていくでしょう。
追悼の意を込めて、2016年の11月21日にUPした「ちいさなうさこちゃん」の紹介記事を再録します。
★ ★ ★
今回紹介するのは「ちいさなうさこちゃん」(作・絵:ディック・ブルーナ、訳:いしいももこ、福音館書店)です。
今では「ミッフィー」という名の方が馴染みが深いでしょうか。
たぶん知らない人はほとんどいないであろう、世界的アイドルです。
生まれは1955年のオランダ。
オランダでの名前は「ナインチェ」(オランダ語で『うさぎ』と『小さくて愛らしいもの』を組み合わせた名前)。
福音館書店が翻訳刊行したのが1964年、そのとき石井桃子さんがつけた名が「うさこちゃん」。
講談社版ではイギリスでの呼称にならって「ミッフィー」。
様々な呼び名を持っています。
これはその記念すべきデビュー作。
うさこちゃん誕生のおはなしです。
うさぎの「ふわおくさん」のところへ天使が訪れ、懐妊を告げます。
まもなくかわいらしい赤ちゃんが生まれると、動物たちが祝辞を述べに集まってきます。
うさこちゃんは大勢のお客さんにくたびれて、静かに眠ってしまいます。
赤ちゃんの時から現在の姿と何も変わってませんね。
まるでキリスト誕生を思わせる、静謐な印象の第一作です。
キャラクターとして人気の「ミッフィー」ですが、絵本としても高く評価されています。
幼児が認識しやすいように、太い輪郭線と、単純化された目鼻(顔の×は鼻と口を表現したもの)でキャラクターを造形し、赤・青・黄・緑・白の鮮やかな配色を用い、登場人物は必ず正面を向いています。
「こどもがはじめてであう絵本」がキャッチフレーズで、日本の「こぐまちゃん」シリーズも、これに影響を受けて誕生したことは、以前の記事で触れました。
もっとも、現代では絵本の「はじめて年齢」もどんどん下がって、もっと小さな、それこそ生後数か月の赤ちゃん向けの絵本も数多く出版されてはいます。
しかし、それだけ絵本というものへの認識が深まったのは、この「うさこちゃん」シリーズを始め、様々な作家と出版社の努力の成果と言えるでしょう。
ブルーナさんの出身地であるオランダのユトレヒトには「ディック・ブルーナ・ハウス」というミッフィー博物館があり、町の中にもミッフィーの銅像や信号機などがあり、ファンにはたまらない名所となっているそうです。
古風な建築様式や運河沿いに並ぶカフェなど、町自体も非常に美しいところです。
私もいつかは行ってみたい町のひとつですねー。
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