2016.11.17 Thursday
絵本の紹介「ぞうくんのさんぽ」
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
今回は「ぞうくんのさんぽ」(作・絵:なかのひろたか、レタリング:なかのまさたか、福音館書店)を紹介します。
作者のお二人は兄弟です。
ひろたかさんが弟さん、まさたかさんがお兄さん。
「レタリング」って、一瞬何を担当しているのかわからないですが、文章の字体を作ってるんです。
海外の絵本なんかだと、文字も絵の一部と捉えて、作家さんが全部自分で書いてある作品が結構あります。
古典名作などを原本で読むと、それぞれの作風に合わせた字体を、苦心して作られているのがわかります。
日本の絵本はほとんどが活字印刷で、字体まで作る作家さんは少数派のようです。
でも、この「ぞうくんのさんぽ」では、その独特の字体と、丸みを帯びた絵柄が見事にマッチしています。
お話の方はいたってシンプル。
ぞうくんがさんぽにでかけると、途中でかばくん(という名の、謎の生き物)に出会います。
「おや、ぞうくん。どこいくの」
「さんぽだよ。いっしょに いこう」
「せなかに のせてくれるなら いってもいいよ」
いや、歩こうよ(読んでいる大人の心の声)。
でも、気のいいぞうくんは「いいとも、いいとも」と、あっさり承諾。
次に登場するのはわにくん。
「おや、ぞうくん。かばくんのせて どこいくの」
「さんぽだよ。いっしょに いこう」
「それじゃあ ぼくも のせてよ」
「ぞうくんは ちからもちだね」
おまえら……。
最後に小さなかめくんが登場。
例によって例のごとく、背中に乗ります(どうやって登ったんだろう)。
ぞうくんはそろそろ重さに耐えかねている様子。
そして行く手には池。
小さな子にも、この先の展開は予想できます。
絵本の王道ですよね。
でも、水の中でよかった。
ケガしなかったし、みんなごきげんで遊んでるし……と、子どもに安心感を与える終わり方です。
続編もありまして、「ぞうくんのあめふりさんぽ」「ぞうくんのおおかぜさんぽ」、そしてつい最近、10年ぶりに最新作「かめくんのさんぽ」が月刊絵本「こどものとも」から出版されました。
じゃあ、この「ぞうくんのさんぽ」が生まれたのっていつなの?
実は1968年。
なんと50年近く前なんです。
全然古臭く感じませんよね。
これぞアンチエイジング絵本。
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