【絵本の紹介】「10までかぞえられるこやぎ」【317冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回紹介するのは「10までかぞえられるこやぎ」です。

作:アルフ・プリョイセン

訳:山内清子

絵:林明子

出版社:福音館書店

発行日:1991年7月5日

 

原作者のアルフ・プリョイセンさんは「小さなスプーンおばさん」などを手掛けたノルウェーの児童文学者です。

そしてこの日本版を制作するにあたって、林明子さんが新たに絵を描いています。

 

人間(というか女の子)の登場しない林さん作品は実は珍しいです。

いつもは林さんの描く女の子の絵のあまりの可愛さ、肌や髪の質感に目が行ってしまいますが、改めて彼女の突出した画力に唸らされる一冊です。

 

上手いのは言うまでもないんですが、それに加えて「絵本の絵」とはかくあるべしといった雄弁な絵となっています。

林さんの絵が無ければこれはまた全然違う話になってしまうでしょう。

そのくらい絵そのものの物語る力があるのです。

 

物語は10まで数字を数えられるようになったこやぎが、出会う動物を「ひとつ、ふたつ」と数え、数えることの意味を知らない動物たちが怒り出し、次々にこやぎを追いかけてくるという滑稽なドタバタ劇。

逃げながらもこやぎは数えることを止めません。

牛の家族、馬、豚……。

かぞえられちゃった」動物たちはとりあえず憤慨し、こやぎを追います。

躍動感あふれる追いかけっこの絵は、それだけでもワクワクしてきます。

林さんにしては珍しい(?)コミック的なユーモラス表現も見られます(電撃が走ったような馬のたてがみとか、小屋をぶっ壊して飛び出してくる豚とか)。

 

イラストの枠が最初は小さく、後半になるほどだんだん大きくなっていく仕掛けも臨場感たっぷり。

最後は沈みかけた船の乗員数を数えることで(何故か)危機を乗り越え、大団円。

 

★      ★      ★

 

数のお勉強絵本かと勘違いされる方もいるかもしれませんけど、紹介した通りのリズミカルなユーモア絵本です。

これを楽しんで読むくらいの年齢の子なら、10までくらい数えられるでしょうし、むしろ数えられることでこやぎと同化してスリリングな追いかけっこを楽しむことができます。

 

そしてこの絵本には隠された楽しみ方があるんです。

それは林さんの(いつもの)遊び心による「隠し絵」。

 

実は作品中すべてのカットに「人の横顔」が隠れているんです。

気付かないでしょ?

 

表紙の山並みの輪郭を見てください。

左側を額にした、下を向いた人の顔が浮かび上がってきませんか?

 

これ以上は是非自分で探してみてくださいね。

ちなみに扉にも裏表紙にもちゃんとありますよ。

話の内容とはまったく関係ないだけに、全部見つけるのはなかなか難しいです。

 

こっそり笑ってる林さんの姿が目に浮かぶようです。

 

推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆

隠し絵難易度:☆☆☆☆☆

 

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