2016.11.14 Monday
絵本の紹介「くれよんのくろくん」
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
過去記事を見返してみると、古典名作ばかり紹介しているような気がしました。
まあ、古本屋で絵本専門となると、どうしてもそうなるんですが……。
そこで今回は比較的新しい人気シリーズの第一作を紹介します。
「くれよんのくろくん」(作・絵:なかやみわ、童心社)です。
新しいといっても初版は2001年。
しかし、ロングセラーの多い絵本界においては、2000年以降の作品はまだまだフレッシュなルーキーと言えます。
作者のなかやさんは、当シリーズ以外にも「どんぐりむら」シリーズや「そらまめくん」シリーズなどのヒット作品を生み出し、海外からも注目されている売れっ子絵本作家です。
新品の十色クレヨンセットから、退屈したクレヨンたちが飛び出して、大きな画用紙を見つけます。
みんな喜んで真っ白な紙に思う存分絵を描きますが、くろくんだけは仲間に入れてもらえません。
けれど、クレヨンたちは自己主張が強すぎて、全体としての絵はめちゃくちゃになってしまいます。
そこで、シャープペンのお兄さんに促されて、くろくんが全部を真っ黒に塗りつぶしてしまいます。
「なんてことを してくれるんだ」
と、くろくんに詰め寄るクレヨンたち。
でも、シャープペンのお兄さんが絵の上を削っていくと……。
みんなの絵が、きれいな花火になります。
これは読んでいる大人も「へえー。こうなるんだ」と感心させられるし、やってみたくなりますね。
クレヨンたちはくろくんを見直し、謝ります。
しかし、個人的にですが、一番扱いにくいのは「しろくん」なのではないかと思うのですが……(このクレヨンセットの中に白はありませんが)。
大人になると、むしろ黒は線描においてメインの色となりますが、子どもは「線を黒く描く」という固定概念に囚われませんから、みんなの色を消してしまう最強色であるくろくんは疎んじられるのかもしれません。
くろくんが仲間はずれにされるのは、能力が高すぎるがゆえの悲劇とも考えられます。
本人は自分の能力についてまだ正確な評価を持てていないあたり、現実にもこんな子どもがいそうです。
読んだ後は、子どもも大人も「お絵かき」がしたくなる絵本です。
我が家の息子も、お絵かき大好きです。
1歳のころ、思い切り描かせてあげようと、「消せる」クレヨンを買ってやったところ、家じゅうをキャンパスにして殴り書き。
床、壁、ふすま、布団まで、落書きだらけにして満足げ。
「うんうん、よく描いたね」
と笑って、掃除しようとしたところ……。
「フローリング以外は消えない」という衝撃の事実に気が付いたのでした。
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