【絵本の紹介】「時計つくりのジョニー」【307冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

息子がもっと小さかった頃、ほとんど毎日のように何かを「作って!」と言われ続けていました。

何かとは、たいてい電車などの乗り物のおもちゃでしたが、中には変なリクエストもたくさんありました。

 

もともとはブロック遊びから始まったんですが、妻が紙工作で新幹線を作ったのがきっかけになり、鉄道図鑑を前にして何十種類となく作るようになりました。

私はあまり工作が得手ではなかったんですが、だんだんと凝るようになってきて、磁石で連結させたり、合体させてロボにしたり、自分でも割と楽しむようになりました(すぐ壊されることもあるけど)。

 

そうするうちに、日常生活や仕事においても、何かが必要になった時、まず「自分で作れんかな」と考えるようになってきました。

今までは出来合いの製品を買うのが当たり前だったけど、自分で作った方が細部まで自分好みに設定できます。

 

もちろん手間暇はかかりますし、色々と考える必要もあります。

しかし、考えてみれば今まで私が「何かを作ること」が苦手だったのは、手先の器用さ以前に「面倒だから」と考えることそのものを放棄していたせいかもしれません。

 

頭の中だけの知識ではなく、実際に行動して見ると様々な気づきがあり、失敗があり、その過程で実にたくさんの学びがあります。

知識、計算力、想像力などを総動員しなければ、もの一つ作るだけでも、なかなか上手くはいきません。

子どもの調和的な発達のためには、何でも作らせることは非常に有用だと思います。

 

さて、今回紹介するのは私など足元にも及ばない天才DIY少年の物語「時計つくりのジョニー」です。

作・絵:エドワード・アーディゾーニ

訳:阿部公子

出版社:こぐま社

発行日:1998年7月1日

 

エドワード・アーディゾーニさんは、こぐま社の創業者である佐藤英和さんがこよなく愛する絵本作家です。

少し長めのお話ですが、展開が気になってぐいぐい読めます。

 

基本的に引いたアングルの構図を多用し、人物の表情をはっきりとは描かないアーディゾーニさんのいつもの手法。

テキストの流れとは別にフキダシによるセリフが用いられているのも特徴です。

漫画的と言うよりも、映画のワンシーンを切り取ったような印象を受けます。

 

手先が器用で、暇さえあれば何か作っているという少年・ジョニー。

お気に入りの本は「大時計のつくりかた」。

話の筋から逸れますが、私はここのカットが大好きです。

本を読む子どもの姿が好きなんですが、椅子が体に合っていないのを、分厚い本を敷くことで調節してるリアリティ。

本を座布団にしてもいいのは本好きの子どもだけ。

 

さて、ジョニーは自分で大時計を作ろうと思いつきますが、両親も学校の先生もまるで本気にしてくれないばかりか、心無い言葉を浴びせて子どものやる気の芽を摘もうとします。

 

しかし、唯一の理解者である友達のスザンナに励まされ、ジョニーは大時計作りに着手します。

材料をそろえるだけでも一苦労。

鍛冶屋のジョーの仕事を手伝ったりして、どうにか必要なものを集めます。

 

けれどもいじめっ子に材料を取り上げられ、スザンナの助けでそれを取り戻しても、家で仕事を始めると父親に邪魔されそうになったり、試練が続きます。

 

それでもジョニーはへこたれず、ついに大時計を完成させます。

その見事な出来栄えに、両親も先生も、そしていじめっ子たちまでもがジョニーを見直します。

周囲の理解と尊敬を得たジョニーは、ジョーとスザンナと一緒に時計製造業を始めることになるのです。

 

★      ★      ★

 

小さな主人公が苦難を乗り越え、華やかに成功を収め、周りから一目置かれる存在になる。

絵本の王道といえば王道ストーリーなんですが、ジョー以外の大人が酷すぎて、吐き気を催すレベルです。

 

好きなことに夢中になる子どもをつかまえて、大勢の前で「おばかさん」呼ばわりする先生とか、「ばかなこと」をやめて家の手伝いをしなさい、という親とか。

最後は大団円とは言うものの、よくこんな大人に囲まれた環境でジョニーのような優秀な子どもが育ったなと感心します。

 

まあ、こういう大人が当たり前の時代もあったのかもしれません。

だから、現代を生きる私たちも、「あんなひどい親ばかりの時代もあった」と回想される時代が来るかもしれませんね。

 

ちなみにこの絵本の献辞は「まごのスザンナに」ですから、ジョニーを支えるスザンナは、作者の孫娘がモデルになっているのでしょう。

 

推奨年齢:5歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆

親と教師の教育力度:☆

 

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