2016.11.09 Wednesday
絵本の紹介「キャベツくん」
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
今回紹介するのは、個人的にも好きな作家さん・長新太さんの「キャベツくん」(文・絵:長新太、文研出版)です。
ナンセンスの神様と称される長新太さん。
そのオンリーワンな作風と絵柄は一度見たら忘れられません。
いい加減と言えばいい加減。
意味不明と言えば意味不明。
だけど妙に印象的で、不思議と居心地が良かったりする。
そんな長新太さんの脳内世界に一歩足を踏み入れたが最後、予測不可能な謎展開に否応なしに巻き込まれて、「???」の嵐。
だいたい、キャベツが主役というだけで、もう普通じゃないです。
「キャベツくんが あるいてくると ブタヤマさんに あいました」
なにそれ、悪口? なネーミング。
おなかをすかせたブタヤマさんは、いきなり「キャベツ、おまえをたべる!」と、キャベツくんをつかまえます。
キャベツくんが「ぼくをたべると、キャベツになるよ!」と言うと、広い空に鼻がキャベツになったブタヤマさんが、立体映像のように浮かび上がります。
「ブキャ!」とびっくりするブタヤマさん。
以後、ブタヤマさんが、
「じゃあ、ヘビが きみをたべたら、どうなるんだ?」
「じゃあ、タヌキが……」
「ゴリラが……」
と、質問し、キャベツくんが
「こうなる!」
と衝撃映像を見せる、の繰り返し。
その間にも、二人は道を歩き続けています。
ゾウのシーンでは、絵本の繰り返しにおいてタブーの、
「だいたい わかっていたけれど」
を口にしてしまうブタヤマさん。
でも、
「こうしてみると、びっくりします」
と、なぜか敬語のブタヤマさん。
なんか、かわいそうになってきます。
最後にはキャベツくんもブタヤマさんがかわいそうになって、レストランでなにかご馳走してあげることにします。
話はわけわからないけれど、地平線と空の見える構図には開放感があります。
ただ、自由に空想をふくらませ、それをそのまんま描いたような絵本です(というか、長さんの作品は全部そんな感じ)。
この「キャベツくん」はシリーズで、ほかに「キャベツくんのにちようび」など、全五冊あります。
これでもまだ、長さんの絵本の中ではまとまっている方だと思います。
またそのうち、もっとシュールな長さん絵本を紹介したいと思います。
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