【絵本の紹介】「どうぞのいす」【271冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回紹介するのは「どうぞのいす」です。

作:香山美子

絵:柿本幸造

出版社:ひさかたチャイルド

発行日:1981年11月

 

香山さんと柿本さんのタッグ作品では、以前に「ヒッコリーのきのみ」を取り上げたことがあります。

 

≫絵本の紹介「ヒッコリーのきのみ」

 

この「どうぞのいす」は、「交換と贈与」をテーマにした人気絵本。

テンポのいい繰り返し展開が読者を飽きさせず、柿本さんのふんわりとしたタッチと温かい色使いの力もあって、優しい思いやりの気持ちが自然と心に染み入るような素敵な物語になっています。

 

うさぎさんがDIYで椅子を作ります。

この椅子をどこに置こうかと考えたうさぎさんは、大きな木の近くに、「どうぞのいす」と書いた立札と一緒に置きます。

つまり、誰でも座って休める公共物として社会に寄付したのです。

はじめにやってきたろばさんは、どんぐりでいっぱいのかごを椅子に置いて、自分は木陰で昼寝。

 

するとそこにくまさんが来て、どんぐりの乗った「どうぞのいす」を見ます。

これは ごちそうさま。どうぞならば えんりょなく いただきましょう

勘違いしたくまさんはろばさんのどんぐりを全部食べてしまいます。

しかしここでくまさんは、

からっぽに してしまっては あとの ひとに おきのどく

と、代わりにハチミツの瓶をかごにいれて行きます。

 

後にはきつねさんがやってきて、ハチミツをなめて、代わりに持っていたパンを。

その次にやってきた十匹のりすさんたちは、パンを食べ、代わりに栗を置いて行きます。

こんな風に次々と物々交換が繰り返され、ろばさんが目を覚ました時には、どんぐりの代わりにたくさんの栗が、椅子の上のかごに置かれていたのでした。

 

★      ★      ★

 

我が家の5歳の息子は一人っ子。

幼稚園にも行かず、社会経験は皆無に等しいです。

 

家の中では好きなようにやらせてますので、「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの」なジャイアニズム。

でも、本来子どもとはそんなもの。

 

私は倫理や道徳を、外的に押し付けないように子どもと接しています。

しかしそれでは、人間を人間たらしめている「どうぞ」の精神を学ぶ機会などないかのように思われるかもしれません。

 

子ども(あとのひと)に対し、大人が「どうぞ」と言い続けると、子どもの人格が曲がってしまうと信じる人たちが大勢います。

しかし、私は見てみたいのです。

本当に心からの「どうぞ」を与えられ続けた子どもが、どう成長するのかを。

 

本心から「どうぞ」と言うためには、「私は十分に満たされている」と思えなければなりません。

だから、「あとのひと」に対し、「私はもういいから、どうぞ」という言葉が出てくるのです。

 

世の中を見ていると、十分に満たされていない子どもたちが、大人からの押しつけによって「どうぞ」と言わされているような光景を度々目にします。

 

子どもたちに「どうぞ」と言わせたければ、まずは子どもたちを完全に満たしてやらなければならないはずです。

それは物やお金ではなく、健全な愛情によってという意味です。

 

そうすることで初めて人間は、「自分には与えられたものを『あとのひと』に贈る義務がある」と感じるのです。

 

そして、この絵本のように楽しく美しい(教訓臭くない)物語を与えてやることも、子どもたちの自然な倫理観を育成する重要な手段だと思います。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

つぶらな瞳度:☆☆☆☆☆

 

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