【絵本の紹介】「ピン・ポン・バス」【266冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回は「ピン・ポン・バス」を紹介します。

作:竹下文子

絵:鈴木まもる

出版社:偕成社

発行日:1996年10月

 

私は公共交通機関が苦手で、あまり利用しません。

特にバスを個人的に利用することなどほとんどありませんでした(どこに連れて行かれるのか全然わからないから)。

 

バスのありがたさが初めてわかったのは息子が生まれてからです。

便利だし、安いし、息子も喜ぶし。

 

バス絵本はいつの時代も人気ですが、この「ピン・ポン・バス」は、乗り物の仕組みや構造に特化した絵本とは違い、バスという共同体の中のドラマを見せてくれます。

それが実に人情味豊かで、懐かしくて、温かい。

花見駅」という架空の駅前のバス停から出発して、だんだんと田舎の方を走る「ピン・ポン・バス」。

乗る人、降りる人のそれぞれの日常や生活が垣間見えます。

 

おじいさんがタラップを降りるのを助けてくれる乗客、ペットの犬に近寄る小学生たち、散乱した荷物を拾ってあげる人々。

そしてお約束的な、乗り遅れた人を待ってあげる運転手さん。

この運転手さんはただバスを運転するだけではなく、ひとりひとりのお客さんに向き合って仕事をしています。

忘れ物を走って届けてあげたり、子どもに手を振ったり。

 

こういう運転手さん、今もいるのでしょうか。

都会では時間に急き立てられて、こうした余裕もないのでしょうか。

終点に近づくと、あたりはすっかり田舎。

夕暮れの山道を、ピン・ポン・バスは折り返して帰って行きます。

帰りはどんな人が乗るのかな、と想像しながら。

 

★      ★      ★

 

作者の竹下さんと鈴木さんはご夫婦です。

この他にも多数の絵本を共作しています。

 

二人の息子さんが乗り物マニアで、図鑑ばかりを読まされるのが退屈になった竹下さんが「お母さんも楽しめるような乗り物絵本があれば」と考えたことが「ピン・ポン・バス」を作るきっかけになったそうです。

 

心温まる人情ドラマを軸にしつつも、鈴木さんが細部にわたるバスの描写を描くことで、乗り物好きの子どもの好奇心も十分に満たされます。

最終ページには運転席の図解つき。

 

それに、乗客ひとりひとりの行動や、どこで乗ってどこで降りているかなどを追うのも面白いです。

バスの広告にあるペットショップも、ちゃんと作内に登場してますし。

 

鈴木まもるさんは、絵本作家としての仕事の他に、鳥の巣研究家という変わった顔も持っています。

また、今年亡くなられたかこさとし先生の最後の絵本「みずとはなんじゃ?」では、絵を描くことも困難になったかこ先生に代わり、鈴木さんが絵を任されています。

こちらは、今年の秋ごろに小峰書店より刊行予定です。

待ち遠しいですね。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

ほっこり度:☆☆☆☆☆

 

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