【絵本の紹介】「ペレのあたらしいふく」【244冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回はスウェーデンの古典名作絵本「ペレのあたらしいふく」を紹介しましょう。

作・絵:エリザ・ベスコフ

訳:小野寺百合子

出版社:福音館書店

発行日:1976年2月3日

 

古典も古典、1912年に描かれた作品です。

作者のベスコフさんは子どもの本に対するスウェーデン最高賞ニルス・ホルゲション賞を受賞されています。

 

今もって色あせない美しい絵と、仕事・労働に対する普遍的な内容で、時代も国境も超えて、現在も刊行され続けている絵本です。

 

羊飼いの少年ペレは、自分だけの羊を一匹持っていて、世話していました。

成長と共に上着が小さくなってきたペレは、羊の毛を刈り取り、それで新しい服を作ろうと考えます。

そこからペレはさまざまな大人のところへ出向き、服を作るために必要な仕事を頼みます。

大人たちはその代わりに、ペレに何がしかの仕事を依頼します。

 

こうしてペレは幼いながらも大人たちと契約を交わし、頼まれた仕事をし、対価として毛を梳いてすいてもらったり、それを糸に紡いでもらったり、染粉を手に入れたりします。

最後にペレは仕立て屋さんに服を仕立ててもらいます。

出来上がった服にそでを通したペレは嬉しそうな表情で羊にお礼を言います。

 

★      ★      ★

 

スウェーデンの田園風景の美しいこと。

 

現代の子どもたちから見れば、ペレは随分と大人びています。

もちろんそこは時代でしょうけど、たった一着の服を手に入れるためのペレの行動力たるや。

一人で舟をこいで買い物には行くし、糸を染めるのは自分でやっちゃうし。

 

それだけに新しい服は彼にとって大変に価値あるものになるし、きっと大事にするはずです。

 

「労働」とは人間的な行為だとされています。

ということは、動物がエサを取ったり巣を作ったりするのは「労働」とは呼ばないということです。

 

何が違うかを考えてみると、人間の労働は本質的に利他的なものであるということが言えます。

他の誰かのためにする仕事が「労働」になるのではないでしょうか。

 

もしペレが、刈り取った毛を自分ですいて糸に紡いで、布を織って服を仕立てたとすれば(そのために使用する道具も全部自分が作ったとすれば)、それは「労働」ではないのです。

それでは経済は回らないからです。

 

ペレが服を手に入れるためには、その仕事を誰かにやってもらわなければなりません。

その代わりに、彼は他の誰かの仕事を請け負うのです。

何だか迂遠な気がしますが、実際にはそうして分業したほうが効率はいいのです。

 

子どもがお手伝いをする時の最初の対価は「ありがとう」という感謝の言葉や、それに付随する承認の感情です。

それもまた、誰かから贈られることでしか手に入らないものです。

 

たとえ「自分のために働いている」つもりでも、人間である以上、そこには必ず利他的な行為が含まれており、それが労働ということなのでしょう。

 

推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

仕立て屋の子どもたちの可愛さ度:☆☆☆☆☆

 

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