【絵本の紹介】「ピンク、ぺっこん」【242冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回は村上康成さんの「ピンク、ぺっこん」を取り上げます。

作・絵:村上康成

出版社:福武書店

発行日:1983年10月10日

 

現在は徳間書店から発行されています。

この「ピンク、ぺっこん」は「ヤマメのピンク」シリーズ第一作にして、村上さんのデビュー作になります。

 

初めて手に取った時、色んな意味で「うおお」と唸らされた作品です。

以後の村上作品にも共通する、自然に対する透徹した目線が、このデビュー作ですでに確立されています。

 

これはあらすじを紹介してどうこう言う絵本ではないので、私が「凄いな」と思った場面を中心に、各カットを見て行きます。

 

主人公のピンクはヤマメの子ども。

まずヤマメという名前からして、あまり耳馴染みがないのですが、サケ科の魚だそうです。

ピンクの ひれが じまん」のピンクですが、さほどまっピンクというわけではなく、大勢の群れの中ではぱっとは識別できないように描かれています。

 

強めにデフォルメされた絵ですが、不思議とリアルな自然の日常が読み手に伝わってくるところが凄い。

いつも腹を空かせたヤマメの群れ。

どこかにエサになる虫はいないかと泳ぎ回っています。

 

ピンクはおいしそうな虫を発見しますが、横から大きなおばさんヤマメにかっさらわれてしまいます。

子どもだからといって、譲ってはくれないのです。

そしてこのパノラマ画面も凄い。

いったいどういう視点? な構図ですが、迫力があり、必要なものはすべて描き込まれています。

 

水上を飛ぶカゲロウに食いつこうとするピンクですが、イワナのおじさんにまたもや横取りされます。

しかし、そのイワナも次の瞬間にはヤマセミに捕まって食べられてしまいます。

大人でもドキッとさせられる一瞬。

弱肉強食の厳しさをあくまでも淡々と描くところが村上クオリティ。

 

突き放しているわけでもなく、自然を賛美している風でもない。

この「さりげなさ」が、かえって自然の厳しさ・美しさを際立たせています。

 

この後、ピンクは人間に釣り上げられてしまいますが、本気で助からないバッドエンド絵本かと思ってしまいました。

でも、小さな子どもゆえに、ピンクは放してもらえます。

最後は、夕刻のカゲロウの大群を、ピンクたちが奪い合って喰らう場面。

小さな生命の獰猛さに圧倒されます。

 

対比的なラストの静けさは、実に美しい。

おやすみ ピンク。あしたも たくさん たべなさい

の一文が効いています。

 

村上さんは根っから釣り好きで、小学校以来虜になっているというヤマメを主人公にしてこの「ピンク」シリーズを描き始めたそうです。

釣りの他に野球も大好きで、有名な絵本作家さんたちで結成された野球チームのコーチも務めます。

 

まあ、机に向かっているだけでは、とてもこんな絵本は描けないでしょうね。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

さりげなくドラマチック度:☆☆☆☆☆

 

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