【絵本の紹介】「はるにれ」【224冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

たまには写真絵本の紹介を。

1979年に「こどものとも」に発表された「はるにれ」です。

写真:姉崎一馬

出版社:福音館書店

発行日:1981年11月10日

 

絵本そのものが、とても自由度の高いメディアではありますが、写真「絵本」とは何ぞや、と問われると定義づけに困ってしまいます。

文があって、物語性があって、絵の代わりに写真が用いられているものだけが写真絵本かといえば、決してそうではない。

この「はるにれ」は、全編通してテキストなし、イラストなし、最初から最後まで全部写真。

こういう写真絵本もあるのです。

 

それって「写真集」じゃないの。

と言われてしまうと、そうではない、とは言いにくい。

でも手に取って読んでみると、やっぱりこれは「絵本」なのだと思えてくるのですね。

北海道の草原に一本だけ立っている樹齢140年のはるにれの巨木。

 

カメラは近づいたり遠ざかったりしながら、ひたすらにこのはるにれを撮り続けます。

四季を通じて、表情を変えるはるにれ。

冬の寒さに耐え、雪原にすっくと立ち、春の日差しを浴び、夏には緑を生い繁らせ……。

深いもやの中に霞むカットや、満月を頭上に抱く幻想的なカット。

 

見続けていると、ファインダー越しにはるにれが語りかけてくるかのようです。

 

★      ★      ★

 

何故これが「絵本」なのか。

それはここには「物語」があるからだと思います。

 

この作品から自然の雄大さを感じるか、四季の美しさを感じるか、生命の強靭さを感じるかは、人それぞれでしょう。

その「それぞれ」の感受性に訴えかけるのは、この絵本に内包されている物語です。

 

一本の木を、ただ見ただけでは、意識にも上らないこと。

同じ木を、四季を通じて見続けることで、それを写真家の目を通して見ることで、我々の概念は新たに書き換えを要請されます。

 

子どもは、ある絵本を読む前と読んだ後とで、微妙に顔つきが変化していることがあります。

それは自身の概念が書き換えられ、自己変容を遂げていることの証です。

「物語」がそうさせるのです。

 

これはストーリーがあるとかないとかいう問題ではありません。

図鑑を読んでいたって、子どもはその瑞々しい感性でそこから壮大なスケールの物語を読み取ることがあります。

子どもは知識を増やすことに興奮しているのではありません。

自分を成長変化させる「物語」に出会えたことに興奮しているのです。

 

作者の姉崎さんは、日本の森や野生の樹木を撮り続けている写真家さんです。

この絵本の主人公であるはるにれは北海道中川郡豊頃町にあり、姉崎さんは4年かけてこの巨木の写真を撮影したそうです。

 

絵本の発行によって有名になり、現在では町のシンボルとなっているそうです。

 

推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆(文字がない分、読み聞かせるのは意外と難しい気もします)

自然への畏敬の念度:☆☆☆☆☆

 

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