【絵本の紹介】「ハリーのセーター」【212冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

戌年の始めに犬の登場する絵本を紹介しようと思って本棚を漁ってみましたが、いやあ、多い多い。

以前から「絵本に最もよく登場する動物」ランキングというものを誰か作ってくれないかなー、などと思っている私ですが(自分でやるのは時間がなくて……)、印象だけで言えばやっぱり犬と猫が多い気がしますね。

 

あと、ネズミとゾウ。

キツネは海外でもよく出てきますが、タヌキはやっぱり日本以外では見ませんね。

 

さて、今回紹介するのは大人気「どろんこハリー」シリーズより、「ハリーのセーター」です。

文:ジーン・ジオン

絵:マーガレット・ブロイ・グレアム

訳:渡辺茂男

出版社:福音館書店

発行日:1983年5月20日

 

シリーズ1作目については、以前に取り上げましたので、そちらも併せてどうぞ。

 

≫絵本の紹介「どろんこハリー」

 

天真爛漫なヒーロー・ハリーが、今回も読者をハラハラさせつつ、ある種の痛快さも感じさせてくれます。

 

誕生日に、おばあちゃんからプレゼントを贈られたハリー。

届いた包みを開ける様子が、本文開始より前に扉の3pを使って説明されているところは、シリーズ通してのお約束的構成。

 

プレゼントの中身は、バラもようのセーター。

けれど、ハリーはこの柄が気に入りません。

 

そこで、隙を見てセーターを捨てようとしますが……。

どこに捨てても、親切な人が拾って追いかけてきてしまいます。

不満げなハリー。

 

結局どこにも捨てることができず、庭で座り込んでいたハリーは、セーターから毛糸が一本出ていることに気が付きます。

引っ張ると毛糸はどんどん伸びます。

そこへ1羽の鳥が滑空してきて、毛糸の端をくわえ、飛び去ります。

見る見るうちに毛糸はほどけ、ハリーのセーターは一本の毛糸になってしまいます。

 

喜ぶハリーですが、折悪しくおばあちゃんが家に遊びに来ることに。

当然家族はもらったセーターを探しますが、どこにもありません。

 

やがておばあちゃんが到着すると、ハリーは散歩をせがみます。

おばあちゃんたちを引っ張って、ハリーはあの鳥が飛び去った公園を目指します。

するとそこには……。

なんと、ハリーのセーターで鳥の巣ができています。

ハリーが、セーターを あのとりに あげたのよ!

と喜ぶ子どもたち。

おばあちゃんもハリーも、そして鳥も、みんな笑顔の大団円。

 

次のクリスマスにおばあちゃんから贈られた新しいセーターは、ハリーも気に入って満足するのでした。

 

★      ★      ★

 

ハリーの百面相が面白い。

特に、捨てたセーターを持ってこられた時の、ムスッとした表情が可愛らしくて秀逸です。

3度目に届けてくれた男の子の親切心しかない顔と、飼い主の子どもたちの「またか!」という怒った顔も相まって、非常にユーモラス。

 

せっかく頂いたプレゼントを捨てるなんてひどい気もしますが、ハリーにとっては「気に入らない」という自分の心のままに行動しているだけなのです。

以前の記事でも触れたとおり、「自分の心に対する嘘のなさ」こそがハリーの最大の魅力です。

そしてハリーは「子ども」そのものでもあります。

 

子どもの「嘘」を厳しく咎める大人がいますが、本当に深刻なのは口先の嘘ではなく、自らの心に対する嘘です。

 

それに、ハリーはプレゼントは気に入らないけど、おばあちゃんのことは大好きなのです。

ですから、おばあちゃんが家に来ると聞くと、セーターのことを考えて「しっぽを ちょろん」と垂らします。

 

セーターを捨ててしまいたい気持ちも、おばあちゃんが好きな気持ちも、どちらも真実。

「子ども」はいずれこの葛藤を経て大人になります。

その時に、どれだけ自分の心と行動を一致させてきたかによって、どういう大人になるかが分かれるのだと思います。

 

私はハリーを見るとき、ふと自分の心の中に「子どもの自分」の目を感じることがあります。

その自分は、決して自分自身への嘘を許してくれないのです。


推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

鳥のセーター模様の再現力度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「ハリーのセーター

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「00冊分の絵本の紹介記事一覧

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