2017.10.17 Tuesday
【絵本の紹介】「ババールのこどもたち」【190冊目】
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
回を重ねて4回目、「ぞうのババール」シリーズを紹介しましょう。
いよいよババールも父親になります。
「ババールのこどもたち」。
作・絵:ジャン・ド・ブリュノフ
訳:矢川澄子
出版社:評論社
発行日:1974年12月30日
これまでのババールの活躍は、過去記事をご覧ください。
母親を亡くし、逃げ込んだパリで優しいおばあさんに巡り会い、ぞうの国に帰還して王さまとなったババール。
セレストとの波乱万丈な新婚旅行を経て、さいの国(埼玉にあらず)との戦争に勝利。
そして荒廃したぞうの国を再び繁栄させます。
平和と安定を手に入れたババールに、さらに嬉しい出来事が起こります。
セレストが妊娠したのです。
しかも産まれたのは3つ子ちゃん。
ババールはそれぞれポム・アレクサンドル・フローラと名付けます。
幸せの絶頂ですが、3人いっぺんの育児はとても大変。
ガラガラを呑み込んで窒息しそうになったり、乳母車が坂道で暴走して崖から落ちたり、ワニのいる川でおぼれそうになったり。
色々な人たちの助けを借りて、どうにか危機を乗り越えます。
最後のページで、ババールがしみじみと漏らす言葉には、親として非常に共感できます。
「こどもをそだてるのって たいへんなものだなあ」
「でも くろうするだけのことはある」
「あのこたちのいないくらし なんて とても かんがえられないよ」
★ ★ ★
「ババール」シリーズは、この次の作品「ババールとサンタクロース」より後は、ジャン・ド・ブリュノフさんの長男であるロランさんが引き継いで続編を手掛けています。
つまり、ブリュノフさん自身が描く「ババール」は、次で最後ということです。
この「ババールのこどもたち」は、結核に侵されたブリュノフさんが、いよいよ自身の死期が近いことを悟って描かれたものだと思われます。
「不幸を乗り越え、幸せな人生を歩みなさい」
ブリュノフさんが無念にも残していく子どもたちに発し続けたメッセージ。
彼はこの作品で、自らの人生を語っているように、ババールが育児に奮闘する姿を描きます。
作者の胸の内を思うと、最後のババールのセリフはとりわけ感動的です。
彼は子どもたちへ「愛している」と言っているのです。
「君たちのおかげで幸せだった」と。
それは絵本という形で刻印され、一生残るメッセージとなります。
作者の子どもたちは、この素敵な絵本を開くたびに、亡き父親の愛と教えに触れることができるのです。
推奨年齢:4歳〜
読み聞かせ難易度:☆☆☆☆
でも、乳幼児にハチミツを与えては駄目ですよ度:☆☆☆☆☆
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