【絵本の紹介】「おじいちゃん」【184冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回は、ジョン・バーニンガムさんの「おじいちゃん」を紹介します。

作・絵:ジョン・バーニンガム

訳:谷川俊太郎

出版社:ほるぷ出版

発行日:1985年8月15日

 

絵本の構造としては少々変わっていて、ページごとのつながりはありません。

おじいちゃんと孫娘の断片的な会話文のみで構成されています。

 

いわば、二人の日々の回想録的絵本になっているのですが、ゆえに、読者はこれらが「終わってしまったこと」だと感じ、ラストに向かうにつれ、切なさを募らせずにはいられません。

老いること、生きること。

それらを考えさせる作品でもありますが、バーニンガムさん一流の淡々とした、それでいて限りなく優しい目線によって、そこに押しつけがましさは一切ありません。

 

おじいちゃんと孫娘の会話は時に嚙み合っていませんが、それが逆に微笑ましい。

二人で遊んだ浜辺、雨の日、雪の日。

おじいちゃんの昔話、孫娘の子どもらしい質問。

時にはケンカも。

 

時系列は不明ですが、孫娘は少しずつ大きくなっているように感じます。

それは、おじいちゃんが少しずつ人生の終わりに向かっていることでもあります。

 

おじいちゃんは きょうはそとであそべない

 

それでも、孫娘は肘掛け椅子のおじいちゃんに抱かれて、明日の話をします。

けれど、次のページにはおじいちゃんはおらず、空っぽになった肘掛け椅子を見つめる孫娘の姿が描かれます。

このシーンは涙無くしては読めませんが、さらに感動的なのは次の最終ページ。

夕暮れの坂道を、孫娘がベビーカーを押して駆け上がっていくカット。

 

弟、もしくは妹が産まれたのです。

 

おじいちゃんがこの世界から消えたのは、次の生命に「場所を譲る」ためなのだという、非常に象徴的で清々しいラストシーンです。

 

★      ★      ★

 

この絵本のテキストのほとんどは、バーニンガムさん自身の娘と、彼女の祖父が実際に交わした言葉から拝借したそうです。

「おじいちゃん」(原題・「Granpa」)はアニメ映画にもなったそうですが、バーニンガムさんは、おじいちゃん役の俳優の声を絶賛しております。

曰く、「引退して、静かな港町でタバコ屋をやってるって感じ」の声だそうです。

 

幼い子どもに「死」の概念を説明することは難しく(というか、不可能かもしれません)、この絵本を読み聞かせた時に必ずと言っていいほど出るであろう質問は、「おじいちゃんはどこ行ったの?」です。

 

しかし、それに対する単一の答えは用意されていません。

そして、どんな答えも、子どもを本当に満足させることはできないかもしれません。

それは、彼らがこれからの長い人生の中で、自分たち自身で感じるしかないことだからです。

 

そう言う我々大人も、「生と死」について、明確な答えを持ち合わせているわけではありません。

誰も死んだことはないからです。

おそらくそれは、言葉や論理によってではなく、まさにこの絵本のように、豊かなイメージによって捉えるべきものなのでしょう。

推奨年齢:5歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆☆☆

ラストの静けさと美しさ度:☆☆☆☆☆

 

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