【絵本の紹介】「ジャイアント・ジャム・サンド」【180冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

息子はほぼ毎日絵を描きます。

だいたい一日にスケッチブック一冊以上は消費します。

 

同時に、私にも絵をリクエストしてきます。

私はさほど絵心のある方ではないのですが、小さな人間や機械がいっぱい出てくる漫画的な絵を描いてやったら息子が大喜びします。

一枚の絵の中で、色んな人間が色んな行動を取っているのが面白いらしいのです。

 

そうした楽しみは絵本の絵にも通じるところがあります。

「物語る絵」の歓びです。

 

今回はとにかくたくさんの人物が動き回る、絵本のひとつの醍醐味とも言える楽しさに溢れた一冊を紹介しましょう。

ジャイアント・ジャム・サンド」です。

作・絵:ジョン・ヴァーノン・ロード

訳:安西徹雄

出版社:アリス館

発行日:1972年

 

絵の楽しさはもちろん、安西さんによる、歌のようにリズムある訳文も秀逸です。

そして物語の発端は、ある村に突然蜂が大量発生するというもの。

 

虫の異常発生による被害って相当怖いんですが、そこはコミカルに描かれています。

ブンブン ワンワン ウォンウォン チクッ!

蜂の数はなんと「400まんびき」。

どうにも こうにも もう たまらん」ということで、村人たちは緊急集会を開きます。

 

そこでパン屋のおじさんが一計を案じます。

蜂の好物のイチゴジャムでジャイアント・ジャム・サンドを作り、罠を張って一網打尽にするというのです。

 

このぶっ飛んだ作戦に、村人たちは「やんやの だいさんせい」。

賛成するのか……。

それからは村人総出の大仕事。

巨大な食パンを焼き、運び、ジャムを塗り……。

 

さらに「サンド」するために、ヘリコプターで上空にパンを吊り下げます。

読み通り、400万匹の蜂の群れは、地上のパンに群がってきます。

 

そこで空からパンを落とすと……。

ジャイアント・ジャム・サンドの出来上がり!

 

作戦大成功で、村人たちは大喜び。

うたって おどって わらって さわぐ」。

 

サンドは鳥たちが運び去り、「100しゅうかんも だいえんかい」をしたというオチ。

 

★      ★      ★

 

スケールの大きいストーリーも面白いですが、上で書いたようにこの絵本の何よりの楽しみは、細部まで描かれた絵をじっくりと見ること。

 

大掛かりな仕掛けに、大勢の登場人物。

よくよく見ると、その中にユーモアがいっぱい。

 

ダンディな農夫さんは何をするにも農具を駆使し、最後はトラクターをヘリコプターに改造してしまいます。

みんなが仕事に駆り出される中、ひたすら蜂と格闘し続ける3人のおじさん。

蜂に囲まれながら巨大パンを切る大変な作業の中で、律儀にコーヒーを配る人。

 

残ったパンもちゃんと有効利用されていて、食べ物を粗末にしません。

ちなみに作者のロードさんはパン屋の息子だったそうで、なるほどと妙に感心してしまいました。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

蜂と戦うおじさん3人の不屈の闘志度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「ジャイアント・ジャム・サンド

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「100冊分の絵本の紹介記事一覧

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