2017.08.23 Wednesday
【絵本の紹介】「トマトさん」【171冊目】
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
お盆を過ぎてから、また一段と暑くなってきた感がありますね。
今回紹介するのは、「トマトさん」です。
作・絵:田中清代
出版社:福音館書店
発行日:2006年7月15日(こどものとも傑作集)
いかがです、この表紙絵のインパクト。
そしてタイトル。
いったいどんな「トマトさん」なのか、中を開かずにはいられません。
「ある なつの ひるさがり」
「まっかに うれた トマトさんが トマトのきから どった、と おちた」
「どった」という擬音がいいですね。
トマトさんの熟れっぷり、重量感が伝わってきます。
実にアンニュイな表情をしたトマトさん。
暑いんです。
ミニトマトたちは転がって川に飛び込み、通りかかったやけにカラフルなとかげたちも、トマトさんを川へ誘います。
しかし、トマトさんはつーんと断ります。
でも、その後もどんどん暑くなって、とうとうトマトさんは「あまい においの なみだ」を落とします。
本当はトマトさんも泳ぎに行きたいのです。
でも、身体が重くて転がれないのでした。
それを知った虫たちが、トマトさんを転がしてやろうと集まります。
とかげたちも加わって、ついに重たいトマトさんは、
「ごろん ごろん ごろごろごろ」
「じゃっぷーん」
と、川へ飛び込みます。
念願かなって、「ああ、つめたい! なんて きもちいいんだろ」
とても嬉しそうなトマトさん。
泳いだ後は河原で涼風に吹かれて、みんな涼しくいい気持ち。
★ ★ ★
トマトさんの表情の衝撃が大きすぎて、シュールな印象を受けがちですが、内容は幼児にもわかりやすく、ほのぼのしたものです。
上でも触れましたが、擬音語・擬態語の選び方も秀逸で、テキストも良質です。
「ずんずん」「ぴかぴか」「しんなり」「ぽっちゃん ぽよん」「どっぷん とっぷん」など、声に出して読むとなお楽しい。
ぱっと見ではわかりませんが、この絵本は銅版画で描かれています。
どうしてもトマトさんに目が行きますが、とかげたち他のキャラクターデザインも味があって可愛いです。
実はこのトマトさんとカラフルとかげは、作者の田中さんの別作品「みつこととかげ」に登場したキャラクターなんです。
機会があれば、そちらも読んでみると面白いですよ。
推奨年齢:3歳〜
読み聞かせ難易度:☆☆
トマトさんの唇の色っぽさ度:☆☆☆☆☆
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