【絵本の紹介】「トマトさん」【171冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

お盆を過ぎてから、また一段と暑くなってきた感がありますね。

今回紹介するのは、「トマトさん」です。

作・絵:田中清代

出版社:福音館書店

発行日:2006年7月15日(こどものとも傑作集)

 

いかがです、この表紙絵のインパクト。

そしてタイトル。

 

いったいどんな「トマトさん」なのか、中を開かずにはいられません。

 

ある なつの ひるさがり

まっかに うれた トマトさんが トマトのきから どった、と おちた

 

どった」という擬音がいいですね。

トマトさんの熟れっぷり、重量感が伝わってきます。

 

実にアンニュイな表情をしたトマトさん。

暑いんです。

 

ミニトマトたちは転がって川に飛び込み、通りかかったやけにカラフルなとかげたちも、トマトさんを川へ誘います。

しかし、トマトさんはつーんと断ります。

 

でも、その後もどんどん暑くなって、とうとうトマトさんは「あまい においの なみだ」を落とします。

本当はトマトさんも泳ぎに行きたいのです。

でも、身体が重くて転がれないのでした。

 

それを知った虫たちが、トマトさんを転がしてやろうと集まります。

とかげたちも加わって、ついに重たいトマトさんは、

ごろん ごろん ごろごろごろ

じゃっぷーん

と、川へ飛び込みます。

 

念願かなって、「ああ、つめたい! なんて きもちいいんだろ

とても嬉しそうなトマトさん。

 

泳いだ後は河原で涼風に吹かれて、みんな涼しくいい気持ち。

 

★      ★      ★

 

トマトさんの表情の衝撃が大きすぎて、シュールな印象を受けがちですが、内容は幼児にもわかりやすく、ほのぼのしたものです。

 

上でも触れましたが、擬音語・擬態語の選び方も秀逸で、テキストも良質です。

ずんずん」「ぴかぴか」「しんなり」「ぽっちゃん ぽよん」「どっぷん とっぷん」など、声に出して読むとなお楽しい。

 

ぱっと見ではわかりませんが、この絵本は銅版画で描かれています。

どうしてもトマトさんに目が行きますが、とかげたち他のキャラクターデザインも味があって可愛いです。

 

実はこのトマトさんとカラフルとかげは、作者の田中さんの別作品「みつこととかげ」に登場したキャラクターなんです。

機会があれば、そちらも読んでみると面白いですよ。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

トマトさんの唇の色っぽさ度:☆☆☆☆☆

 

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