【絵本の紹介】「どんどこももんちゃん」【158冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

我が家では息子が最後半年ごろから本格的な絵本の読み聞かせを始めましたが、今、世間では絵本の「はじめて年齢」はどんどん下がっています。

 

≫読み聞かせはいつから?

 

それに応じて、赤ちゃんの認識しやすい色や輪郭のはっきりしたカット、耳に残りやすいリズムの文や擬音を用い、丈夫な紙での製本などの工夫を凝らした「赤ちゃん絵本」なるジャンルが確立されました。

今やもう、「うさこちゃん」シリーズなどは、「子どもがはじめてであう絵本」とは呼べないような気がします(あの話、結構深いですしね)。

 

≫絵本の紹介「ちいさなうさこちゃん」

≫絵本の紹介「うさこちゃんとうみ」

 

しかし、対象年齢を下げることは即ち単純化志向となるわけで、それはそれで面白いんですが、読み聞かせる側の大人にとっては少々物足りなさを感じることは事実です。

けれど今、お母さん方にも大好評の「赤ちゃん絵本」シリーズがあるのです。

 

それが今回紹介する「どんどこももんちゃん」を第一作とする「ももんちゃんあそぼう」シリーズです。

作・絵:とよたかずひこ

出版社:童心社

発行日:2001年9月20日

 

桃がおむつをはいたようなキャラクター「ももんちゃん」。

2001年に始まって、現在既に18作品も刊行されているという驚異のスピード。

 

人気の秘密は、何と言ってもももんちゃんのキュートさ。

「うちの子にそっくり!」という声が多く寄せられているそうで、異色ながらもどこか普遍的な「赤ちゃんの可愛さ」を描いており、そこが親の心を捉えているようです。

 

この作品が異色である点は、赤ちゃんでありながら、走り、跳び、クマと相撲を取るなどの、ももんちゃんのスーパーベイビーっぷりです。

それでいて、確かに「赤ちゃんらしさ」を捉えている。

 

それは赤ちゃんの持つひたむきな「生命力」そのものの強さを描いているからではないでしょうか。

どんどこ どんどこ

ももんちゃんが いそいでいます

 

シンプルな画面と、リズミカルで口ずさみやすい文。

ちゃんと「赤ちゃん絵本」の条件は押さえています。

 

ただ、「ももんちゃんが急いでいる理由」を伏せているのは、大人も楽しめるようにとの工夫でしょう。

 

ももんちゃんはまっすぐ前を見て、わき目も振らずに駆けて行きます。

余計なものが一切描かれていないことで、ももんちゃんのひたむきさが伝わりやすくなっています。

 

ももんちゃんはあらゆる障害を意にも介さず、急ぎ続けます。

丸木橋を渡り、坂を上り(ちゃんとはいはいになっている辺り、やっぱり赤ちゃんです)、クマがとおせんぼしていても……。

このパワー。

赤ちゃんだけが持つ純粋な目的への衝動力を表現しています。

 

下り坂で転んでしまうももんちゃん。

頭を打って、さすがに目に涙を浮かべますが、それでも走り続けます。

クライマックスで大きくジャンプ。

その先には……。

 

★      ★      ★

 

このラストシーンで明かされるももんちゃんの急いでいた理由が、お母さん方のハートを打つのですね。

思わず涙してしまうお母さんもいるとか。

 

作者のとよたさんによると、ももんちゃんは男の子で、母子家庭という設定だそうです。

何となくももんちゃんを女の子だと思う読者が多いそうで(私も女の子だと思ってました)、どうしてかはわかりませんが、やっぱり女の子の方がパワフルなんですかね。

 

とにかく一度声に出して読んでみれば、この絵本の楽しさがわかります。

子どもが絵本を楽しむためには、まず読み聞かせる大人が絵本を楽しむこと。

それを大いに助けてくれるシリーズです。

 

推奨年齢:0歳〜

読み聞かせ難易度:☆

裏表紙カットのほっこり度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「どんどこももんちゃん

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「100冊分の絵本の紹介記事一覧

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