2017.07.12 Wednesday
【絵本の紹介】「ダットさん」【154冊目】
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
今回紹介するのは、男の子はもちろん、クルマ好きの大人の男性も虜にすること間違いなしの一冊、「ダットさん」です。
作・絵:こもりまこと
出版社:教育画劇
発行日:2007年11月25日
以前紹介した「バルンくん」の作者、こもりまことさんによる、渾身の自動車ファンタジー絵本。
タイトルはダジャレですが、「ダットサン」はじめ、「エスハチ」(ホンダ・S800)、「ヨタハチ」(トヨタ・スポーツ800)、「エヌコロ」(ホンダ・N360)など、旧車好きの心を刺激するキャラクターがぞろぞろ。
精緻さと温もりを兼ね備えた絵も魅力的。
ちゃんとデフォルメされているのに、本物の良さを失っていません。
また、世界設定も素敵です。
自動車が人格を持って活躍する、アニメーション映画のような展開は「カーズ」を彷彿とさせますが、登場するのが日本車で、舞台も横須賀市。
それらが絶妙に調和して、レトロな和テイスト漂う作品に仕上がっています。
ストーリーは、ダットさんとエスハチくんが、謎の組織「つきぼしだん」の車たちにさらわれたヨタハチちゃんや、他の車たちを救出する冒険活劇。
エヌコロちゃんの助けを借りて、つきぼしだんのアジトに潜入。
さらわれた車たちを逃がしますが、見つかって追走されます。
「バルンくん」でおなじみのエンジン音、走行音の楽しさは健在です。
手に汗握るカーチェイスシーンは、ぜひお父さんに読み聞かせてほしいです。
追い詰められたところで、ダットさんが「つきのトンネルのじゅもん」を唱えると、みんなは宙に浮いて逃れます。
★ ★ ★
とにかくおもしろい。
「バルンくん」など、他の同作者によるキャラクターが画面に小さく登場していたり、絵本としての遊び心も抑えてます。
しかし、「つきぼしだん」の目的とか、「つきのトンネル」の謎とか、はっきりとは語られない部分も多く、不思議な読後感が残ります(子どもはそんなこと気にしませんけど)。
私も最初は「つきのトンネルのじゅもん」の「ルネントマパッオ」が意味不明だったのですが、「追浜(おっぱま)トンネル」の逆読みなんですね。
よく見ると、市街地の看板にも「追浜」の文字があり、それでこの舞台が横須賀市であることがわかりました。
ということは、「つきぼしだん」のアジトは米軍基地がモデルでしょうか。
読むたびに新たな発見のある絵本でもあります。
推奨年齢:3歳〜
読み聞かせ難易度:☆☆
自動車愛度:☆☆☆☆☆
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