2017.07.07 Friday
【絵本の紹介】「ひ・み・つ」【152冊目】
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
今日は7月7日。
ということで、七夕にぴったりの一冊を紹介しましょう。
田畑精一さん作、「ひ・み・つ」です。
作・絵:田畑精一
出版社:童心社
発行日:2004年5月30日
田畑さんは人形劇団で活動後、古田足日さんとの出会いを経て、絵本作りの仕事に入っていきました。
代表作は古田さんとの合作「おしいれのぼうけん」。
神沢利子さんとの合作「キミちゃんとかっぱのはなし」など。
自分で文も担当した作品では「さっちゃんのまほうのて」「さくら」など、障害や戦争といったディープなテーマに正面から向き合っています。
が、この「ひ・み・つ」はいたって明るく、心温まる物語です。
主人公のゆうき少年は、七夕の日に80歳の誕生日を迎える「しんばあちゃん」に、欲しいものは何か、手紙で尋ねます。
おばあちゃんは、ゆうきの笑顔があれば何にもいらないけれど、本当は一つだけ欲しいものがあるの、と返事を書きます。
「ひ・み・つ だよ!」
と前置きしてから、その願いを打ち明けます。
それは、40年前に亡くなったおじいさんとダンスを踊ること。
さあ、ゆうきは大好きなおばあちゃんの願いを叶えようと、大奮闘を始めます。
どうやったら天国のおじいちゃんに会えるだろう。
お母さんに相談しようにも、おばあちゃんに「ひみつだよ」と言われているので、話すわけにはいきません。
友達にアドバイスをもらって、去年の劇で使った魔法使いの帽子(しんばあちゃんが作ってくれたものです)をかぶり、願いを唱えると……。
突然、猫や犬が話しかけてきます。
彼らに従い、お宮の森へ行き、ふくろうじいさんに会います。
天国に行くことはできないけれど、七夕の夜に織姫様と彦星様に願いをかければ、その願いは天国へも届くはずだと教えられ、ゆうきは友達と一緒に七夕祭りの準備に取り掛かります。
そして、七夕の夜。
眠りについたしんばあちゃんの前に、おじいさんが現れます。
二人は若返った姿で、星たちの演奏に合わせて、ダンスを踊ります。
★ ★ ★
七夕って、実は雨が多い季節なんですよね。
だからこそ、織姫・彦星の逢瀬がより儚く、ロマンチックに思えるのかもしれません。
それにしても、少女のように可愛くて素敵なおばあちゃんですね。
そして、おばあちゃんの秘密の願いを叶えようと、一生懸命なゆうきの健気さにも心を打たれます。
勇気、友情、大切な人への想い……様々なものが詰まった絵本です。
ラストの、ダンスシーンの幸せそうなこと。
田畑さんの色彩豊かな絵も魅力的。
最終ページの、ポケットに手を突っ込んで立つゆうきの顔からは、何かを成し遂げた子どもの、静かな自信と成長が感じられます。
推奨年齢:5歳〜
読み聞かせ難易度:☆☆☆☆
ロマンチックばあちゃん度:☆☆☆☆☆
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