2017.06.13 Tuesday
【絵本の紹介】「くもさんおへんじどうしたの」【138冊目】
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
超絶人気絵本「はらぺこあおむし」の作者、エリック・カールさんの展覧会が、東京世田谷美術館で開催中です。
7月末からは京都会場でも開催される予定で、前売りチケットも販売開始されました。
詳しくは公式HP→「エリック・カール展」
絵本関連のイベントは、ほとんど首都圏中心で、関西に住んでいるとなかなか行けないものが多くて残念な思いをしているので、もっとどんどん来てほしいですね。
さて、今回はエリック・カールさんの「くもさんおへんじどうしたの」を紹介します。
作・絵:エリック・カール
訳:もり ひさし
出版社:偕成社
発行日:1985年11月
常に実験的な絵本作りに取り組むエリックさん。
この作品では、「触れる絵本」に挑戦しています。
題材は、「はらぺこあおむし」同様、虫の生態を取り扱っています。
科学事実に忠実に、しかしコミカルに。
「色の魔術師」と評される鮮やかな彩色は健在です。
このお日さまを見ただけで、すぐエリックさんの絵だとわかりますね。
画像ではわかりにくいですが、くもと、くもの出す糸が紙から浮き出ていて、指でなぞれるようになっています。
朝から黙々と巣を張るくも。
色々な動物が遊びに誘いますが、くもは忙しくて返事をしません。
ページを追うごとに少しずつ巣が完成していき、最後に飛んできたハエを捕獲。
忙しい一日を終えると、くもはぐっすり眠り、ふくろうが話しかけても、やっぱり返事をしないのでした。
★ ★ ★
しかけ絵本には様々な課題があり、いいアイディアが浮かんだとしても、それを実際に制作するとなると大変な苦労があります。
しかけがちゃんと動くのか、ある程度の耐久性を維持できるのか。
製本段階で、作者の意図は再現できるのか。
なによりも、現実的なコストの問題が、厳然として立ちはだかっています。
しかけに技術的な工夫を凝らすと、どうしても他の絵本より割高になってしまいます。
この「くもさんおへんじどうしたの」は、一枚の紙を折り返して製本し、特殊印刷でくもの巣をデコボコに浮き上がらせています(そのため、ページは袋とじ状態になっており、「中になにかあるの?」と確認したくなりますが、なんにもありません)。
たぶん、色々とコスト削減を試行錯誤されたのでしょうけど、やっぱり定価はお高めの2400円(税抜)。
当店では定価より割安で、安心クリーニングのリユース絵本をお買い求めいただけます(宣伝)。
繰り返しのリズム、生き生きとした動物たちの絵など、しかけ抜きでもじゅうぶん楽しい作品です。
エリック・カール展京都会場には私も足を運ぼうと考えておりますので、その際にはまた特集記事を書きますね。
推奨年齢:5歳〜
読み聞かせ難易度:☆☆
指先の快感度:☆☆☆☆
■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「くもさんおへんじどうしたの」
■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「100冊分の絵本の紹介記事一覧」
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