【絵本の紹介】「あさえとちいさいいもうと」【122冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

息子が大きくなってくると、「二人目はいつ?」と訊かれることがちょくちょくあります。

考えてないわけじゃないんですが、なかなか決断できないでいます。

 

正直、一人でもこんなに大変なのに……とビビッてるんです。

この3年半で息子にしてあげたのと同じだけのことを二人目にもできるかどうか、自信がない。

 

「二人目からは楽」だとはよく聞きますが、弟や妹ができたらできたで、それぞれへの対応も考えないといけないだろうし……。

上の子の嫉妬とか葛藤とか、フォローすべきことはたくさんあるでしょうし。

 

それでも、やっぱり心の底では女の子も欲しい気持ちもありますね。

よその女の子を見てると、男の子とはまた違う可愛さにムズムズします。

 

そして、今回紹介するような絵本を読んだら、そんな気持ちがさらに加速してしまいます。

あさえとちいさいいもうと」です。

作:筒井頼子

絵:林明子

出版社:福音館書店

発行日:1982年4月20日(こどものとも傑作集)

 

もう、この表紙絵だけでもたまりません。

相変わらず、林さんの描く女の子の可愛さと質感はただごとじゃない。

 

はじめてのおつかい」と同じ、筒井頼子さんとのタッグ絵本です。

≫絵本の紹介「はじめてのおつかい」

 

おつかいを頼まれた女の子の不安や緊張感を見事に描きだした「はじめてのおつかい」ですが、今作はさらに胸が苦しくなるような焦燥感に駆られるストーリーになっています。

 

あさえという、4〜5歳くらいの女の子が家の前で遊んでいると、お母さんが、

ぎんこうに いってくるわ。すぐ かえってくるから まっていてね

と言って出てきます。

あさえが妹のあやちゃんのことを尋ねると、今寝たばかりで、起きるまでには必ず帰ってくる、とお母さんは言い、あさえは留守番を引き受けます。

 

就学前の小さな子を置いて出かけるなんて……と、現代では批難されそうな話ですが、そこは「はじめてのおつかい」同様、時代でしょうね。

 

お母さんが出て行ってしばらくすると、あやちゃんが泣きながら目を覚ましてしまいます。

あさえはあやちゃんに靴を履かせてやりながら、

よし よし、あやちゃん。おねえちゃんが あそんであげる

と、お姉さんらしいところを見せます(表紙絵のシーンですね)。

あさえはチョークで地面に線路を描いてやります。

妹を喜ばせたくて、駅や山など、どんどん描き足していきますが、顔を上げるとあやちゃんがいません!

そして、大通りから自転車が急ブレーキをかける音が響いてきます。

 

小さい子は目を離すと一瞬でいなくなります。

これは親なら誰でも身につまされてわかる話です。

まして小さなあさえが、あやちゃんから注意を逸らしてしまったことは責められません。

この時のあさえの驚きと焦りは痛いほど伝わってきます。

幼いながらも、妹を守らなければならないという責任感があったのでしょう。

 

自転車にぶつかったのはあやちゃんではありませんでしたが、あやちゃんは見つかりません。

そうだ、こうえんだ!

あさえはいつも行く公園へ向かって走り出します。

 

公園にいなかったら……怪我をしていたら……と、読んでいる方も不安と緊張に胸がつぶれそう。

それだけに、無事に公園であやちゃんを発見した時のあさえの笑顔に、こちらも完全に感情移入して、心から「ほっ」。

ラストのページで妹に駆け寄り、抱き上げるあさえ。

迎えに来たお母さんの姿も。

 

★      ★      ★

 

兄弟姉妹はいいものですが、喧嘩もつきものでしょう。

そこは親の対応次第だと思います。

私には、やっぱり上の子がかわいそうに思えるケースが多く感じます。

お兄ちゃんなんだから

お姉ちゃんなんだから

と言われている子どもを見ていると、切なくなります。

 

お兄ちゃんだろうがお姉ちゃんだろうが、6〜8歳くらいまでは、まだまだ親に甘えたいはずだと思うのです。

どちらかと言うと、上の子を甘やかすくらいでちょうどいいのかもしれません。

 

ま、一人しか育ててない私が偉そうに言うことじゃないですけど。

やっぱり女の子も欲しい……かも。

 

ちなみに、この絵本には、「はじめてのおつかい」の人物がこっそり登場しています(例の、林さんの遊び心ですね)。

探してみましょう。

 

また、少し大きくなったあさえとあやちゃんが見れる「いもうとのにゅういん」という続編もあり、こちらも傑作です。

成長したあさえの美少女っぷりは必見ですよ。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆

あやちゃんの方向感覚の確かさ度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「あさえとちいさいいもうと

■こちらもおすすめ→「おつきさまこんばんは」「はじめてのおつかい」「こんとあき」「いもうとのにゅういん

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「100冊分の絵本の紹介記事一覧

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

絵本の買取依頼もお待ちしております。

 

〒578−0981

大阪府東大阪市島之内2−12−43

URL:http://ehonizm.com/

コメント