【絵本の紹介】「100かいだてのいえ」【121冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回は、画期的なアイディアと楽しさが詰まったイラストで大人気の「100かいだてのいえ」を紹介します。

作・絵:いわいとしお

出版社:偕成社

発行日:2008年6月

 

かつては絵本を作ることは、「絵と文」を考えることだという固定概念があったと思います。

でも時代とともに、絵本本来の自由度の高さというものが作り手にも読み手にも浸透していき、画材の選択から本の形状に至るまで、様々な工夫や試行錯誤がされるようになりました。

 

今では当たり前になった「横長・横開きの絵本」も、「こどものとも」編集長の松居直さんがそうした製本を始めた当初は眉をひそめる向きもあったそうです。

 

が、この「100かいだてのいえ」は、さらに実験的で、「縦長・縦開きの絵本」なのです。

当然、両手で支えて読むことは困難で、床に置いて広げることになります

 

星を見るのが好きな「トチくん」のもとへ、手紙が来ます。

100階建ての家のてっぺんに遊びに来てね、という内容。

地図に書かれた場所へ行ってみると、上の方は霞んで見えないほど高い「100かいだてのいえ」が現れます。

この本は「下から上に」読んでいきます。

1階から始まって、トチくんとともに100階まで上っていきます。

 

この家には10階ごとに違う生き物が住んでいて、各階ごとに細かく描かれた家具や小物、それぞれの生き物らしさが表れた生活感を楽しむのが最大の見どころ。

上に続く階段の形も様々で、「ん? どこから上るの?」と戸惑うこともしばしば。

ひとつひとつの部屋を指で辿っていくのは、まさに探検気分。

外の風景も少しづつ変化していき、70階を超えるころにはもう夜。

 

さて、100階でトチくんを待っていたのは……?

 

★      ★      ★

 

子どものころ、「間取り」の絵を描くのが好きな時期がありました。

独特の面白さがあるんですよね。

 

玄関から始まって、台所、寝室、浴室、遊び部屋……。

特に「遊び部屋」は、こうしたい、ああしたい、こんな仕掛けが欲しい、と、いっぱいに想像力を膨らませました。

 

異常に長い廊下を作ってみたり、忍者屋敷みたいに隠し通路を作ってみたり。

この絵本を見ていると、そんなことを思い出します。

 

作者の岩井さんは様々な分野の仕事に取り組むメディアアーティスト。

絵本はこれが初めての作品になります。

 

岩井さんがものづくりに目覚めたエピソードが佳話で、子どものころに母親から「もうおもちゃは買いません」と言われ、代わりに工作道具や材料を与えられたのがきっかけだそうです。

いいお母さんだと思います。

 

我が家でも、経費削減目的で新幹線や電車を紙工作で作り始めたのをきっかけに、今ではほとんどおもちゃを買うことはなくなり、何でも作るようになりました。

私は不器用で、そういう知識もスキルも皆無だったんですが、現代はインターネット上でちょっと検索すれば、懇切丁寧に簡単な作り方を指南してくださるサイトがいくらでもあり、本当にお世話になっています。

 

息子も、外出先で欲しいおもちゃを見かけても「買って」とは言わなくなり、「作って」と言うようになりました。

 

最近は「自転車」とかを欲しがるようになってきて、限界を感じておりますが。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆☆☆

途中で目的を忘れる度:☆☆☆☆

 

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