【絵本の紹介】今江祥智・田島征三「ちからたろう」【118冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回は日本昔話より、「ちからたろう」を紹介します。

文:今江祥智

絵:田島征三

出版社:ポプラ社

発行日:1967年7月

 

東北地方に伝わる民話です。

わりと有名な話で、再話も多いですが、これは、私自身も子どものころ大好きだった今江祥智さん・田島征三さんによる絵本です。

 

この表紙絵の迫力だけでも、手に取らずにはいられません。

そして構図の妙。

大きな手を広げて娘を守る力太郎の前に、巨大で不気味な怪物の後ろ姿。

ひっくり返して裏表紙を見ると視点が反転し、怪物の恐ろしげな顔がはっきり見えるようになっています。

 

この力強く、土臭い絵を描く田島征三さんは、「じごくのそうべえ」シリーズで知られる絵本作家・田島征彦さんの双子の弟です。

そう言われれば、技法は違えど、その力強さは共通するものがあります。

ちなみに田島征彦さんは「たじま」、征三さんは「たしま」と読みを変えています。

 

この「ちからたろう」の物語は、「ももたろう」「うらしまたろう」「きんたろう」などに比べると若干知名度は下がるものの、主人公の活躍の直球ぶり・痛快さは有名3作品を凌いでいます。

名前に恥じぬ剛力一本勝負を繰り広げる、とってもわかりやすいヒーロー像。

人気児童文学者の今江さんの軽快な文章も読み易く、一度読み始めると止まりません。

 

内容はこうです。

とんと むかし」、風呂にも滅多に入れないほど貧しいじいさまとばあさまは、自分たちの体の「こんび」(垢)を落として、それで赤ん坊の人形を作ることにします。

まさに垢ん坊。

 

すると、なんとこの人形は口をきき、ご飯を「わしわしと」平らげます。

現代のバイオテクノロジーも真っ青のクローン人間を製造してしまったじいさまたちは、この子を「こんびたろう」と名付け、大切に育てます。

 

何年かが過ぎ、こんびたろうは突然じいさまに、「百かんめのかなぼう」を作ってくれと言い出します。

一貫目=3.75kgですから、百貫目と言うと実に375kg。

 

じいさまは無理をしてその金棒を注文してやります。

すると、こんびたろうは金棒を杖にして立ち上がり、たちまち見上げるような大男に変貌。

おまけに375kgの金棒を軽々と振り回し、その力に驚いたじいさまは「こんびたろう」改め「ちからたろう」と改名します。

ちからたろうは武者修行の旅に出かけ、途中で「みどうっこたろう」「いしこたろう」という力自慢の若者二人との勝負に勝ち、彼らを仲間にします。

 

やがて大きな村へ到着しますが、そこで泣いている長者の娘を見つけます。

わけを聞くと、娘をさらい、田畑を荒らす化け物が恐ろしくて泣いているのだと言います。

3人は化け物退治を引き受けます。

その夜、現れたのは館よりも背の高い大入道。

かませ犬的に向かって行くみどうっこたろうといしこたろうをあっさり呑み込んでしまった後、真打ち登場。

 

激闘の末、ちからたろうは化け物に勝利し、呑み込まれた二人も助け出します。

 

長者は3人にほれ込み、それぞれに自分の娘の婿になってもらい、それから先、村は平和に栄えるのでした。

 

★      ★      ★

 

血沸き肉躍る冒険活劇。

大食らいで怪力無双の主人公。

戦いを通じてライバルたちと友情で結ばれ、ヒロインを助け、巨大な悪に立ち向う。

弱い者の味方であり、権力にはそっぽを向く。

などなど、王道少年漫画的な要素がたくさん入っているところが、現代でも子どもたちに受ける理由かもしれません。

 

また、この絵本の巻末にはもうひとつの民話「つぶたろう」も収録されています。

3ページで完結、文章中心です。

こちらもなかなか面白いお話ですよ。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆

垢出過ぎ度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「ちからたろう

■片岡輝・村上豊による別ver→「ちからたろう

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「100冊分の絵本の紹介記事一覧

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