2017.05.08 Monday
「厳しくあるべき」か「甘やかすべき」かという「子育て二元論」について
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
GW中、息子と長い時間一緒に過ごしまして、成長したなと思うところもあれば、いつまでたっても変わらないところもあり、色々と考えさせられました。
休みの間はたくさん絵本を読んであげようと思っていたんですが、ほとんど読ませてもらえませんでした。
どうも、今は自分ひとりで読む方が好きな時期らしいです。
結構文の多い本や図鑑などを熱心に読みふけっています。
かなりスピードが速いので、絵や写真を見てるだけなのかと思っていたら、ちゃんと内容を理解していて、わからない言葉を尋ねてきたりします。
絵に関しても、ずいぶんと細かい点まで見ているようで、こっちも気づかなかったことを指摘されたり。
息子の読書レベルは新たな次元に進んだ模様です。
嬉しいような、寂しいような、焦るような。
それはいいんですが、睡眠に関してはいつまでたっても素直じゃないです。
ひとは夜に眠るものだということも、もうわかっているはずなんですけど。
GW最終日は、夜中の3時半まで起きていました(おかげで、これを書いている現在、物凄く眠いです)。
もっと厳しくしつけないからだ、と、ちょいちょい言われますが(親とかに)、一応こちらとしては、わざと厳しくしていないので。
育児論というものは星の数ほどあり、何をもって正解とするかの線引きも難しいものです。
どういう態度で子どもに接するにせよ、そこに賛否両論が発生するのは無理からぬことです。
最も単純な議題としては、「子どもに対し、厳しくあるべきか、甘くあるべきか」というものがあります。
このテーマについて、少しだけ思うところを。
私なんぞは完全に「子どもに甘い親」ですが、と言っても上の2択ですと、答えるのは難しいです。
というのは、どちらの言い分にも一理あり、同時に危うさも孕んでいるからです。
歴史的に見れば、「子どもは厳しくしつけるもの」というのはわりと昔からある考えです。
時代背景も考慮すべきでしょうが、一刻も早く子どもを成熟させ、社会に順応させ、何がしかの能力を持たせなければ、将来生き延びていけない、という切迫感が、この考えの根拠になっていると思います。
「我が子のことを思えばこそ、心を鬼にして厳しく接する親」というのは、物語でもよく目にする一つのロールモデルです。
しかし近代になって、直接的な死の危険が減った代わりに、子どもの心の病の発症が問題視され、その原因の多くは「幼いころの親からの抑圧にある」という見方から、「子どもはもっとのびのびと、優しく育てた方がいい」という考えが多くなってきます。
ただ、心の病は必ずしも「厳しさ」ばかりに起因するわけではなく、独善的な親の「甘やかしすぎ」によって、精神を歪められるケースも指摘されています。
「じゃあ、結局、どうすりゃいいの?」
という迷える親たちの声が聞こえてきそうですが、育児という人類にとって永遠の課題に対して、そんな性急に一義的な回答を得ようとする態度こそが、現代のわれわれがもっとも気を付けるべき点だと思うのです。
時代、社会、家族構成、親自身の性格、子どもの個体差、成長度合いなどに応じて、微妙に答えは変わってくるはずで、そのたびに最適な対応を模索し続けるという面倒な作業を厭わないことが大事なのではないでしょうか。
そして一番の問題は、自分自身のことをわかっている親は、そうはいないということです。
「厳しいしつけのつもりの虐待」
「優しさのつもりの甘やかし」
こういうケースは山ほどあります。
子どもに厳しくするにせよ、甘えさせるにせよ、「きちんと」そうするためには、結構な人間力が求められるものです。
上記の問題点を含めた上で、私自身はやっぱり、少なくとも就学以前の幼児に対しては「厳しくするよりは、甘やかしたほうがまだいい」と思っています。
それは、「子どもに厳しくする」時、どうしたって自分自身を「子どもより上の存在」に位置付けざるを得ないからです。
私の場合は、そうです。
「私的な怒りを一切挟まず、純粋に子どものためだけに、必要なことを必要な言葉と態度で伝える」ほどの人間力は、私にはありません。
いくらそうならないようにしても、どこかで、「力」によって言うことを聞かせたい、という衝動が働くことを抑えられません。
言うことを聞かせた時の勝利感を否定できません。
「厳しい態度」を続けていく上で、「自分自身を省みる態度」を同時に持ち続けられればいいのですが、これはなかなか難しいことだと思います。
相手が子どもだと、親はどうしても無反省に陥りがちです。
逆に、「こんなに甘くして、将来大丈夫かな。甘やかしてるんじゃないかな」と、こういう反省は比較的しやすかったりします。
まあ、個人差はあると思いますけど。
子育てのライセンスはありません。
すべての親は、「もぐり」と言えるかもしれません。
だからこそ、常に自分を振り返る必要がある。
「子育てに自信のない親」も問題ではありますが、「子育てに無根拠の自信を持つ親」の方が、危険度で言えば大きいと思います。
『この世に生まれてきたときは、すべてのものが善であるが、人の手に移されると、すべてのものが悪くなってしまう』
とは、子どもの教育について語ったルソーの言葉です。
真理だと思います。
われわれは、人間を育てるにはあまりにも未熟です。
それでも、少しでも。
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