絵本の紹介「とらっく とらっく とらっく」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回紹介するのは、渡辺茂男さん・作、山本忠敬さん・絵、「とらっく とらっく とらっく」です。

山本忠敬さんと言えば乗り物絵本。

乗り物絵本と言えば山本忠敬さん。

 

つい先月、山本さんの生誕100周年を記念した原画展が京都で開かれていました。

まさに日本の乗り物絵本界のレジェンドといっても過言ではないでしょう。

我が家の息子も乗り物大好きなので、本当にこの方にはお世話になっております。

 

そんな山本さんの数ある乗り物絵本の中の一冊、「とらっく とらっく とらっく」は、港の倉庫から出発したトラックが、大きな町へ向かう道のりを追いかける物語です。

山本さんの描く乗り物絵の魅力は、精密さの中に温かい血流を感じられるところにあります。

 

写実的なようで、乗り物の一台一台が生き生きと人格を持って走っているように見えてくるのです。

実は、これだけ多くの乗り物絵本を世に出しながら、山本さん自身は自動車の運転もしないし、飛行機にも乗られないそうです。

 

子どもは自分では乗り物を運転できません。

それゆえに子どもが乗り物に抱く憧憬や好奇心は、大人のそれとは質が違います。

山本さんはそうした子どもの乗り物への想いを共有できる人だったのでしょう。

 

さりげない描写のひとつひとつにも、子どもが知りたがっているポイント、喜ぶポイントが的確に描かれています。

それは子どもを見下した計算高さではなく、子どもと同じ目線に立てる画家の、溢れんばかりのサービス精神から生まれてくる、乗り物愛の詰まった描写です。

 

山本さんの描く乗り物絵本を見る子どもたちは、それが確かに自分に向けて作られた本だということを感じ取るからこそ、安心して夢中になれるのです。

 

山本忠敬さんの乗り物絵本に外れなし。

 

渡辺さんの文も、リズミカルで臨場感に溢れ、子どもの好奇心を大いに刺激します。

トラックの運転手が、スピードの出しすぎで白バイに止められたり、休憩所でうまそうに煙草を吸ったりといったシーンでは、最近では眉をひそめる親御さんもいらっしゃるかもしれません。

けれども、まったく心配するようなことではありません。

子どもの道徳観というものは、そんなところで左右されるものではありません。

 

それよりも、純粋な乗り物への好奇心や、働く大人に対する憧れといった感情を大切にしてあげるべきだと思います。

 

 

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