【絵本の紹介】「影ぼっこ」【101冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回紹介するのは、「影ぼっこ」です。

文:ブレーズ・サンドラール

絵:マーシャ・ブラウン

訳:おのえたかこ

出版社:ほるぷ出版

発行日:1983年12月15日

 

世界的絵本作家、マーシャ・ブラウンさんの絵で、コールデコット賞(一年に一作品だけ選ばれる、アメリカ絵本界最高の賞)も受賞している作品なのに、日本での知名度はいまひとつな気がする、隠れた名作。

 

しかし、これがブラウンさんの仕事だとは、見ただけではわからないのも無理はないでしょう。

何しろ、「三びきのやぎのがらがらどん」が有名すぎるのに、こちらと絵柄が違い過ぎる。

 

≫絵本の紹介「三びきのやぎのがらがらどん」

 

これは別にブラウンさんの画風が変節したというわけではなく、彼女はひとつひとつの作品に対し、毎回違った技法でのアプローチを試みているのです。

どんな画材で、どんなタッチで、どんな構図で、どんな色彩で描くのが、その作品にとってふさわしい表現方法なのかを練り込んでいるのですね。

絵本に対する真摯な情熱と探求心、そして子どもに対する敬意があればこそでしょう。

 

この「影ぼっこ」は、詩人・小説家のサンドラールさんが、アフリカのまじない師や、火を囲んで話す語り手たちの言葉からイメージを広げて書き上げた詩の絵本です。

影ぼっこのすみかは森のなか

夜になるとたき火のそばにあらわれて、おどり手たちに調子をあわせ うろうろ うろつき ふらふら おどる

影ぼっこはねむらない

影ぼっこには声がない

夜になると 影ぼっこは 重く重くなる

だれも 影ぼっこにはさからえない

 

影ぼっこは あそぶ

影ぼっこは おどる

 

★      ★      ★

 

いつも傍にくっついて、離れようとしない影。

なんだか恐いような気もするけれど、いたずら好きの精霊のような、守り神のようなイメージもある。

 

自然への畏敬の念が込められたこの詩を絵で描き表すにあたって、ブラウンさんは実際にアフリカを旅行してきたそうです。

 

そこで受けた鮮烈なインスピレーションを、コラージュ風の手法で表現しています。

 

私は個人的に、アフリカの人々の肉体をシルエットで描いたカットに強く惹かれます。

彼らの身体は、最新の文明に囲まれている我々のそれとはまったく違う生き物のように、生命の躍動感に溢れています。

 

その原始の肉体が、踊ることで、リズムに乗ることで、より自然に近づき、自然の一部となっています。

 

霊や魂といった概念を、私たちは忘れ去ったかのように都会で生活しています。

しかし、誰もが心の奥底では、それら精神世界から切り離された無力感や不安を感じているのではないでしょうか。

 

この絵本に描かれる人々からみなぎる生命力に、ある種の劣等感を感じるのは私だけでしょうか。

そしてその劣等感は、大人が子どもに対して抱くものと似ている気がするのです。

 

推奨年齢:6歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆☆☆

ブラウンさんの引き出しの多さ度:☆☆☆☆☆

 

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