絵本の紹介「ハナミズキのみち」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

明日で東日本大震災から6年。

 

亡くなった人々の無念、残された人々の悲嘆、そうした想いは悲しいことに年々風化していきます。

私には、それらを語る言葉がありません。

 

代わりに、震災から生まれた絵本を紹介します。

ハナミズキのみち」。

文:淺沼ミキ子

絵:黒井健

出版社:金の星社

発行日:2013年5月

 

著者の淺沼(あさぬま)さんは、絵本作家ではありません。

岩手県陸前高田市の観光協会に勤める方です。

 

淺沼さんは2011年3月11日、震災による津波で、当時25歳だった息子の健(たける)さんを亡くしました。

 

消防団員だった健さんは、震災直後、高校生らを避難場所の市民会館へ誘導していました。

淺沼さんはこの姿を目撃しています。

 

人々を守ろうとする息子の姿に、誇りと頼もしさを感じ、その場を離れ、自身も自宅へ避難しました。

しかし、それが息子を見る最後の機会でした。

 

津波の巨大さは人々の想像をはるかに超え、避難場所の市民会館ごと押し流してしまったのです。

 

息子を失った淺沼さんは、悲しみのあまり眠れない夜が続き、呼吸困難に陥ることもありました。

 

何をしていても涙がこぼれる。

そんな日々が続きました。

 

けれどもある日、浅沼さんの夢枕に健さんが現れ、そしてはっきり聞こえる声で言ったそうです。

 

いつまでも悲しまないで。それより、もう誰も津波で亡くならないように、高台への避難路に、目印にハナミズキを植えて

 

淺沼さんは「ハナミズキのみちの会」を立ち上げ、多くの賛同者とともに、海から高台へ続く避難路の道沿いに、ハナミズキを植える活動を始めました。

 

もう誰も悲しまないように。

 

悲しみや辛さから目を背けるのではなく、それらを受け止めた上で、自分のやるべきこと、できることを、どんなに小さなことからでも始める。

それが本当の「前向き」な態度であり、「生き直す強さ」だと思います。

 

私の想いを受けてください

 

―――ハナミズキの花言葉です。

 

推奨年齢:6歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「ハナミズキのみち

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

絵本の買取依頼もお待ちしております。

 

〒578−0981

大阪府東大阪市島之内2−12−43

URL:http://ehonizm.com/

E-Mail:book@ehonizm.com

コメント