2017.03.09 Thursday
絵本の紹介「あいうえおうさま」
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
「あいうえお絵本」というのは、ある種の定番でもあり、いつの時代も新しいものが次々に出てきます。
人気シリーズなどの企画としてもよく見かけます。
ただ、いくら人気のキャラクターが登場しようと、ただ50音を並べただけの「お勉強」では、子どもの気を引くことなどできません。
あくまで「絵本」である以上、読んで面白いものでなければならないのです。
その点を、今回紹介する「あいうえおうさま」は見事にクリアしています。
文:寺村輝夫
絵:和歌山静子
出版社:理論社
発行日:1979年
言わずと知れた「ぼくはおうさま」シリーズの「あいうえお絵本」です。
小学校の教材として使用されていたこともあります。
たとえば「あ」のページは、
「あいうえおうさま あさの あいさつ あくびを あんぐり ああ おはよう」
と「あ」のつく言葉がリズムよく並び、伸びをする王さまの背景には、「あめ」「あざらし」「あさがお」など、「あ」のつくものが色々描かれています。
寺村さんが凄いのは、それぞれのページだけで十分ひとつのお話が想像できる点。
「なおった びょうきを ないしょに していて なんでも なるべく なまける おうさま」
なんて、いかにも王さまらしくて、思わず笑ってしまいます。
もちろん、言葉のテンポや響きのセンスは言うまでもなく、同じ言葉にしても、名詞ばかりではなく、動詞、形容詞、副詞などを盛り込んでいるところもさすがです。
おなじみの和歌山さんの絵も、想像力をかきたてます。
文章に登場しない背景の絵ですが、意外と読み解くのが難しいのもあります。
「む」のページの「むちうち」とか。
そうしたひとつひとつの絵を読むことも楽しみです。
言葉の勉強などとかしこまらずに、純粋におもしろ絵本として読んであげれば、子どもも喜ぶし、自然と言葉を身に付けると思います。
関連記事≫絵本の紹介「ぞうのたまごのたまごやき」
推奨年齢:4歳〜
読み聞かせ難易度:☆☆☆
「ら」のページの下の絵が謎すぎる度:☆☆☆☆☆
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