絵本の紹介「たしざん」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

また絵本作家さんの訃報が届きました。

2月12日、まついのりこさんが逝去。

 

まついさんは明確なタッチと色彩で、幼児向けの絵本を多数手がけられました。

また、海外での紙芝居の普及にも尽力し、ベトナム政府から文化功労章を贈られています。

 

「赤ちゃんのための絵本」は数あれど、まついさんは、本当に生まれて間もない赤ちゃんに読み聞かせるのにぴったりな絵本を作ってくれています。

個人的には、「じゃあじゃあびりびり」などは、赤ちゃん絵本部門としては最高傑作ではないかと思っています(息子の最初のお気に入りでした)。

 

また、まついさんは数学教育者の夫を持ち、数や時計などに関する絵本も多く制作しています。

今回紹介する「たしざん」は、既に絶版本ですが、まついさんの最初の絵本であり、最も初歩の「足し算」についてわかりやすく説明している作品です。

作・絵:まついのりこ

出版社:福音館書店

発行日:1971年8月

 

ふくろう先生が小人たちに足し算を教えてくれます。

小人たちは空飛ぶじゅうたんに乗ってやってきます。

小人の家の窓の数、小人の数にも注目。

 

四角いじゅうたんをつなぎ合わせ、数を確認。

視覚的に数を認識するところから入ります。

ちゃんと公式も出てきます。

 

「0+0=0」という、言葉にするとなんだかよくわからないことも、絵で見ると納得できますね。

また、この絵本では数を数えるとき、「5」を軸とする思考法をさりげなく紹介しています。

 

大きな数を足し算する場合、数を分解し、「5」のセットを作ることで計算しやすくします。

自分の指で数えられる「5」というのは、幼児の数の基本と言えます。

問題の解が導き出された時、数学的法則を発見した時、子どもは必ず笑顔になります。

数で遊ぶことは、本来とても楽しいものなのです。

 

どうして数学を学ぶのか。

その理由はひとさまざまでしょう。

 

幼い子どもが「数」の原理原則を学ぶことは、「力任せではどうにもならないことがある」ことを学ぶ機会でもあります。

そしてその反面、「正しい法則に従えば、必ず問題の答えに辿り着くことができる」ことも知ることになります。

 

それらを言い換えれば、「生きる知恵と力」を育むことです。

 

ですから、これはけっして「算数ドリル」などではなく、他のすべての絵本と同様、「子どもの生命力を高める」ための芸術作品だと、私は捉えています。

 

まついさんのご冥福をお祈りします。

 

推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆☆☆(焦らず、子どものペースに合わせてください)

楽しく学べる度:☆☆☆☆

 

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

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